第11話 挫かれる陰謀、新たな陰謀
俺はゴブリンたちを文字どおり瞬殺してミノアの街帰ってきた。
蛇足だが、空間拡張の付与されたポーチにも《プログラミング》で、災厄の剣群展開の言葉で瞬時に取り出せるようにしておいた。
「あ、シンゴくんお帰り」
「ただいまクロウ」
彼はクロウと言う名で、ミノアの街の警備兵団の兵長を任されているそれなりの地位と力量のある人だ。
見た目は厳ついオッサンで筋肉質だが中身は優しく面倒見のいい男で、兵団員は勿論一般市民からも人気が高い。
最近クエストの行き帰りに話をするようになった。
「そういえばシンゴくんの事をマドカちゃんが探してたよ、何かしたの?」
「いや、何もしていないがとりあえず行ってみるよ」
「うん、それがいいね。いってらっしゃーい」
「教えてくれてありがとう」
手を振ってクロウと別れながら俺はなぜ呼び出されたのかについて考えていた。
(何かしたか、俺?いや、してないな。
なら……あ、大型魔獣の事か?
それなら得心がいく、大型魔獣を倒すと言ったのは自分だしな。
しかし、そうかもう来たかもう少し時間があると思ったが……。
まぁ、いい向かってくるのなら殺すだけだ)
そんなことを考えながら大通りにあるサンドウィッチや串焼きの屋台で買い食いしながらギルドへと向かった。
††††††††††††
今日もギルドは賑わっているようだ、主に併設された酒場の方が。
夕方になってクエスト受けるやつはあまりいないから当然と言えば当然なのだが、如何せん夕方とは言え昼間から酒を飲むのは少しばかり憚られる。
「マドカ、クロウから俺の事を探していると聞いたが?」
「あ、シンゴくん!そうなんだよ!ギルマスがシンゴくんの事を呼んでこいって言ってたんだけどね、探しに出た後でクエスト行ってたことに気づいてね、クロウさんに伝言を頼んだの」
「そうか、それで筋肉達磨は上か?」
さらっとギルドマスターの事を筋肉達磨呼ばわりする辺りがシンゴの内面をよく表しているだろう。
ここで勘違いしないでほしいのだがシンゴは決してゲオルグの事を嫌いな訳ではない。
どちらかと言うと筋肉達磨という言葉は親愛と言うような意味合いがシンゴ的に込められている。
まぁ、その物言いから前世では敵も多かったが嫌いならもっと毒を吐くだろうと自分でも思う。
「き、筋肉達磨ってそれ本人に言ったらだめですよー?」
「分かってる。それで上か?」
「えぇ、待ってますよ」
「ありがとう」
俺はマドカに礼を言うと今までに2回来たことがあるギルドの3階にある一番奥のギルドマスターのゲオルグの執務室のドアをノックもせずに開けた。
中には相変わらず筋肉達磨なギルドマスターがいた。
「入るぞ」
「お、おい!ノック位しろ!」
「何か見られて恥ずかしいことでもしているのか?」
「そ、そんなことはしていないが気持ち的にだな、ノックはするべきだ」
「そうか、善処しよう」
「口だけじゃなくてほんとに善処しろよ?」
「善処しよう」
「はぁ、まったく」
まぁ、ノックもせずにドアを開ければこうなるのが普通の反応だが、そんなことは気にせずに話をすすめる。
「それで、大型魔獣か?」
「あぁ、赤葦草原に出た」
「赤葦草原ってーとこっから数㎞のとこにある?」
「そうだ、そこに出た」
「あ、今更なんだけど魔物と魔獣の違いって何?」
「ほんと今更だな、魔物と魔獣の違いは凶暴性と姿形の違いだ。魔獣は魔物より凶暴で獣に近い姿形をしているがまぁ一目でそれと分かるような感じだから大丈夫だろう。魔物は魔獣と比べると凶暴性で劣るが人間を見れば問答無用で襲いかかってくる。まぁ、魔物の中にはある程度の知性があって人間と言葉を交わせるやつもいるがな」
「そうか、多分よく分かった」
「多分てなんだよ多分て……」
