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第24話 百鬼夜行?


 帝都ヘイレルの近くにある森の中に出たシンゴたちは、帝都へと至る道の途中までは歩いていたが、帝都が視界に入って来た途端に走り出した。

 何故なら、帝都から煙が上がっていたからだ。


「なんだあれっ?!」

「分かんないっすけど、急いだ方が良さそうっすね!」


 そして各々が全速力で走り出す。

 無論一番最初に帝都へと着いたのはシンゴだった。

 その次に藍玉、フィル、ミカエラ、シエテ、セナの順だった。


「ちょ、皆早いっすよ……」


 早い、と文句を言うセナの事を無視してシンゴたちは状況を確認する。


「な、何ですか……これ」

「分かんねぇ、それに火の手が上がってるのに冒険者とかがいないのを見ると、ギルドに冒険者たちが収容されてんのはホントっぽいな」

「そうだな」

「どうする、御主人?」


 問いかけるフィルにシンゴは少し考えてから答えを出す。

 先ほどから宮殿に強い魔力反応が感じられるが、今は目の前の状況を鎮圧することが先な事位シンゴでも分かる。

 故に二組に分けることにした。


「俺とフィルはギルドに行って、その開放をしてくるから、他の皆は魔物の討伐を頼む」

「分かった」

「分かったっす」

「分かりました」

「了解した」

「分かったよ」


 自身がやることを確認した皆はそれを果たすため、町の中へと散開していった。


  †  †  †


 シンゴとフィルは冒険者たちが居るであろうギルドを開放するために、そこに向かっていた。


 ーーアカシ、ギルドの位置は?!

 ーー案内を開始します。

 ーー任せた!


 アカシックレコードに道案内を任せ、シンゴはその案内の通りに進んでいき、向かってくる魔物を魔銃オルテアで撃ち抜く。

 そしてその周囲に展開している盾となったフィルは、その仕事をしっかりと果たすかのように、飛んでくる矢や降り下ろされる剣、斧を的確に防いでいく。

 暫くそうやって進んでいくと、ギルドが目に入ってきた。

 しかし、その入り口付近にはA上級と判定されている魔物ヴィゴーレが立ちふさがっており、その回りには群がるようにしてゴブリンが数十体いた。

 ヴィゴーレと言う魔物は筋骨隆々で、特に両腕が籠手を付けているかのように盛り上がっており、その拳から繰り出される一撃は、まともに受ければ全身の骨が粉砕骨折しても可笑しくはない。

 そんな攻撃を繰り出す拳の骨はヴィゴーレの体中の中でも一番の強度を誇り、武器の素材によく使われる。

 全身が肉厚の筋肉の鎧で覆われており、生半可な攻撃は通さず、これらの理由によりA上級と判定されている。

 しかし、シンゴの前には筋肉の鎧など意味を為さない。

 自慢の両腕の一撃もフィルに依って尽くを受け流されている。

 その隙にシンゴは災厄の剣群(ディザスターソーズ)を展開し、周囲のゴブリンを切り刻ませる。

 ゴブリンたちは何が起こったのかも分からず、一瞬にして切り刻まれる。

 頭を切り落とされ、胴体を切り分けられ、心臓を串刺しにされ、四肢を切り落とされて絶命していく。

 その後に残ったのは切り刻まれたゴブリンの死体とヴィゴーレのみとなった。

 しかしそのヴィゴーレもオルテアの魔力弾に頭を撃ち抜かれ、脳症と脳髄を盛大に撒き散らし、間欠泉の様に血を吹き上げる。

 シンゴは自らの方に倒れてきたヴィゴーレの首なし死体を蹴り飛ばして、ギルドへと入っていく。

 そこに居たのは、本来なら居る筈の無い、あり得ないやつだった。

 背格好もすっかり変わり、顔も大人びているが間違える筈はない。

 自分が初めて人を殺すに至った過程に置いて外すことの出来ない彼女の名前を、三年前に死んだ筈のその幼馴染みの名前を呼ぶ。

 

