↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
19/24

第19話 テオドール拉致事件

(テオドール様が連絡なく帰って来なかったことは一度だけあった。悪魔崇拝組織の集会に乗り込んだ時……。今もそういう状況なのかしら……)


湯浴みに行かず、重厚な玄関扉を見つめるシャルロットに、メイド長のマーサが声をかける。


「シャルロット様、旦那様がお帰りになりましたらお声がけいたしますので、湯浴みをされてはいかがですか」

「そうね……」


話していると、突然玄関扉が開いた。


「すみません!」


扉を開けたフットマンを押し退け、勢いよく飛び込んで来たのは、テオドールの部下のジョンだった。


「ジョンさん!? 額から血が……」


「シャルロット様、申し訳ありません!」


額のケガを放置して頭を下げるジョンを見て、シャルロットは嫌な予感しかしない。


「テオドール様といつものように平民街を巡回した帰り、背後から薬品を嗅がされ……気絶している間にテオドール様が拉致されました……」

「そんな……」


シャルロットの顔から血の気がひく。


「オレは警察本部に戻って捜索開始します! テオドール様はフィリス国家保安警察の名にかけて絶対に見つけます!」


一気に言い終えたジョンはシャルロットの返事を聞くことなく、グレイヴン邸宅を飛び出した。


「……シャルロット様、今はお部屋に戻って待ちましょう」


メイド長のマーサは今にも倒れそうなシャルロットを気遣って、寄り添いながら寝室に誘導した。


(何か手がかりがあれば視て情報を掴めるかもしれないのに、遺留物がなければ私は役立たずだわ……!)


寝室に戻った後もシャルロットはベッドに横にならず、ソファーでうなだれる。


(テオドール様、どうか無事帰って来て……!)






「ーーシャルロット様! テオドール様がお帰りになりましたよ!」


シャルロットの寝室に若いメイドが飛び込んで来て、シャルロットの目が開く。

窓の外はすでに明るく、鳥の囀ずる声が聞こえる。

朝になっていた。


(私、いつの間に眠って……)


ソファーから飛び起きたシャルロットは弾けるように寝室を飛び出し、玄関へ走った。


そこには、出かける前と同じ姿のテオドールがいた。


「テオドール様……無事で良かった……」


泣き崩れるシャルロットにテオドールが駆け寄る。


「おおシャルロット、愛しい妻よ。泣かないでおくれ。君に涙は似合わない」

「え!?」


テオドールは怪訝な顔で見上げるシャルロットに構わず、彼女を抱き寄せようと腰に手を伸ばした。


「貴方、誰!? テオドール様は断りなく私に触れたりしないわ!」


シャルロットは後退りながら、鋭く叫んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。