自慢ではないので言わないが俺は前世ではそれなりのバカだった。
自慢ではないが。
「まぁ、わからないことがあれば他のやつに聞くさ」
「そうしとくれ、それで大型魔獣のことだが、お前に指名依頼という形で依頼する。今マドカが書類作ってるはずだから下に行ったら依頼を受けてくれ」
「分かったよ、それで素材は全部貰っても?」
「構わんが素材がどこか分かってるのか?」
「いや、分からん教えて」
「はぁ……、今回現れた大型魔獣はエクレイルと言うやつだから素材はその尻尾と蹄、皮、内臓全部、牙位だな、討伐証明部位は足だ」
「はーい、りょーかい、じゃ行ってくる」
「気を付けてな」
そう心配してくれる優しいゲオルグに手を振りながら「善処する」と答えて執務室を出てきた。
1階に降りながら俺の頭の中はもうすでにエクレイルの素材をどうするかでいっぱいだった。
(まず皮は指貫のグローブにして牙は剣にしてもらおうかな、それから蹄は……)
そんなことを考えながら上の空でマドカの説明を聞き流し、手続きを終えてギルドを出てきた。
「特に準備することもないしすぐに向かうとしよう」
そう考えると行動は早かった。
走って南門まで行き、クエストで出掛ける旨を伝えて門を出るとペガサスブーツをすぐさま起動し空へ飛び上がると全速力で赤葦草原まで向かった。
全速力で向かった甲斐もあり普通なら数時間のところを30分程で走破し地面へと降り立った。
「デカイな」
真っ赤な血のような紅色をした草原に立っていたのは巨大な紫色の馬だった。
馬そのものと言うわけではないが、強いて言うなら馬であった。
その巨大な紫色の馬は6本の足を持ちしなやかにしなる二股の尾や口に生えた無数の鋭い牙、その紫色の体には黒い雷模様が描かれていた。
その巨大な威容のある体は地面から頭の天辺まで合わせると優に80mはありそうだった。
「いいね、面白そうだ」
その巨体に俺は怯むでもなくただ平然と楽しむかのように立っていた。
エクレイルは不機嫌だった。
ここではないところで獲物を捕食していたところを急にここにつれてこられたのだ。
あの忌々しいよく分からない女に。
初めはノコノコと獲物が現れたと思いすぐさま捕食にかかった。
しかしその女は強く、自分の攻撃をひらりひらりと紙一重で、しかし確実に避けていた。
人間風情が!
そう思った。
だがその女は自分が思った以上に強く、しばらくすると膝をついてしまった。
するとその女は満足げに笑うと意味の分からない言葉を紡いだ、かと思うと次の瞬間には自分はよく分からないこの土地にいた。
この苛立ちを納めるために人を食うことにした。
故に人の臭いが濃いこの方向に向かっていたのだ。
そうして真っ赤な草原に差し掛かると一人の矮小な卑しい人間が自分の前に降り立った。
その人間は自分を見て楽しくてたまらないといった様子でニヤリ、と笑った。
自分にはそれがとてつもなく不愉快だった。
人間風情が自分を見て笑ったのだ、イラつかない訳がない。
とても不快で苛立ったので消し炭すら残さぬ紫電の雷撃を放った。
しかしソレは余裕で避けてまた笑った。
自分は足を踏み鳴らし次々と雷撃を放った。
「いいね、面白い」
次々と飛んでくる紫の雷撃を余裕をもって避けながら――ほんとうは避ける必要などない――ニヤリと笑った。
その笑みは絶対的強者が獲物を捕食するときの笑みだった。
最近は手応えのない敵ばかりだったので少しばかり退屈していたのだ。
殺そうと思えばこんなやつ瞬殺できる、がしない。
それをしてしまえばせっかくの楽しみがなくなってしまう。
久方ぶりの手応えのある敵なのだ、少しばかり楽しんでも罰は当たるまい。
そう思い避ける必要などない雷撃を避けて遊んでいたのだ。
