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灯り合わせ ― ふたりで座る、その前に ―  作者: stracchino


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第五話 取り替えたねじ

 電話を切った後、修一は客席に腰を下ろした。


 白い布の下で、座面のばねが鳴った。

 何列か前に、紗季がいつも荷物を置いていた席がある。


 また会えば、別れ際に寂しくなるだろう。

 帰りの汽車を遅らせてほしくなるかもしれない。

 その時、彼女に困った顔をさせずにいられるか、今はまだ分からなかった。


 通路の緑の灯りを眺めた。


 やがて立ち上がり、舞台へ戻った。

 窓枠の裏の、潰れかけたねじを一本だけ取り替えた。


 彼女はこれを欲しがるだろうか。

 部屋には大きすぎるかもしれない。

 聞いてからにしようと思った。


 刷毛を洗っていると、目から水が落ちた。

 顔を上げても、もう一滴落ちた。


 修一は袖で拭い、誰もいない舞台を見た。

 情けなくて、少し笑った。


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