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第3.1話 新たなる仮面ライダー

暖かな日差しが降り注ぐ季節となり、氷は溶け始め、水滴が静かに流れ落ちる音を響かせていた。

眠りについていた小さな動物たちは目を覚まし、渡り鳥たちは故郷へ帰ってくる。

子どもたちは皆、春の訪れを喜んでいた。

一方、仮面ライダーたちを中心とした秘密の組織が、水面下で結成されていた。

中心となったのは X部 の部員たち。そして首都から赴任してきた熱血警察官が、治安維持と情報伝達を担っていた。

政府は、これまでマツト市で起きた数々の事件について、国外勢力による国家経済への破壊工作であると考えていた。

そのため国内屈指の科学者たちが招集され、改造人間へ対抗するための兵器開発が始められる。

その対象には、仮面ライダー1号と仮面ライダー2号も含まれていた。

.

まぶしい陽光が照りつけるある日。

文芸部の部室では、一人の青年が机に突っ伏したまま昼寝をしていた。

鳴り響く蝉の声さえ、もうすぐ訪れる夏休みの夢から彼を目覚めさせることはできなかった。

その時――

警報ベルが校舎中に鳴り響いた。

人々へ建物の中へ避難するよう知らせる警報だった。

これは地震警報ではない。

正体不明の組織によって散布された ガス弾 の警報だった。

政府軍の戦闘機は基地を飛び立ち、すべての元凶である 謎の飛行物体 への攻撃を開始する。

一方、X部では、その飛行物体の出現経路を観測し、追跡していた。

警察は空から落下したガス弾の破片を回収する任務にあたり、科学者たちは容器の破片を分析し、毒性試験を繰り返した。

しかし、決定的な結論はまだ得られない。

そのガスは、人間にも動物にも害を及ぼさなかった。

それでも科学者たちは、体内に蓄積された場合の影響について、不安を抱え続けていた。

.

騒がしいX部の部員たちの声と、二台のオートバイのエンジン音で、青年はようやく目を覚ました。

仮面ライダー1号と2号は、飛び散ったガス弾の破片の危険性を知らせるため、X部へ連絡を送っていた。

パトカーのサイレンが鳴り響き、警察は道路を封鎖する。

仮面ライダー1号と2号は、政府軍が撃墜した 謎の飛行物体 が墜落したという情報を頼りに、大学裏の森へ向かった。

その時だった。

再びオートバイの音が響く。

今度は三台。

仮面ライダーたちは、自分たちの目的地へ向かおうとする青年を止めようとした。

彼の胸には何があったのだろう。

自由への憧れか。

刺激への渇望か。

それとも、この世界そのものに絶望していたのか。

.

三人が目的地へたどり着いた時、その先へ進む道は、一人の黒いローブをまとった大男によって塞がれていた。

男は、自らをマツト市地区を統括する秘密組織の指導者だと名乗る。

黒衣の男は、不満げな口調で言った。

危険な任務を自ら引き受けなければならなくなったのは、仮面ライダーと、物事を知らない子どもたちが自分の計画を邪魔し続けているからだ、と。

仮面ライダー2号は力強い拳で男へ飛びかかった。

しかし、その一撃は受け止められる。

仮面ライダー1号は問いかけた。

「お前たちは、まだ本人の意思とは無関係に改造人間へされた人々を大勢抱えているのか。」

黒衣の男は笑みを浮かべて答える。

「新たな人類へ選ばれることは、弱き人間どもに与えられる栄誉なのだ。」

その言葉を聞いた瞬間――

仮面ライダー1号の後ろへ身を隠していた青年が、大きな笑い声を上げた。

「望まない栄誉。

望まない強制。

そんなものは、俺が誰かに与えたいと思う最後のものだ。

自由を愛する生き方。

止まることのない風。

誰もが受けるべき正義。

そして、自分自身で幸せを選べること。

俺は、それを信じている。」

その言葉が終わると同時に、ガス弾が放たれた。

密閉された空間には、逃げ場など存在しない。

駆けつけた警察車両と軍部隊は、見えない障壁 に阻まれ、中へ入ることすらできなかった。

青年はガスを吸い込み、激しく咳き込む。

意識が遠のく中で聞こえてきたのは、仮面ライダーたちと黒衣の男の戦う音だった。

やがて青年は、そのまま意識を失う。

黒衣の男は改造人間たちを解き放ち、仮面ライダー1号と2号へ襲いかからせた。

二人は応戦しながら、この場所から脱出する方法を探し続ける。

.

その時だった。

巨大な 謎の飛行物体 が空を覆うように姿を現した。

まばゆい白い光が、黒衣の男と、損傷した飛行物体へ降り注ぐ。

その瞬間から――

マツト市の人々の記憶は、一部の時間だけ失われた。

仮面ライダー1号と2号は、政府の命令によって軍に拘束される。

警察には、この一件を極秘扱いにするよう命令が下された。

X部 は解散となり、元部員たちは二度と集まることを禁じられる。

首都から赴任していた熱血警察官も、X部解散とともに首都へ戻されることになった。

命令に納得はできなかった。

それでも、従わないという選択肢はなかった。

一方――

眠り続ける青年の胸では、鼓動だけが静かに続いていた。

秘密組織の技術によって、

自由を愛したその 心臓 は奪われ、

代わりに強力な装置が埋め込まれる。

.

町では、政府が秘密組織と利益のために手を結んだという噂が流れ始めていた。

仮面ライダー1号は、政府と秘密組織が共同開発した新型改造人間の戦闘実験の標的として利用される。

仮面ライダー2号は危険人物として扱われ、政府から情報へのアクセスを厳しく制限された。

政府はマツト市を兵器実験都市として指定し、多くの若者たちは町を去っていった。

それでも、わずかに残った元X部の部員たちは、政府の兵器実験へ抗議を続ける。

ここは彼らの故郷であり、

そして先人たちが築き上げた自由の象徴でもあったからだ。

.

一編成の高速列車が、マツト市へ向かって走っていた。

車両中央に掲げられた「安全保障」を象徴する紋章。

その列車には、新たな兵器が運び込まれていた。

.

つづく

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