「しかし、段々つまらなくなってきたな。攻撃が単調で、ちょっと挑発してみっか、言葉通じるかわかんないけど――おい!馬野郎!てめぇの全力はそんなもんか!そんなんで大型魔獣だなんて笑わせやがる!ただ体がでけぇだけだろが!」
なんだこいつは、そう思った。
自分の攻撃を避け、あまつさえ新しい玩具を与えられた幼児の様に笑っている。
よりいっそう自分は不愉快になった。
人間の分際で自分を笑い、嘲り、侮り、楽しんでるソレにますます苛立った。
そしてしばらくするとソレの顔から笑顔が消えた、その代わりに顔に表れたのは残念そうな悲しそうな表情だった。
そんなときソレは叫んだ。
「おい!馬野郎!てめぇの全力はそんなもんか!そんなんで大型魔獣だなんて笑わせやがる!ただ体がでけぇだけたろが!」
その言葉を聞き、自分の血が沸騰したかの様に沸くのが分かった。
人間の癖に自分を笑い、挑発してきたのだ。
そこまで言うのならもっと苛烈な攻撃をしてやることにしよう。
そう思い、今までよりも一段と太く、濃い紫の雷撃を放ち始めた。
「いいねぇ」
俺は飛んでくる先程までとは段違いの威力を持つだろう太さ、濃さを持つ雷撃を見ながら呟いた。
その雷撃は先程まで俺がいた所に当たると周囲に雷撃を走らせ地面を破壊し、爆発した。
「ひゅう、かっげきー」
俺はよりいっそう苛烈さを増した雷撃をその目に見て楽しくなってきた。
全身の血が沸騰するかのようなそんな感覚だった。
血沸き、肉踊る。
そんな感じだった。
そうして10分くらい避け続けただろうか、急につまらなくなった。
こいつにはこれ以上上がない、それを悟ったのだ。
楽しくしてくれないのならこいつには用はない。
「終わらせるか――災厄の剣群、展開」
そう言って10の剣を呼び出した。
エクレイルは焦っていた。
なぜなら攻撃が当たらないのだ。
雷撃の威力を上げ、地面を破壊するほどの力を持ったそれを放ってもなおソレは余裕だった。
あの忌々しい女の様だった。
自分の攻撃が掠りもしない。
このままでは自分のスタミナが削られていくだけだ。
自分がそんなことを考えているうちにソレはどこからともなく10の剣を呼び出した。
ヤバイ、直感的にそう感じた。
暗い紫の鬣がチリチリとする。
このままでは死ぬ、そう思って咄嗟に後ろにバックステップで下がろうとしたがもう遅かった。
「動くなよ、《|氷結の楽園》《アイシクルエデン》」
俺はエクレイルの動きを止めるために氷魔法を放った。
エクレイルは咄嗟に後ろにバックステップで下がろうとした様だが遅かった。
エクレイルの足下に巨大な魔方陣が現れ、その身を首から上だけを残し氷塊に閉ざした。
「よし、行け災厄の剣群あいつの首を切り落とせ」
10の剣は驚異的な速さでエクレイルの首まで飛び、その刀身をエクレイルの首に等間隔に差し込んだ。
そして、素早く且つ丁寧に傷をつけないように首を切り落とした。
ぼとり。
エクレイルのその巨大な首は1分とかからず地に落ちた。
エクレイルは断末魔をあげることさえ叶わなかったのだ。
「この程度、か」
俺はつまらなくなり剣をポーチに、エクレイルの死体をアイテムボックスに仕舞い、先程からこちらに向けて殺気を放っているやつの処へ向かうことにした。
「《|転移》《テレポート》」
魔法による転移で少し離れた丘の上にいる男の上に転移し、勢いをつけた蹴りを放ちそれを避けられると分かると立ち上がり問う。
「お前は、誰だ」
不味い、有り得ない。
ヴェリクはそう思った。
今ミノアの街にはエクレイルを倒すことのできる冒険者パーティは一組も居ない、それは分かっているし疑っていない。
だから、目の前のこの惨状を不味いと思うと同時に有り得ないと思った。
エクレイルの攻撃を悉くかわし、高位の氷魔法を扱いエクレイルの動きを止め、飛び交う異様な剣でその首を落とした。
ヴェリクには一つの誤算があった。
