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第28話 疑いの目


盗賊を引きずりながら道を進む事2日。

王都まであと1日ほどの小さな村に立ち寄った。


「ふーぅ、疲れたーっ!」

「私もですわっ!」

フィリアとルナがベッドにダイブした。


第2王女、フォルトゥナ率いる一行はここ、ユムリ村に立ち寄り空き部屋を貸してもらって1泊することとなった。

部屋割りはフィリアとルナ、デウスとイークウェス、助け出した女性たち、そして……犬小屋に盗賊である。


「ねぇフィリア! このユムリ村は温泉が湧いていますのよ!」

「そうなの? ルナ!早く一緒に行きましょう!!」

「えぇ! 女性たちもみんな連れて温泉につかりに行きますわよ!!」

善は急げ、とばかりにフィリアとルナは女性たちが集まっている大部屋に移動した。


「みなさーん! みんなでお風呂に行きましょう!!」

フィリアがドアをどん!と開けて入るなり叫んだところ……


「…………」

ビクッとした後、全員が震えてしまった。

道中で人数分の服を手に入れて渡していたため、寒さからではないだろう。


「どうしました、みなさん。私たちが怖いのですか……?」

しーんとした空気が流れたのち、1人の猫の獣人……馬車に乗り込む直前までデウスたちを見つめていた女性がおそるおそる発言した。


「あの……怒らないでくださいね? どうして私たちを助けてくれたのですか? 盗賊のアジトには沢山の財宝もあったのに、それには目もくれず私たちだけ……」

そして彼女はゴクッと唾を飲み話を続けた。


「私たちを奴隷として売りさばくために助けたのですか……?」

泣きそうな目でフィリアとルナを見つめる猫の獣人。その手はグッと握りしめられており、フィリアやルナに全く心を開いていないことを示しているようだった。


思いもよらない発言に2人は顔を見合わせた。


「えっと……私たちは盗賊に捕らえられているみなさんを助けてあげたいと思っただけですわよ?」

どうしたの?と問いかけるようにルナが答えた。


「それは本当ですか? それならなぜ財宝には目もくれずに私たちを連れ出したのですか? 私たちがあれら以上の金になると思ったからではないのですか?

そしてそのうえ服を渡してさらにはお風呂まで……小綺麗にした方が高く売れるからなのでは?」


フィリアはそこまで言われるとイラッとして声を荒げる。


「あなたはさっきから何の話をしているのですか!?

困っている、辛い思いをしている人がいたら何とかしてあげたい。そう思って行動するのはそんなにおかしい事なの!?」


フィリアのすごい剣幕に猫の獣人は額を床につけた。


「ごめんなさい! 滅相もありません……お許しを……」

彼女は泣きそうな顔で平謝りする。


「フィリア、落ち着きなさい。彼女たちはずっと不本意に盗賊に自由と尊厳を奪われ言いなりになっていくしか生きる選択肢がなかったのです。このように考えるようになっても仕方ありませんわよ」

(生きる選択肢……かつての私のようだ。彼女らも、昔の私と同じだ……)

そう思ったフィリアは、素直に声を荒らげたことを詫びた。


「私たちはあなた達に、盗賊に捕まる前と同じような生活を取り戻して欲しいのです。そのためにあなた達を助け連れ出し、服を与え、今から身体を綺麗にしながらお話をしましょうと提案しているだけなのですわ」

「それは本当……ですか?」

「えぇ、もちろん。トリスタン王国第2王女、フォルトゥナ=ウィンクルムの名に誓いますわ」


猫の獣人を含め開放され女性たちは、ルナのたちの優しさに涙が……出そうだったが、ルナが王女であることに驚き涙が引っ込んでしまった。

そして全員が一通り落ち着いてから、みんなで温泉に向かっていったのだった。


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