第78話 剣姫ティアモ=アエテルヌム
決闘の後、デウスたちはそのまま国王の私室に招かれた。
「それにしても……救いようのないほどのクズたちじゃったのぉ……」
「お父さま。国王ともあろうお方がそのようなことを言ってはいけませんわ!」
「なんじゃルナ。儂だって人間じゃ。そう言いたくなることもあるのじゃ。それにここには気の知れた者しかおらぬからのぉ」
「それなのですが国王さま。この女性はどなたでしょうか?」
デウスは初めて見る桃色の長い髪の女性について尋ねた。すらっとした身体に2本の細めの……両刃剣らしきものを差している。
「そうじゃ、紹介していなかったな。ティアよ。自己紹介をするがいい」
そう言われた女性は握った右手を左胸にあて腰から軽く頭を下げた。騎士流の敬礼である。
「お初にお目にかかります。私はティアモ=アエテルヌム。国王直属の名前付きに加え、A級のソロハンターも兼ねております。この度は≪神々の代行者≫の皆さまにお会いできて光栄です。先日の悪魔襲来の際、加勢できず大変申し訳ありません。私のことはティアとお呼びください」
ティアと名乗る女性は、はきはきとした口調で自己紹介をしてくれた。
「デウス=ヌーミネです。よろしくお願いします」
「フィリア=デアです。お会いできて光栄です」
「フォルトゥナよ! 久しぶりね、ティア!」
「フェリス=グラティアスです。これからよろしくお願いします」
全員が自己紹介を終えたところで、デウスが切り出した。
「A級のソロハンターっていうのは何となく理解できるんだが、国王直属のネームドっていうのはどういう意味なんだ?」
「普通の名無しは『国』直属だから、命令権は皇室や公爵家などの最上位貴族が持っています。しかし私は『国王』直属のネームレス、つまり国王さまにしか命令権がない名無しの名前付きです」
「そ…そうか。ありがとう」
デウスはネームレスやらネームドやら似たような単語に混乱しかけながらなんとか理解した。
「んーと、そのへんはよくわかんないけどあなたが≪剣姫≫のティアモさん…ですよね?」
案の定理解していないフィリアが問いかけた。
「フィリア。この人を知っていたのか?」
「もちろん! 剣姫ティアモといえばその美貌と舞うような剣さばきで敵を魅了しながら死に至らしめるっていうこの国で一番の剣士よ!! あぁ……本当に綺麗な人……」
フィリアは少し潤んだ目でティアを眺める。あいた口からヨダレが出てくるんじゃないかとデウスはヒヤヒヤしている。
「ちょっと……気持ち悪いですフィリアさん……」
「まぁフィリアがティアに恋するなら私はデウスを独り占めできて嬉しいですわよ」
「お前らなぁ……」
デウスは呆れつつもティアに興味をもった。
「それで……どうして私たちを集めたのですか?」
フィリアが国王に疑問を投げかけた。
「あんな事件が起きたのじゃ。これからこの国がどうなるかわからぬ。そして明日はフォールテム学院の入学試験の日じゃ。デウスたちには試験会場で邪神教徒などの脅威の調査と有事の際は受験生たちの保護することに加え、入試の様子も見てもらう。今の学院の入学希望者の実力がどのようなものか。どうしたら成長させることができるか。その目で見て参れ。
なお、魔法科にはデウスとフィリア。精霊科にはルナとフェリス。剣術科にはティアモがそれぞれつくように。いいな」
「かしこまりました」
その場にいた全員に王命が下った。
明日は王立フォールテム学院の入学式。この世界の同年代の人間がどれほどの力を持っているのかわくわくしているデウスだった。




