第27話 友だちとして
「護衛兼……」
「師匠?」
またもやデウスとフィリアがぽかんとする。
「えぇ! ただ礼を渡すだけならその時だけしか宮殿には入れませんし、それが終わったらおふたりとはさよならになってしまいますわ。
しかしです! 私の護衛兼師匠としてそばに居てくださるのであれば、私が両親に話してあなたがたを第2王女付きの側仕えとして宮殿で暮らせるようにして差し上げますわ!!」
王女はうきうきとしてペラペラと話す。困惑しているデウスとフィリアを気にも留めずに嬉しそうに話している王女を見てイークウェスはやれやれと頭を抱えていた。
「えっと……王女さまのご両親ということは……」
「王さまと王妃さまよ、デウス…」
デウスとフィリアは王女の言っていることの事の重大さに声を細める。
「大丈夫です!! お父さまもお母さまも優しい人ですので!」
「そ……そういう問題では無いかと……」
フィリアがどうしましょうという表情でこちらを向いている。
そこにイークウェスが割って入ってきた。
「なぁ、おふたりさんとも。王女さまの話はあんたらにとってもいい話じゃないのか?
宮殿なら普通の人は入って来れないから家出したのが見つかる心配もないし、3食寝床付きで給金まで出るんだぜ? 断る理由があるのか?」
確かに、これ以上ないほどのいい話だ……。デウスは前向きに検討を始めた。
「それにな、王女さまは実際には護衛でも師匠でもなく、友だちになって欲しいんだよ。な? 王女さま?」
イークウェスはいたずらそうに王女に視線を向ける。
「そ……そういうわけじゃありませんのよ! 別にそんな……」
王女は顔を真っ赤にしてうつむく。さすが側近の護衛。なんでもお見通しのようだ。
「王女さまはな、王族だからというのもあって人間付き合いは政略が関わるものばかり。だから純粋な分け隔てなく付き合える友だちってのがいないのさ。
だからよ、どうか王女さまの友だちになっておそばで話し相手にでもなってくれよ、な?」
「う……うぅ……」
王女は恥ずかしさに耐えきれず涙目になっている。
そこまで聞いたフィリアは身を乗り出して口を開いた。
「えぇ、もちろんよ! 王女さま。私たちは王女の味方で、護衛で、師匠で、そして一番の友達ですよ!」
「あぁ、そうだな。これからよろしくお願いします。王女さま」
ぱあぁ……っと王女の顔が明るく笑顔になる。
「本当ですね! 約束ですわよ!!」
「はい! フィリアの名にかけて!」
「デウス=リーグレットの名にかけて」
これからの行き先が決まった。行き先は王都、王宮。
これから新しい生活が始まる。そう思うとデウスもフィリアもワクワクがとまらなかった。
それはもちろん、王女も同じだった。
「それでは……私の始めてのお友だちにお願いがあります」
ん?なんですか?と2人が王女を見る。
「お友だちなのですから、王女さまではなくフォルトゥナ……ルナと呼んで下さいまし!!」
また王女……ルナがキラキラとした眼差しを向けてくる。
「あぁ、これからもよろしくな。ルナ!」
「ルナちゃん、よろしくね!」
「はい! よろしくですわ!! デウス、フィリア!」
若者たちのキラキラについていけないイークウェスは、せっせと盗賊を馬車に縛り再出発の準備をしていた。
そんな中、助け出された女性たちの中の一人、空色の髪をぼさぼさにされている猫の獣人は馬車に乗り込むぎりぎりまでデウスたちを見つめていた。




