第45話 光の神獣
「大天使……さま?」
「えぇ、そうよ。光を司る天使 アイテールよ」
ルナは未だにポカーンとしている。
「フォルトゥナ。あなたが今まで魔法が使えなかったのは、あなたに精霊術の適性があったからよ。それも強力な。つまり……」
アイテールがルナの目を見ながら続ける。
「あなたは精霊術士のさらに上、霊獣使いの適性があるのよ」
「霊獣使い? ……私が?」
ルナはアイテールの話が信じられずにいた。
魔法が使える魔術士よりもさらに希少で数少ない、精霊を使役する精霊術士。
精霊術士は周辺にいる微精霊のうち、自分の適性にあった属性の微精霊の力を借りて戦う者たちのことを指す。
精霊術は魔術と違い自分の魔力を消費しないため、精霊が力をかしてくれる限りいくらでも発動でき、基本的に魔術より威力が強い。
弱点は周辺に自分の適性に合う属性の微精霊がいないと何も出来ないことと、あくまで微精霊のため気まぐれなうえ威力もそこそこであるということ。
さらに精霊術士は精霊術をつかえるかわりに魔術系統は全く使えなくなるという最大のデメリットがある。
そんな精霊術士の格上の存在が霊獣使いである。
霊獣とは、微精霊が進化統合し生き物のように意志と肉体を持った精霊である。
微精霊とは比べ物にならないほどの力を持ち、使役出来れば一城を落とせると言われるが、意志を持つため力をかしてもらうには相当な信頼関係と技術が必要となる。
「きっとあなたの声に導かれて出てきてくれるはずよ。あなたの大切なパートナーになる霊獣がね」
「はい……やってみます!」
ルナはアイテールに言われるとおり、右の親指を切り血で左の手のひらに円と星を描き、言われるがまま詠唱をした。
「神聖なる聖域に住まう霊獣よ 今、時は来た
永遠の盟約に従い 我が声に応えよ
汝 フォルトゥナ=ウィンクルムの名のもとに顕現せよ」
ルナの血で描いた左手の模様が光り、同じ模様が目の前の地面に浮かぶ。
その瞬間魔法陣のうえに光が集まり、それは霊獣を形どった。
「……さすがねフォルトゥナ。まさかペガサスを顕現するとはね……」
「ペガサスって……神話に出てくるあのペガサス……ですわよね?」
目の前にいる霊獣は、一言で表せば翼のある美しい白馬である。しかし、この霊獣から放たれるオーラは馬のもつそれではない。
ペガサスは創世神ファリアが邪神二ージェルと戦った際、創世神とともに正義のために戦ったと言われている神獣である。
「……ペガサスは光の霊獣の中で最高位ってこともあってプライドが高くて、創世神さま以外の呼びかけには反応したことがないのよ。
あなたは創世神さまから加護を頂いているから、そんなあなたにならと出てきてくれたのかもしれないね」
ルナは未だに状況を読み込めていないが、ペガサスがルナの方に歩いてきたことでハッとし、やるべきことを思い出した。
霊獣召喚の際に切った指から出た血を手のひらに3滴ほど落とし、ペガサスに差し出す。
ペガサスがこのルナの血を舐めれば正式にペガサスとルナの間に主従契約が結ばれる。
(お願い……私と一緒に歩いていこう……?)
ルナは祈る気持ちでペガサスを見つめる。
ペガサスは……ルナの血を舐め、ルナに身体を擦り寄せた。
それは最高位の精霊術士、光の神獣使いが誕生した瞬間であった。




