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第16話 真夜中の暴動

 俺はミカエラと手合わせをした日の夜中の十二時頃に魔力を感知して飛び起きた。

 同じように魔力を感知したのか、傍らで寝ていた藍玉も起き出してきた。

 藍玉も俺ほどではないが魔力を感知することができる。


「おい、藍玉」

「あぁ、おそらく魔族たちだ」

「俺はミカエラを起こしに行く、藍玉はセナとアインを頼む」

「分かった」


 短く互いにやるべきことを確認すると部屋を出て俺はミカエラの寝室に、藍玉はセナとアインを起こしに向かった。

 ミカエラの寝室がどこか分からなかったので、兵士を捕まえてミカエラの寝室を聞き出して向かった。

 俺がミカエラの寝室へと向かっている途中で兵士たちがにわかに騒がしくなり出した

 それと同時に耳をすますと外から怒号やら何やらが聞こえてくる。

 兵士たちの話を盗み聞くとどうやら王都民が急に暴動を起こし、王宮の城門まで押し寄せているのだそうだ。

 どうしたものかと思いつつ素早くミカエラの寝室へと向かうと、ミカエラも騒ぎを聞き付けたのか身だしなみを整え寝室を出てくるところだった。

 その傍らにはいつも通りシエテがいた。


「ミカエラ!」

「シンゴ!」

「どうやら魔族たちが打って出てきた様だ」

「本当ですか?!」

「あぁ、藍玉が言っていた」

「そうですか……」

「とりあえず藍玉たちのところに向かうぞ」

「はい」


 手短に状況を伝えて藍玉たちのところに向かうと、藍玉たちもこちらに向かって来ていた様で途中で合流した。


「藍玉、この魔法が分かるか?」

「確信は無いが……」

「何でも良い、分かることを教えてくれ」

「分かった」


 藍玉の話によると、この魔法はどうやら魔方陣内の特定の人物をマーキングして精神に介入し思考操作(マインドコントロール)で操る魔法らしい。


「どうやって止めるんだ?」

「この魔法は操作したい者たちを大きく囲むように魔方陣が現れる。そして、魔方陣を構築するためには東西南北の四方に別れなければならない。さらに魔方を発動してから数十分は動けん」

「最低でも魔族は四人いるってことっすね」

「そうなる。で、止め方は東西南北に存在する四つの魔方陣を消せばいい」

「じゃあ、動けない数十分が勝負ってことだねー」

「そうなりますね」

「なら俺、藍玉、セナとアイン、ミカエラとシエテの四グループに別れればいい。ミカエラ、手伝ってくれるか?」

「もちろんです!」

「よし、じゃあ俺が東、藍玉が西、セナとアインが南、ミカエラとシエテが北を頼む。んで、魔族たちを倒したら王宮に集合だ」

「了解した」

「分かったっす」

「分かったー」

「分かりました」

「うむ」


 そうして俺たちは東西南北に居ると言う魔族たちのところへと向かった。

 全速力で東へ向かうこと数分、一軒の廃屋から魔力が漏れ出ていることを感知した。


「ここか」


 場所を突き止めた俺はバンッ!と廃屋のドアを蹴破り中へと侵入した。

 廃屋の中には、チャラそうな一本角の翼の生えた男が居た。


「お宅だれやぁ?人間が何の用や」

「お前が魔族か」

「質問してんのはこっちやで?なめとんとちゃう?」

「俺はお前を殺しに来た」

 

 そう言うと関西弁のチャラい悪魔はバカにしたように鼻で笑った。


「はっ、人間ごときがわいを殺す?バカなこと言いなさんなや」

「俺は本気だが?お前こそ力量の違いが分かんないようじゃたかが知れてんな」

「そこまで言うなら待っとれや、もうすぐ動けるようになるさかい」


 はっきり言ってこいつは雑魚い。

 セナとアインが二人でかかれば負けることはない。

 他の奴等もこの程度なら心配することはないな。

 そんなことを考えていると徐に悪魔が立ち上がった。


「わいの名前はアルゼリア。お前を殺すやつの名前やさかい、覚えときぃ」

「覚える価値もない」


 あんまり早く帰ってもまだ誰も居ないだろうから少し実験を兼ねて遊ぶことにして、使っていない魔仗ディアスティマを使うことにした。

 確かディアスティマの能力は消費MPの削減と魔法の威力上昇に、自然回復するMP量の増加だったか。

 自然回復するMP量の増加は大して役に立たんかも知れんが他は魅力的だな。

 まぁ、MPが自然回復するっつっても戦闘中に回復するなら別だが。


「はっ、言ってくれるやないの」


 アルゼリアはどこからか取り出したのか、二振りのダガーを両手に待っていた。

 大きさ的にはセナの持ってる双剣よりも一回り小さいくらいか。

 そして、魔力感知から察するにマジックアイテムらしい。 

 要らないけどな。


「サモン ディアスティマ」


 アルゼリアが武器を取り出したのを確認して俺もディアスティマを呼び出す。

 そうして俺の右手に現れたのは刃の付け根部分に赤黒い宝珠(オーブ)の填められた薙刀だった。

 え?薙刀?杖じゃないの?

 まあ、いっか気にしない気にしない。

 出てきたのが杖じゃなくて薙刀なのには驚いたが、薙刀から感じる魔力は確かに俺の魔力を増幅してくれているのでディアスティマで間違いないのだろう。

 俺はディアスティマを一振りして構えて後ろに跳んだ。

 魔法を使うんだからある程度離れとかないとな。


「お宅、なんやそれ」

「杖だ」

「はぁ?」

「杖だ」

「まぁいいか、ほな始めよかっ!」


 そう言ってアルゼリアは俺に飛びかかってきた。

 

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