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第21話 守護魔盾プリドゥエン

 「あぁぁぁぁぁぁ!! 禁呪・怨鎖! 」


 魔力を練り上げながら魔王フィレルミアがそう叫ぶと、彼女の周りに五つの空虚な穴が口を開いた。

 するとその穴から真っ黒でシンプルな鎖が五本飛び出してきて、俺に向かってきた。

 俺はそれを左に跳んで避けたが、鎖は眼でも付いているかのように俺を追尾してくる。


 ――はぁ?! 自動追尾とかっ?!


 俺は、俺を追尾してくる鎖をペガサスブーツを起動させながら玉座の間を縦横無尽に駆け巡りながら避け続けていた。

 そんな俺に痺れを切らしたのか、フィレルミアが右腕を一振りし、


「殺れ――怨鎖固有魔法|《狙い射つ邪光線》《アルジィリオス》ッ! 」


 そう叫んだ。

 すると、今まで俺を追いかけてきていた鎖はその眼前に黒い魔力を溜めたかと思うと、俺めがけて黒い魔力をレーザー状にして射ってきた。

 俺はそれを苦労しながらも避けると、また鎖はすぐに魔力を溜め、レーザーを射ってきた。


「ちっ、紫電剣群(エクレールソーズ)展開」


 俺はキーワードを唱え紫電剣郡を展開すると、五本の剣にレーザーを迎え撃たせた。


「『迸れ』ッ! 」


 俺がプログラミングした言葉を紡ぐと同時に、五本の剣から紫電が発生し、五本の黒い光線を迎え撃った。

 |《雷獣走り》《トゥオーノラオフェン》と|《狙い射つ邪光線》《アルジィリオス》は真っ向からぶつかり合って、激しい衝撃音を辺りに響かせながら互いに打ち消し合った。


「これならっ! ――禁呪・狂杭!」


 フィレルミアは狙い射つ邪光線が打ち消されたことに驚きながらも、左腕を一閃して怨鎖を消すと他の何かを召喚した。

 そこに現れたのは、毒々しい紫色をした四つの巨大な杭だった。

 その杭は俺を串刺しにしようと殺到してきた。


 ――これも自動追尾しそうだな。


 そんなことを考えながら飛び交う杭を避けると案の定と言うかなんと言うか、杭は俺を追いかけてきた。

 俺はそれを宙に飛び上がって避けた。

 本当は避けなくても自動防御が発動するのだが、MPを消費するのでなるべくなら避けるようにしている。

 そんな俺を見てフィレルミアは悔しげに下唇を噛むと右腕を一振りして、


「串刺せっ!――狂杭固有魔法|《生を貪る死神の杭》《シュルー・カルナン》ッ!! 」


 今度はそう叫んだ。

 その叫びに呼応するかの様に四つの杭はその体から無数の小さな――小さい、とはいっても一つ一つが刺されば致死に値するが――杭を飛び出させた。

 その杭はこちらに向かって飛んでくる合間にも絶え間なく分裂を繰り返し、数千を越えるのではないかと思うほどに増えた。

 そしてそれらの杭は一斉に俺に殺到してきた。


 †  †  †


 リファン王国の王都エリテアにある王宮では。

 廃寺院の近くで倒れていたセナはミカエラらに回収され、王宮まで運ばれると医務室のベッドに寝かされていた。

 その傍らには心配そうな顔をしたミカエラが椅子に座ってセナの手を握っていた。

 そしてその後ろには、そんなミカエラを守るようにシエテが立っていた。

 一方藍玉はと言えば、窓際の棚の上で日光を浴びながら気持ち良さそうに寝ていた。


「大丈夫でしょうか、セナさん……」


 沈鬱な顔をしながらミカエラがポツリと呟く。

 そんな言葉を聞いた藍玉は片目を開き俯いているミカエラを見ながら何でもなさそうに、


「ただ気絶しているだけだ、その内起きるだろうさ」


 そう言った。

 ミカエラはそんな藍玉の薄情ともとれる言葉にバッ、と顔をあげ言葉を紡ごうとした。

 

「ですが!――」


 しかしミカエラが握っていた手がピクリと動いたため、その言葉は図らずもセナに遮られることとなった。


「ん……、ぅん?」


 セナは目を覚まし、体を起こそうとするが体中が激しい運動をした後の様に悲鳴をあげ、激痛が走る。


「いっつぅ……」


 そんなセナを見てミカエラが握っていた手を離し、慌てて寝かしつける。


「まだ起きちゃダメですよ! スゴい怪我だったんですから」

「そ、そうみたいっすね……。ここはおとなしく寝てるっす」


 セナはそう言うと、おとなしくベッドに横になってすぐに寝息をたてながら寝てしまった。


 ――寝るの早いですね、羨ましいです。


 寝付きが悪いミカエラとしてはセナの寝付きの良さは羨ましい限りだった。

 そこでミカエラは、はたと気づいた。


「そういえば、シンゴはどこに行ったんですか? 先程出掛けていると仰っていましたが……」


 そう、王宮に帰ってきてすぐ藍玉に聞いたのだ。

 シンゴは今出掛けている、と。

 藍玉はそんなミカエラの質問に、顔をミカエラの方に向けながら答えた。


「あぁ、マスターなら今異空間にいるぞ。大方魔王城だろうな」


 藍玉の口からもたらされたその情報は驚愕に値するもので、ミカエラたちが驚いたのは無理もない。


「なっ?! 魔王城ですって?! 」

「藍玉殿、それは真か?! 」


 藍玉はそんなミカエラたちが五月蝿そうに顔をしかめると、


「あぁ、本当だ。契約者と被契約者は魔力的なつながりがあるからな、どこにいても大体は分かる。まぁ、その魔力的なつながりも互いの力量に左右されるがな。マスターなら魔王と戦っているところだろうよ、とはいってもマスターなら魔王とでも契約して引っ張ってきそうだがな」


