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第50話 連れてって

「こちらでございます。ご自由にお使いいただき、ゆっくりと英気を養ってください」



 エルナを中心とした作戦会議を終えたのち、ユヅキは俺たちを本丸御殿の近くに建つ立派な離れに案内してくれた。



 ちなみに会議では、エルナの経験をふんだんに盛り込んだ「おだんご作戦」に、我ながらかなり冴えた俺の思い付きも加えられて、作戦名が「お腹ぐうぐうおだんご大作戦」に改められた。



 これで効果は倍増だろう。



「うわー、かなり広いわ! お部屋もすっごく綺麗よ! 地下牢とは大違いね!」



「本当です! お布団もふかふか! 近くには温泉もあるそうですよ!」



 マリナには宿泊場所も提供してもらった。



 それも高級旅館のような豪華な部屋を二部屋も。



 なんとありがたい話だろう。



 部屋割りはエルナとマヤで一部屋、俺が一人で一部屋なので、久しぶりに一人の時間を満喫できる。



 かなり楽しみだ!



「それじゃあ、俺は自分の部屋にいるから何かあったら呼んでくれ、まあ何もないだろうが」



「はい! お気をつけて」



「わかったわ! あとでエルナと遊びに行くわね」



「来なくていいぞ」



 胸を弾ませながら脊髄反射で答えると、軽い足取りで隣の部屋に向かった。



「おじゃましまーす!」



 俺以外誰もいない真っ暗な部屋のふすまを開くと、荷物を投げ入れた。



 エルナが言っていたようにここから少し離れたところには温泉があるらしい。



 それも露天風呂だとか。



 今日は温泉にでも入ってゆっくり休もうっと。



 そんなことを考えながら部屋の明かりをつけようとしていると、



「よおサト」



「まってた」



 俺以外は誰もいないはずなのに、暗闇の奥から少女のものと思しき声が聞こえた。



 それも二人だ。もしかしてこの部屋、いわくつきなのか?



「だっ、誰だよ」



 急いで明かりをつける。



 そこには二人の少女が立っていた。



「メアにミアじゃないか」



 メアとミア。クロエのダンジョン攻略時に出会った双子の姉妹だ。



 エルナをめっぽう気に入っている。



「サト、私たちも連れてって」



 桜色の髪のメアが、何の脈絡もなくそう言う。



「どうして二人がこんなところにいるんだ?」



「マリナが会議の邪魔しちゃダメっていうからここで待ってた」



 寂しげにそう言うのは妹のミア。



 メアと瓜二つの顔立ちだが、薄萌葱の髪色をしているのでかろうじて見分けがつく。



「こっちにエルナが来ると思ってたからハズレ」



 どうしてそんなに残念そうに俯くんだメア。



 桜色の前髪から覗く失意に満ちた瞳を見ていると、俺は何も悪くないはずなのになんだか申し訳なくなってきた。



「俺はハズレなのかよ……」



 それに、俺はエルナが大好きなこの双子姉妹からハズレ扱いを受けているらしい。



 確実に心をえぐられた。



 ダンジョンで出会った時も同じような心情を経験したことがある。



「でもサトでもいい。メアと私を連れてって」



 ミアが、背伸びをしながら俺の顔をまっすぐに見上げて言う。



「さっきから連れてけって言ってるけど、どこに連れて行けばいいんだ? 公園か?」



「えっと、それはね……」



「サトー! みんなで一緒に温泉に行くわ……」



 ノックもなしに入口のふすまを勢いよく開いたのはマヤだった。



 俺とメアとミアとを順々に見回して、呆然と立ち尽くしている。



「マヤか、すまんがもう少しまって……」



「えええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!」



 眦まなじりが裂けてしまいそうなほどに大きく目を開いて、顎が外れてしまいそうなほどに大きく口を開いて、マヤが叫び声をあげる。



 俺を含めた部屋にいる三人全員が大急ぎで耳をふさいだ。



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