第26話 焚火にくべる
勇者パーティの冒険は終わった。
結果としては誰一人として欠けることなく終わった……いや、終わってしまった。
アレンの目的は数十年後に起こる戦争を止めること。
そのためにミチャロフ三世を殺す必要があった。
同時にその選択は故郷と親友を犠牲にする。
裏を返せば、ミチャロフ三世を殺すことと三人の親友が死んで初めて、アレンの目的は達成されることになる。
しかし、三人は生き残ってしまった。
焚火にはいない。
別の場所で生きている、生きてしまっている。
「……あぁ、くそ」
負傷した体で、ボロボロの服を身にまとい、アレンは太陽が昇るよりも先にある場所へと向かっていた。
「この山を越えれば……」
向かう先はエルバートン。
ドラカルトと帝国の国境。
アレンが願う方向に未来が変わっていれば、今日この日……エルバートンで何も起こらないはずだ。
しかし、三人の親友が生き残ってしまったせいでどうなるか分からない。
(統制機関が……)
未来が変わってしまった。
統制機関が何をしたのかは分からないが、アレンの計画は失敗した。
「くそ、が」
山の先に広がる光景を見たくはない。
いや、すでに視てはいる。
この山を越えた先で何が起こっているのか。
「……あぁ……」
山を越えた時、エルバートン村があった場所が燃えていた。
十年前と同じように燃えていた。
帝国軍が侵攻を開始したのだ。
「……おれは……なんのために……」
故郷も家族も犠牲にして、挙句の果てに失敗した。
この十年は何のためにあったのか。
「なんでだよ」
旧エルバートン村の侵攻を発端に開始するドラカルトと帝国との戦争は、やがて世界に波及する。
後世に深い傷跡を残すことになるこの戦争の名を、戦後著名な歴史学者である『I・M・A』は『百年戦争』と呼んだ。




