第11話 ユーリの結婚相手①
「コートゥナ王国第三王女のカティア姫殿下だ」
「隣国の王女様……!」
目を見開いて驚くシャルロットに、テオドールは頷く。
「ああ。王女をユーリのような他国の外交官に嫁がせて、国同士の繋がりを強固にしたいのだろう」
「……カティア様、以前式典でお姿を拝見したことがあります。
まっすぐな白銀色の髪に水色の切れ長の瞳が美しい方でした。ユーリ様とお似合いです」
シャルロットが思い出していると、ドアをノックする音が聞こえた。
「旦那様、お客様でございます」
「テオ!」
執事の声の後に現れたのは、ユーリ。
執務室に入って来た彼は、テオドールとシャルロットが座るソファーに腰を下ろす。
すぐにメイドがユーリの前にティーセットを用意し、執務室から出ていった。
三人になったタイミングで、テオドールが話を始める。
「丁度、お前の婚約者候補の話をしていたところだ」
「ああ~じゃあ話が早いや。そのカティア王女についてなんだけどさ……」
「お前が言葉を濁すのは珍しいな」
テオドールに問われたユーリは、横目でちらりとシャルロットを見た。
シャルロットはピンと来る。
「ユーリ様、私にカティア様を視てほしいのではないですか?」
「うん、そうなんだ……。シャルロット嬢の負担になるよなと思うんだけど、ダリラ嬢の件で不安になっちゃって……」
いつも朗らかなユーリが、眉間に皺を寄せて渋い顔で腕を組んでいる。
それはそうだろう。
ユーリはダリラの妊娠が公にならなければ、彼女と結婚するところだったのだから。
「お気持ちお察しいたしますわ……。ユーリ様には晩餐会の招待客の情報を沢山教えていただいたので、喜んで引き受けましょう」
シャルロットの言葉に、ユーリはへにゃりと眉を下げて「ありがとう」と頭を下げた。
テオドールがユーリに質問をする。
「もし不備があれば断れるのか?」
「うん。向こうも僕だけじゃなくて、他の国の公爵も候補に上がってるだろうからね。ただ、コートゥナ王国との仲を強固にするチャンスだから、調べた結果何事もなく婚姻を結べるのがベストかなぁ」
ユーリは答えながら、自身のジャケットのポケットに手を入れた。
「カティア王女は今王宮に滞在中だけど、さすがに触れさせることができないからこれを」
取り出したハンカチにくるまれていたのは、指輪。
「カティア様の指輪ですか?」
「うん。さっき王宮で会食した時にテーブルに置き忘れててさ」
「では、失礼します……」
シャルロットはテーブルの上に紙と万年筆を用意してから、カティアの指輪に触れる。
いつものように、頭の中に映像と音声が流れ込んで来たーー