それは相手がシンゴだったということだ。
無論ヴェリクはごく最近現れた新人冒険者のシンゴの事を知るはずもなくその事は仕方のないことだった。
これが普通――高位の氷魔法を扱い、飛び交う異様な剣を用いて戦う者を普通と言うのなら、だが――の冒険者が相手ならなんとかなっただろうがしかし、相手は少しばかり離れていても気配の察知できるシンゴだ。
目の前の惨状に少しばかり呆然としていたその少しの時間が命取りだった。
気づいたときには男はもういなくなっていて、代わりに気配を上空に感じ、視線を上に向けるとそこにいたのは先程まで自分が監視していた男だった。
咄嗟にバックステップで避け、黒焔を呼び出し即座に戦闘体制を整えたのは流石と言うべきだろう。
そして、目の前の男は立ち上がり
「お前は誰だ」
と問うてきた。
俺は目の前の黒い焔を身の回りに浮かばせている隙なく構えている男を睨んでいた。
「答えろ、お前は誰で、何が目的だ」
もう一度問う。
すると男は一瞬の逡巡を見せるととぎれとぎれの特長的な言葉で答えてきた。
「結社《|黄昏を齎す者》《ラグナレク》の《|十二剣》《トゥエディウス》が第3剣、焔の操者ヴェリク」
「何が目的だ」
「それは、話せ、ない」
「なら力ずくで聞く。《|災厄の剣群》《ディザスターソーズ》、展開」
10本の剣を呼び出し、命令を下す。
「あいつを動けなくしろ」
その命を聞き届けた10本の剣はその身を切り裂こうとヴェリクに殺到した。
「《|黒焔造形》《フレアメイク》、ソード」
しかしヴェリクは飛んでくる剣を避けると黒焔を操り剣の形に変え、俺の10本の剣を迎え撃った。
そのヴェリクを見て俺はポーチの手裏剣を取りだし魔法を付与した。
「《|付与》《エンチャント》《|誘引》《ホーミング》《|指定》《ロックオン》」
指の股4つに手裏剣4枚を挟み、魔法を付与したそれをヴェリクに向かって投擲した。
俺の驚異的な腕力で投げられた手裏剣はこれまた驚異的な速さでヴェリク向かって飛んでいき、避けるヴェリクを追尾した。
「ちっ、《|黒焔造形》《フレアメイク》ウォール」
ヴェリクは黒焔で壁を造り、飛んでくる手裏剣を迎え撃った。
手裏剣は黒焔の壁に突き刺さるとプログラムされた通りに《|爆発魔法》《エクスプロージョン》を発動させた。
凄まじい威力の爆発を受け、崩れた壁をと煙を突っ切って呼び出したデザストルで切りかかる。
これも黒焔で造り出したのだろう真っ黒なメラメラと揺れる焔の剣で俺のデザストルを迎え撃った。
俺の凄まじい早さで打ち出される剣を的確に見抜きそれを弾いてくるヴェリクの力量に俺は瞠目した。
俺の驚きを知ってか知らずか、ヴェリクは剣に込める力を上げ俺のデザストルを弾いた。
俺は飛ばされたデザストルに見向きもせずムグノヴェニエを呼び出し、魔力を込めてそれを振るい氷を発生させて捕らえようとしたがヴェリクはもうすでに黒焔の残滓を残しどこかへと消えていった。
「ちっ、逃がしたか。でもまぁ楽しかったかな」
俺は周囲に浮かぶ剣と地に落ちた手裏剣を回収し、先程仕留めたエクレイルを取りだし解体を始めた。
30分程で素材の剥ぎ取りを終え、剥ぎ取った物を仕舞いミノアの街に帰るのだった。
††††††††††††
ミノアの街に帰ってきた俺はギルドの受け付けに向かい依頼完了の旨を伝えて宿に帰ろうとしたのだが、ギルマスが呼んでいるとのことなので、仕方なく行くことにした。
この際結社のことも報告してしまおうと思った。
3階にあるゲオルグの執務室のドアを相変わらずノックもせずに開ける。
「入るぞ、それで何の用だオッサン俺は眠い」
入ってから入るぞと事後報告をして執務室に入る。
「相変わらずノックしねぇな、まぁいいけどよ、話ってのはお前のランクアップの事だ。ギルドとしても大型魔獣を単独で撃破できるやつをA下級にしとくわけにもいかないのでな」
