第26話 初めての魔物創造。
ペルトルシャを倒し宮殿内へと入った慎吾一行は、大きな魔力反応が感じられる上階へと向かって駆けていた。
やはりと言うべきか否か、宮殿内に配置されている魔物は狂暴性も増しており、数も多かった。
ゴブリンなどは狂暴性が増しても、数が多少増えてもそんなに支障は無いのだが、オークやオーガと言ったーー他にも居るがーー多少なりとも強いーー慎吾や愛菜、レイベル、ミカエラからすればそうでもないーー魔物の狂暴性が増しているとセナなどはてこずっているのが見てとれる。
「邪魔だな、てめぇらっ」
「一気にやっちゃう?」
「そうする」
そんな会話を愛菜と交わした慎吾は、ディアスティマの切っ先を正面に向けると魔法を発動する。
「|《永久凍土》《ニブルヘイム》」
解き放たれた膨大な氷の魔力は、正面から向かってくる魔物全てを氷漬けにした。
「もう一回、|《烈風の万刃》《フルフィリア》」
ディアスティマの切っ先から現れるのは、幾万もの風の刃。
その一つ一つが致死の威力を持ち、氷漬けにされた魔物を木っ端微塵に切り刻む。
後に残ったのは、小間切れにされた魔物だったものだけだった。
しかし、魔物が居なくなったのも束の間。
上階から更なる魔物の軍勢が降りてきた。
「めんどいなぁ」
「そうねぇ」
「今度は俺が殺る」
「おっ、レイベルか」
「レイベルが殺ったら、一気に行きましょ」
慎吾の前に躍り出たレイベルは、魔物に対し腰を落とすと左手を前に出し、右手を握り手前に引く。
小さく息を吸い込むと、裂帛の気合いと共に右手を目の前まで来ていた魔物に叩き込む。
「ァァアッ! 《魔技・爆砕拳》ッ!」
握り込まれた右手に収束された魔力が、先頭のゴブリンに炸裂する。
殴られたゴブリンは、体のあちこちを弾けさせながら後続を巻き込んで後ろへと吹き飛んでいく。
「おぉー」
「感心してないで早く行きますよ、シンゴ」
「そうだぞご主人」
「あー、うん」
レイベルが開けた穴を慎吾たちは一気に駆け抜けていく。
† † †
レイベルがゴブリンを吹き飛ばして以降も、雪崩のようにやってくる魔物たちを倒しながら、慎吾たちは上へ上へと進んでいき、ようやく大きな魔力反応がある大広間らしき場所の前へと辿り着いた。
「ちょっ、慎吾早く! 後ろから来てる!」
「よーし、ちょっと試したいスキルがあったんだよなー」
「なんでも良いから早く!」
「急かすなって、《魔を創る者》ーー創造、【憤怒の化身】、イラ!」
慎吾がディアスティマを床に突き刺してスキルを発動すると、その目の前に魔方陣が現れる。
カッ、と魔方陣が閃光を放つとそこに立って居たのは三メートルを越えそうな巨人だった。
慎吾が初めてイラを見たのは、ギルドに置いてあった魔物図鑑で、ランクはS下級。
赤い皮膚に黒い稲妻のような線が走っている三メートルの巨人。
その豪腕から繰り出される拳は、一撃一撃が驚異的な威力を持っている。
「ゴ主人サマ、ごメイレイはナンデしょウカ」
「あ、喋れんだ。じゃあ、ここに入って来ようとする魔物、全部殺して」
「リョうかいシマシた」
片言ながらも人の言葉を介するイラは、慎吾の命令を聞き届けると、魔物に向き直り迎え撃つ。
「じゃ、行くぞ」
慎吾の言葉に、皆が重々しく頷く。
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