第三話 能力者との出会い
第三話です。
投稿する回によって文章が長かったり短かったりしますがお許しださいませ。
外に出ると薄暗かった。もう街灯も灯っていた。
「結構遅くなっちまったな。悪い」
「別にいいわよ、そんなことより早く帰りましょ」
しばらく二人で歩いていると、呉島が口を開いた。
「あのさ、今日はごめんね。私、人と話すの苦手でさ……よく人から怖いって言われるんだ」
「だろうな」
「う……」
また少し無言のまま歩きふと横を見ると、中学生くらいの男の子と妹らしい女の子が笑いながら歩いていた。
「あ……」
とても懐かしいような気持になり、少し立ち止まって見つめてしまった。
「どうしたの?何か―――――どうして泣いてるの?」
「へ……?」
呉島に指摘され頬に手をやると濡れていた。朝の夢のせいもあって少し昔のことを思い出してしまったのだろうか。気付いた時には彼らは少し先を歩いていた。
「大丈夫?」
「ああ、すまん。少し妹のことを思い出してな」
「妹?」
呉島は不思議そうな顔をして聞いてきた。
「なあ呉島、少し俺の昔話を聞いてくれるか?嫌ならいいんだが」
「また突然ね……話してみて?」
「少し長いけどいいか?」
俺はそう前置きをして話し始めた。
「小さい頃、俺には妹が居てな……よく笑っていて、笑顔がとても似合う子だったよ。俺たちは小さいながらにその頃の生活が幸せだってことを感じていて、それがずっと続くと思っていたんだ。信じて疑わなかったな」
呉島は静かに聞いてくれていた。その表情は真剣だった。
「その日はよく晴れてたんだ。俺は朝から頭痛がしていたけどな。でも両親が急に遊園地に行こう!って言いだしたんだ。妹はとても喜んだけど俺はあまり乗り気じゃなかった。思えばあの時行くのを辞めておけばよかったのかもしれないな」
呉島は口を開いて、
「結局行ったのね。それで、どうだったの?」
「何も変わらなかったよ。相変わらず頭痛はしていたし、むしろだんだん強くなっていた。少しジュースでも買って来ようと思って自販機に行ったんだが戻ってくると今度は妹までが頭痛を訴えていた。声をかけようと足を踏み出した途端、頭痛が今までより強くなってな。あまりの痛みに動けなかった。両親と妹が駆け寄ってきたけど、妹の顔を見た瞬間に目の前が真っ暗になった」
「え……?」
「次に気が付いたときは本当に自分の目を疑ったよ。今まで喋っていた両親が俺の足元でただの肉の塊に代わっていたんだからな。周りを見たらさっきまで歩いていた通行人さえ、同じようになっていた。俺ははっとして先程まで一緒に居たはずの妹を探したけれど、遊園地にはいなかった。他にも色々な所を探しに行ったりもしたけど見つからなかった。これで話は終わりだよ。聞いてくれてありがとな」
「それはいいけど……妹さんは見つかったの?」
俺は首を振って答えた。
「いや、見つかってないよ。今も時間があったら探してるけどな」
「そ、そうなんだ……」
「そんなことより行こうぜ。もうこんなに暗くなってるしさ」
そう言って歩き出した時、微かな違和感を感じた。なんというか、空間に波紋が広がったような感じだろうか。
「……?呉島、なんか今変な感じしなかったか?」
呉島も感じたらしい。2人でで辺りを見回していると
「きゃああああああああああああ!!!」
叫び声がしたほうに走ると、先程の兄妹の妹が倒れていた。妹の方は足を切られてうずくまっていたが、傷は浅いようだった。一方兄の方は妹を守るように立っていた。しかし腕を深く切られているのか、おびただしい血が流れていた。彼が鋭い視線を向けている先を見ると、1人の少年が立っていた。見た目はその辺に居るような中学生のようだったがその顔面には気味の悪い薄ら笑いが張り付いていた。俺たちは少年から見えない道の角に隠れて様子を見ることにした。
少年は薄ら笑いのまま喋りだした。
「ねえ君、そこをどいてくれないかなぁ?僕が用があるのは桜ちゃんなんだよねぇ。僕はただ彼女と話がしたいだけなんだけど……」
どうやら少年は妹の方に話があると急にあの兄妹を襲ったようだった。それを守るように兄が妹を守ったというところだろうか。それにしてもあいつの薄ら笑いを見ていると頭痛がしてくる。横を向くと呉島も頭痛がするらしく顔をしかめていた。
「……ッ!呉島大丈夫か、呉島!?」
「ええ、何とかね……」
「なあ呉島、あれって止められると思うか?」
呉島は驚いた顔をして、
「ちょっと!?何言ってるのよ!あれって完全に能力者じゃない!勝てるわけが――」
「静かに!気づかれるだろ!」
ここから相手の声が聞こえるということは当然こちらの声も聞こえるということだ。どうやら気付かれてはいない様だったが――――――
「ん~~?誰か居るのかなぁ?盗み聞きは良くないと思うなぁ~~」
気づかれた!?しかしここは道の角。民家の塀のお陰で相手からは死角になっているはずだ。動けずに固まっていると突然強い風が吹きそれと同時に民家の塀が吹き飛んだ。何が起こったのか分からずにいると、すぐ真横で、
「みぃつけぇたぁ~」
という少年の不気味な声が聞こえた。