 と言った。

 

 ――否定できませんね……。ともあれ、生きて帰ってきてくださいよ、シンゴ。


 ミカエラはシンゴの事を心配に思いながらも、セナの看病へと戻っていった。


 †  †  †


 俺は殺到してくる無数の杭を見つめながら、大急ぎで魔法をイメージしていた。


 ――よし、イメージはできた。後は、

「全て叩き落とす! |《荒れ狂う海神の槍》《タラサ・ロンヒ》! 」


 俺が無数の杭に向けてディアスティマを一振りすると、切っ先に巨大な魔方陣が現れた。

 その魔方陣は蒼く輝くと、その内から大量の水の槍を撃ち出した。

 その水の槍は一つ一つが杭と同じくらいの太さを持ち、やはりこちらも刺されば致死は必至だった。

 そして、紫の杭と水の槍はぶつかり合うと数秒拮抗して、互いが互いを打ち消した。

 フィレルミアは驚愕に目を見開いたが、すぐに平静を取り戻すと次の手を打った。

 否、打とうとした。


「っ! まだまだ――」

「いや、終わりだよ」


 フィレルミアは戦慄した。

 次の手を打とうと腕を持ち上げた瞬間、自分のすぐ目の前から声がしたのだ。


 ――気づかなかった……。

 

 シンゴは薙刀の切っ先にをフィレルミアの首に突きつけて、


「もう一度言う、終わりだ」


 薙刀を突きつけられて尚、手を打とうとするフィレルミアにシンゴは最終勧告をした。

 その言葉を聞き、フィレルミアは諦めると持ち上げかけていた腕をだらりと垂らした。


「強いのだな、お前は」


 フィレルミアが戦うのを諦めると突如頭の中に音楽と声が響いた。

 \テレレレッテッテッテーン♪ レベルが上がりました。それに伴い、スキル|《森羅万象を知る者》《アカシックレコード》を獲得しました/


 ――レベルが上がりました? 99が最高じゃないんだな。あと、新しいスキルか……。

 ーーYes、肯定します。我が主(マイマスター)はレベルが上がり、新しいスキル、つまり私を獲得いたしました。

 ーー……誰……?

 ーースキル名|《森羅万象を知る者》《アカシックレコード》が私の名前です。

 ーー人工知能的な何か?

 ーーYes、肯定します。その事につきましては追々話すと致しまして、今は目の前の事に集中致した方が良いかと愚考します。

「あぁ、まぁ、な」


 歯切れの悪いシンゴの言葉に首をかしげながらも、フィレルミア言葉を続けた。


「契約、するのだろう? 」

「あぁ、そうだった。それで、どうするんだ? 」


 ………

 ……

 …

 

 そうして契約が終了すると、フィレルミアの体は強く輝き、次の瞬間そこにいたのは黒地に赤く縁取られ中央に逆さ十字が刻まれた盾だった。

 その盾に俺は『守護魔盾プリドゥエン』と言う名を付けて魔王城を後にした。


「さて、帰るか」

「御主人、どこに帰るんだ? 」

「リファン王宮」


 そう言って俺は|《転移門》《ゲート》の魔法を発動させて、そこにフィル――フィレルミア本人にそう呼んでくれと言われた――の手を掴んで飛び込んだ。

 しかし、転移した先はリファン王宮はリファン王宮だったが、その“上空一千メートル”だった。


「あ、座標指定間違えた」

「御主人?! ちょ、えぇぇぇぇぇぇぇ?! 」

 ――そう言えば、フィルのステータス見てないな。


 そんな事を考えながら俺とフィルは真っ逆さまに地面へと落ちていった。  


いつも読んでいただき、ありがとうございます。


誤字や脱字などありましたら気軽にご指摘ください。


《ステータス》

NAME.フィレルミア

LV.81

HP.390000

MP.290000

ATK.60000

DEF.69000

SPD.60000

MTK.70000


《スキル》


・魔を創る者 ・魔を統べる者 ・身体能力強化 ・|《絶対障壁》《プリドゥエン》 ・禁呪―《怨鎖》・禁呪―《絶槍》 ・禁呪―《狂杭》・禁呪―《業剣》


《禁呪固有魔法》


怨鎖

 └|《狙い射つ邪光線》《アルジィリオス》

 └|《時空越す怨嗟の声》《ヴェティス・マナフ》

絶槍

 └|《降り注ぐ黒雷》《シュヴアルツグラザー》

 └|《天昇る黒龍の軌跡》《ルルア・ルシュカッド》

狂杭

 └|《串刺し候の狂気》《ヴラドツェペシュ》

 └|《生を貪る死神の槍》《シュルー・カルナン》

業剣

 └|《切り裂く暗黒の刃》《クラッドリッパー》

 └|《貪欲な暴食者の顎》《ヴェリテス・シンクルティオ》

 

《ステータス》

MAME.シンゴ・ミカミ

LV.100

HP.500000

MP.360000

ATK.80000

DEF.71000

SPD.72000

MTK.77000


《スキル(new)》


・魔を創る者 ・魔を統べる者 ・禁呪―怨鎖 ・禁呪―絶槍 ・禁呪―狂杭 ・禁呪―業剣 ・|《森羅万象を知る者》《アカシックレコード》


 *|《絶対障壁》《プリドゥエン》は自動防御に統合しました。

 ※アカシックレコードの獲得条件は、異世界人でレベルが100以上で、MPが350000以上、MTKが75000以上であることです。

 *魔力は魔法攻撃力なのでMTKとしました。

 *名前とかはほぼほぼ語感でつけてます。

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