「何ランクになるんだ?」
「S下級だ」
「そうか」
昇格試験も無しにランクが上がるのは異例中の異例だが、今までになかった訳じゃない。
そんなことを知れないシンゴはマイペースに自分の疑問をぶつける。
「そんなことよりさ、結社《|黄昏を齎す者》《ラグナレク》って知ってるか?」
単純に疑問に思った事を聞いただけなのだが一瞬にしてゲオルグの纏う雰囲気が剣呑なものへと変わった。
「どこでそれを聞いた?」
普通の者なら腰を抜かし恐怖の余り失禁や気絶してしまうような殺気を纏い、俺に問いかけてくる。
††††††††††††
どこかの街の薄暗い路地裏。
犯罪やその他諸々の温床になりそうな場所に立っていたのはヴェリクだった。
「申し訳ありません盟主様任務に失敗いたしました」
誰もいないはずの路地裏でヴェリクは水晶に向かって語りかける。
「気にするな、しかしお前が失敗するか……誰に邪魔をされたのだ?」
水晶の向こうから聞こえてくるその声は幼さと狂気のその両方を孕んだ異様な声だった。
「名前は分かりませんが、冒険者の様でした。エクレイルを瞬殺するような」
「そうか分かった、そいつに関しては今のところは放っておけ。邪魔をするようであれば殺しても構わんと他の剣たちにも伝えておけ」
「了解です。では次の任務に取りかかります」
「期待しているぞ」
姿の見えない水晶の向こう側からでも敬愛する盟主様の声を聞けて歓喜にうち震えながらヴェリクは次の任務へと取りかかるのだった。
††††††††††††
処替わってリファン王国の王都エリテア。
すべてが寝静まった深夜、エリテアの街内部に空間の歪みが4つ現れた。
そこから姿を現したのは真っ黒なコートを着込みフードを目深に被った四人の男女だった。
「以外と簡単に潜入できたな、警備緩いんじゃねぇのか?」
「そうかも知れないけど油断はしないことね」
「然り、油断すれば足下を掬われるだろう」
「そうねぇ、気を付けて迅速に事に取りかかりましょう」
そうして四人の男女は自分たちの主の願望を果たすためそれぞれの仕事に取りかかるのだった。
それを見ていた男が一人、四人の男女にばれることなく息を潜め事を見守っていたその男は四人がバラバラに別れて動き出すのを見ると自分も動き出した。
(不味い、国王様に知らせなければ)
しかし、その男の前に一つの人影が現れる。
「ちょっと待てや、どこ行くんや?」
「くっ」
逃げようとした男は瞬時にフードの男に回り込まれ退路を断たれた。
なら後ろ、そう思い振り向くとそこにも自分の前に立っている男と全く同じ男が立っていた。
「「逃がすわけあらへんやろ、バカなんとちゃう?」」
「なっ?!」
男は驚きで一瞬反応が遅れその隙にフードの男に懐に入り込まれていた。
不味い、そう思った時にはもう遅く、その体をフードの男の腕が貫いていた。
「カハッ」
「やっぱ人間っちゅーうんは脆いなぁ、つまらんわ」
まるで自分が人間ではないかの様に呟いたフードの男は自分の腕を一振りし、貫かれている男を壁に叩きつける。
「グハッ」
「そこで寝ときぃ、永遠にな」
フードの男はケタケタと笑うと闇に紛れてどこかへと消えていった。
「ぐ、こんな、ところで……死ぬわけには…せめて、情報だけでも国王様……に、届けて…くれ」
男は懐から取り出した召喚符を用いて小さな鳥形の召喚獣を呼び出し、自分の見たことの全てを召喚獣に伝えてその息を引き取った。
召喚獣は主からの命令を受諾すると王宮に向かって飛んでいった。
いつも読んで頂きありがとうございます。
次の投稿は明日11/17(月)の予定ですが、暇があればもう一話投稿しようと思います。
誤字や脱字などありましたら気軽にお伝えください。




