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第79話 受験生の実情


「これより王立フォールテム学院の入学試験を開始する!!」

学院長の賢者レガティスにより開始の合図がかかった。


最初の試験は筆記試験。全科共通の問題のため、一同は同じ部屋に集まっており、それぞれが受験生に目を光らせている。

(どれどれ……どんな問題なんだ?)

筆記試験の内容に興味をもったデウスはこっそりと受験生の問題用紙をのぞき込む。


〈問一 魔獣や魔族が生まれるのには原因があることが分かっています。どのような原因があり生まれているのか述べなさい〉

〈問二 魔法・精霊術・剣術それぞれの戦いにおけるメリットとデメリットを述べなさい。記述しても箇条書きしても構いません〉

〈問三 創世神ファリアが邪神ニージェルと戦った理由を述べなさい〉


(……うん。やめよう。この世界はまだ知らないことが多すぎる。……僕が受験生だったら落ちているな確実に)

デウスは設問を読むことをやめた。……が、設問の一つについて考えていた。


(魔法と精霊術と剣術ねぇ……)

悪魔との試合で薄々感じていたことがある。魔法系のデウスとフィリア、精霊術系のルナとフェリスからなる≪神々の代行者≫は敵からの不意打ちや急襲に弱い。デウスの言霊が通じる相手なら1秒弱の時間があれば動きを止められるが、それでも間に合わない攻撃や悪魔のような言霊が通じない相手では間違いなく攻撃を受けてしまう。魔法や精霊術は効果が高いが、発動に詠唱を必要とするからだ。それに対して……


(剣術は反射的に攻撃をいなして反撃することができる。一対多数なら不利だが、一対一なら圧倒的に有利だ)

そうしてデウスはある結論にたどり着く。


(魔力を消費して高い火力を出す魔法と、魔力を必要とせず必要な場合のみ集中力と精神力を使う比較的戦闘持久力のある精霊術。そして機動性に長け魔法と精霊術の弱点である発動までのラグを埋めることのできる剣術。この3つを連携させた…ら…相当強いんじゃないか⁉)


「そこまで!」

「!?」

デウスはレガティスの筆記試験終了の合図にびくっと驚いた。それを仲間たち…それとティアにもクスクスと笑われてしまったデウスは顔を赤くした。



続いて実技試験。ここからそれぞれ会場が分かれる。デウスとフィリアは魔法科の実技会場に移動した。


「これより魔法科の実技試験を行う。試験内容は土魔法で作られた小型のゴーレムに攻撃を行うこと。ゴーレムは動かないが、ある一定値に満たない攻撃は無効化する。土魔法に効果が薄い雷魔法や、明確な物理的攻撃の少ない、もしくは存在しない闇魔法や回復魔法もそれぞれゴーレムが補正や変換をしてダメージを受けるようになっているため、自分の最も得意な魔法をゴーレムにぶつけるように」

魔法って何でもありだな……と改めて感じたデウスをよそに、すぐに試験が開始された。


「生命の根源たる水の粒子よ

冷気をまといて敵を撃て 水の弾丸(ウォーターブレッド)

「……え?」

デウスはある受験者のウォーターブレッドを見て固まった。……雨粒の間違えではないのか?と。


「おぉー…」

ほかの受験生から感嘆の声が上がる。ゴーレムの表面に傷がついていたのだ。

(どうやったら今ので傷がつくんだよ……って、なんでみんなこんなのに感心しているんだ?)


この疑問はすぐに解消された。どの受験生もみな、属性は違えど似たような超低出力の魔法しか使えていない。そしてなにより、全員があたかも当然かのように自信満々な顔をしているのだ。


「これは一体……?」

「デウスさま。これが現実なのです」

デウスが目の前の光景が信じられないという顔をしていたためか、賢者レガティスが声をかけてきた。


「世間一般では、魔法は使えるだけで天才だといわれています。だからこそ、あの者たちはあの程度の魔法でも褒められて過ごしてきたのです。したがって魔法の練習などするはずもない。学院を卒業するまでに叩き込みますが……それでも、魔法が成長しやすい幼少期に怠けていたつけは払いきらないまま学院を去っていきます。これがこの国を護るべき人間たちの実情です。そしてこれは精霊術科も剣術科も大して変わらないのです」


ため息まじりの諦めに近いレガティスの話に、デウスはこれからのことが不安になっていった。



いつも読んでいただきありがとうございます。


作画担当のSorellaさんからフォルトゥナ=ウィンクルムのイラストを提供いただきました。

そのため、本日夜10時前後にTwitter(あんまとい@駆け出し小説家 @philia_2310)の方で先行公開するつもりです。


またTwitterで先行公開していましたデウスとフィリアの並び姿のイラストを、こちらも本日夜10時前後に活動報告と第2話に公開しようと思います。


ぜひご確認くださいませ!

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