第10話 実験と結果
ミノアの街に帰ってきてから一夜明けた今日、俺はある実験のために街から程近い所にある小さな森に来ていた。
その実験とは、俺の持つ魔剣デザストルの能力――その刀身に触れた物を操るというもの――を試すためと、物に魔法を付与する魔法、《エンチャント》と、俺が新しく考えた魔法、《プログラミング》を試すためだ。
早速俺はアイテムボックスから取り出したこの間の昇格試験の際のクエストクリアしたときの報酬である鉄製の直剣10本とデザストルを呼び出した。
因みに、それを試すためにゴブリンの巣を壊滅させるクエストも受けてきている。
「刀身に触れさせるって、こうで良いのか?」
よくわからなかったので地面に突き刺した10本の直剣の柄に、カチン、カチン、カチン……とデザストルを触れさせていく。
「ほんとにこれでいいのか?よくわからんが、まぁやってみるか」
そこで気づいた、「やってみるにしてもどうやったらいいのだ?」と。
我ながらバカだなー、と思った。
「とりあえず、浮かべ」
こんなんで浮くわけないだろうと思いながらも何となく言ってみた。
すると、何と!
10本の直剣が浮かんだではありませんか!
びふぉーあふゲフンゴフン。
ちょっと浮かれすぎた様だ自重するとしよう。
「なら、俺についてこい」
今度は浮かんだ剣たちにそう命令してみた。
するとついてきた!
やべー、なんかかっけー!
「お、おぉー!」
よし、じゃあ攻撃させてみよう。
「あの木を突き刺せ」
俺が剣たちにそう命令すると、剣たちは俺が指定した一本の木に向かって翔び、その木に全部の剣が突き刺さった。
そこで俺はふと思った。
“あの”木を、ではなく“木”を突き刺せと命令したらどうなるのだろう、と。
要するに特定の一本の木を指定するのではなく木そのものを指定したらどうなるのだろう、と。
早速やってみた。
「木を突き刺せ」
すると10本の剣たちはそれぞれ別々の10本の木に向かって翔び、突き刺した。
どうやら特定の何かを指定するとそれだけを、特定の何かではないものを指定されるとそれと判断されるものを攻撃するようだ。
要するに“俺が指定した”ゴブリンを攻撃するか、ゴブリンと“定義されるものを”攻撃するか、ということだ。
「ふむふむ、成る程」
デザストルの能力についてはある程度分かったので、次に向かおう。
《プログラミング》と《エンチャント》の魔法だ。
《エンチャント》はそのまま物に魔法を付与する魔法、《プログラミング》は物に条件を付加することにより、その条件を満たした時のみ《エンチャント》で付与された魔法を発揮する魔法だ。
《エンチャント》は常時発動、《プログラミング》は特定条件下における発動、ということだ。
「よし、やるか」
そう言って俺は直剣10本に全属性対抗力を上昇させる魔法、《オールレジスト》を付与していった。
「《エンチャント》《オールレジスト》、直剣を指定」
俺は次々と直剣に魔法を付与していった。
次は物質を硬化させる魔法、《ソリッドオブジェクト》だ。
たとえ下級魔法でも俺の魔力で行使すればそこそこの効果を発揮する。
ここで魔力とMPの違いを説明しよう。
魔力とは魔法を使った際の威力を示すもので、この値が高ければ高いほど魔法の威力もそれに比例して高くなる。
MPとは魔法を使う際に必要となるエネルギー源ということだ。これがなくなればエネルギー源が枯渇するということなので必然的に魔法は使えなくなる。
「《エンチャント》《ソリッドオブジェクト》、直剣を指定」
さっきから俺が魔法詠唱をしていないのを気にしていたそこのあなた!あとあなたとあなたとあなた!
イメージがしっかりとしていれば詠唱は必要ありません、そう説明しましたよ!
よし、次に付与するのはーっと、よし決めた。剣などの鋭さを増す《シャープネス》にしよう。
「《エンチャント》《シャープネス》、直剣を指定」
よしよし、だんだんとチート剣ができてきたぞ。
次は切りつけた相手を毒にするように《ポイズン》を付与しよう。
「《エンチャント》《ポイズン》、直剣を指定」
にやけが止まらないな。
この調子でどんどんいくとしよう。
そのまま俺は調子にのって色々な魔法を付与しまくった。
まず状態異常系魔法の相手を麻痺させる《パラライズ》、相手を呪ってダメージを負わせ続ける《カース》、相手のスピードを遅くする《スロウ》など全部で4つ付与した。
手裏剣にも同じように魔法を付与していった。
因みに、手裏剣は投げるときに手を切らない様に注意しないと俺が死ぬ。
うん、手袋かなんか買おう。
よし次は《プログラミング》にはいろう。
「発動条件/相手に刺さったとき
発動内容/爆発魔法
終了条件/1回発動したら」
まず1枚の手裏剣にプログラムを書き込んでみた。
「よし、投げるか」
俺が手裏剣を投げると木に向かって一直線に飛んでいき突き刺さり、とんでもない轟音を轟かせて手裏剣が刺さった木は跡形もなく消し飛び、周囲にあった木も木っ端微塵だった。
「やべぇ、自重しなきゃ」
そういいつつも同じように200枚あった手裏剣の半分に《エクスプロージョン》のプログラムを書き込んでいった。
そして残った100枚の手裏剣には《ポイズン》《パラライズ》《カース》《スロウ》のみを付与しておいた。
10本の剣たちには遠距離攻撃のプログラムを書き込んだ。
「発動条件/俺の《ファイアレーザー》発射の言葉
発動内容/火属性光線魔法
終了条件/俺のストップの言葉」
その他にも《アクアレーザー》《アイスレーザー》《アースレーザー》《ウィンドレーザー》《サンダーレーザー》《シャインレーザー》《ダークネスレーザー》の各属性の光線魔法のプログラムを書き込んだ。
そうして作り上げた剣たちに俺は災厄の剣郡の名を付けた。
そうして作り上げた俺だけのマジックアイテムを使ってゴブリンたちを文字通り瞬殺して、予想以上の剣たちの出来映えにホクホク顔でミノアの街に帰ったのだった。