「愛、菜……?」


 アイナはシンゴの顔を見ると、目を見開いてあり得ない者を見たと言った様子で口を開いた。


「慎吾……なの……?」

「あ、あぁ、俺だ。慎吾だ」


 するとアイナは目に一杯の涙を溜めて、シンゴの胸に飛び込んだ。


「慎吾、慎吾っ」

「愛菜、ホントに愛菜なんだな」

「こんなところで、慎吾に会えるとは思ってなかった……」

「俺もだよ」


 周囲には人型に戻ったフィルや他の冒険者もいるが、久しぶりに同郷の、それも幼馴染みに会えた喜びでそんなこと気にはならないのだろう。

 シンゴは自身の胸に顔を埋めて泣いているアイナの頭を優しげに撫でている。

 暫くして落ち着いたのか、アイナはバッ、とシンゴから離れるとその体を突き飛ばした。

 心なしかその顔は赤かったようだが、それに気づいたのはアカシックレコードだけだった。


「い、いつまで抱きついてんのよっ!」

「り、理不尽なっ?! ってこんなことやってる場合じゃねぇ!」


 自分から飛び付いてきて泣いたくせに、と思わないこともないが、今はそれ所でないと思い直し話をし出す。


「皆、聞いてくれ!」


 今帝都がどうなっているのか、何故自分がここに居るのかなどを話し、ギルドマスターや受付嬢、冒険者たちの協力を得る事に成功する。

 冒険者たちはワラワラとギルドから出ていくと魔物の殲滅や怪我人の救助に向かい、ギルドマスターや受付嬢は収容された怪我人の手当てや炊き出しの準備を行っていた。

 そんな中、二人の冒険者がシンゴとフィルの二人の下へと向かっていく。

 一人は先ほどのアイナだが、もう一人は二メートル近くあるであろう彫りの深い、イケメンのガッシリとした体型の男だった。


「私たちも手伝うよ慎吾。元凶を止めに行くんでしょ?」

「あぁ、ありがとーー私たち?」


 その言葉に頷きかけたシンゴは、慌てて聞き返す。


「あ、ごめん紹介してなかったね。この人は私のパーティメンバーのレイベルさん」


 そう言って隣のイケメンを指す。

 するとそのイケメンは気さくに話しかけ、手を差し出してくる。


「よ、レイベルだ。宜しくな」

「慎吾だ、宜しく」


 二人はガッシリと手を組んで何故か睨み合うとその手を離した。


「それで、慎吾。元凶を止めに行くんでしょ?」

「そうだな着いてきてくれ。っとその前に皆呼んでくるか」

「皆?」


 シンゴはギルドの外に出ると、アカシックレコードの手を借りて仲間たちの居る場所に|《転移門》《ゲート》を開いて、次々と引っ張り込んでいく。


「ぬっ」

「わっ」

「きゃっ」

「姫っ」


 引っ張り込まれた藍玉、セナ、ミカエラ、シエテは恨めしげにシンゴを睨む。


「そんな顔すんなよ。これが一番早かったの」

「それは分かっているが、な」

「ホントっすよまったく」

「ビックリしましたよ」

「全くだ。心臓に悪い」


 口々に自身に向けて放たれる文句に気圧されながらも状況の説明と自己紹介をしていく。


「こっちが俺の幼馴染みの愛菜で、そっちのマッチョがレイベル。で、こっちが俺のパーティメンバーの藍玉、セナ、ミカエラ、シエテ、フィルだ」

「宜しくね」

「マッチョってお前……。はぁ、宜しくな」

「うむ、よろしく頼む」

「よろしくっす」

「よろしくお願いいたします」

「よろしく頼む」

「よろしく」

「じゃ、自己紹介もすんだし行きますかね」


 そう言ってシンゴたち一行は、巨大な魔力反応のある宮殿へと向かって歩いていった。

 

あれですね、レイベルはなんか愛菜のこと狙ってる感じですかね。


いつも読んでくださってありがとーございます!


誤字や脱字なんかありましたら気軽に言ってくださーい!

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