↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
20/24

第20話 テオドール拉致事件②

テオドールはそんなシャルロットを、眉を下げて悲しそうに見つめる。


「僕はキミの夫だよ。なぜ嫌がるんだい?」

「近寄らないで!」


(見た目はテオドール様そっくり……偽物なのか本人なのかわからない! 触れて視れば何か分かるだろうけど、準備が整ってからじゃないと無駄打ちになりかねないわ)


サイコメトリーで視る時は得た情報をすぐに紙に描き留めるため、あらかじめ紙とペンを用意しておくのだ。

それに一日に四回サイコメトリー能力を使うと激しい頭痛がしてしまうので、テオドールに一日一回までと決められている。


(テオドール様だけ執務室に連れて行きたいけれど、私一人ではーー)


若いメイドなど使用人達は様子がおかしいテオドールに恐れ戦いて、遠巻きにしている。

緊迫した空気の中、玄関扉が開き門番が顔を出した。


「テオドール様、来客でございます!」

「テオ!」


現れたのはユーリだった。


「ユーリ様!?」


目を見開くシャルロットに笑顔を向けるユーリ。


「グレイヴン家のフットマンが知らせに来てくれたんだ。昨夜拉致されたけど無事帰って来たって」

「やあユーリ! 我が親友よ!」

「……テオはそんなこと言わないよ。お前、誰?」


ユーリも拒絶したことに、シャルロットは少しホッとした。


「シャルロット様」

「カティア様もいらしてくださったのですね……!」


ユーリの背後から、彼の妻カティアが現れた。

彼女の冷静な面持ちを見て、シャルロットは落ち着きを取り戻す。


「私、子供の頃に拉致されかけた経験があるので、何か役に立てないかとユーリ様についてきたのですが、」


(カティア様、一国の王女だけあってヘヴィーな体験をしてる……!)


シャルロットは驚きながら、話の続きを待つ。


「その時に嗅がされた薬品と同じにおいが、テオドール様からします」

「え!?」

「カティア、その薬はどんな効果があるの?」


ユーリがカティアに尋ねる。


「頭がぼんやりする作用があると医師から聞きました」

「拉致する時に騒がれないためか」

「テオドール様も拉致の時にその薬を使われたとしたら、あのテオドール様は本物なのでしょうか……」


シャルロットがテオドールの方を見やると、彼は捨てられた子犬のような、悲しげな表情で佇んでいる。

ユーリはテオドールの様子を見つつ、またカティアに尋ねた。


「その薬品には人格を変えるような効果はあるのかい?」

「いいえ。セシュネという植物が原材料で、病院で患者を落ち着かせるために使用される合法の薬だそうです」

「なるほどね」


相槌を打ったユーリが、にっこりと笑顔を作ってテオドールの方を向く。


「テオ、疑って悪かったよ。とりあえず執務室に行こう」


すると、テオドールはすぐに朗らかな笑みを浮かべた。


「分かってくれてうれしいよ! 久しぶりにゆっくり語り合おうじゃないか」

「ああ」


ユーリはテオドールを執務室の方向へ促しながら、カティアに耳打ちをした。


「フィリス国家保安警察本部にいるテオの部下に、薬品について伝えてくれ」

「わかりました」


カティアはシャルロットに軽く頭を下げてから、玄関へ歩き出した。

カティアを見送ったシャルロットがユーリの後ろについて執務室に入る。


(ユーリ様の機転で、テオドール様を視る環境が整ったわ!)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。