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第51話 勘違い

「ササササッ、サト?」


「こんばんは、私メア。んでこっちがミア」


 メアとミアは、二人そろってスカートの裾をつまみ上げ小さく膝を曲げて見せた。


 いきなり部屋に入ってきたマヤに対しても挨拶を欠かさないとは律儀なものだ。


 感心する。


「部屋に小さな女の子を二人も連れ込んで何してるのよ! まさかそんな趣味があったの!? でもダメなものはダメよ! 超えちゃいけないラインってのがあるんだから!」


 マヤは何か誤解している。


 俺は今、入り口で仁王立ちするマヤから説教を受けているようだ。


「私たちサトにお願いしてたの。だからサトは悪くない」


 捲し立てるように説教するマヤの様子に怖気づいたのか、ミアが瞳を潤ませながらも声を振り絞って必死にマヤに説明する。


 メアは俺の後ろに姿を隠してしまった。


「かわいそうに今にも泣きだしそうじゃない。そう、早くここから出してってお願いしてたのね。だけどもう安心よ、お姉ちゃんが助けてあげるわ! こらサト!!」


 マヤがドシンと大きな足音を鳴らして部屋に一歩踏み込んでくる。


 ここまで怒気に満ちた顔で詰め寄られると、何も悪くなくても謝ってしまいそうになる。


「いや全然違う。ミアはお前のことを怖がってるんだ」


「え……、そうなの?」


 我に返ったマヤが、ミアに視線を向ける。ミアは何度も首を縦に振る。


「それじゃあ、お願いっていうのは……」


 俺の服の裾をぎゅっと握っていたメアが一歩前に踏み出した。


「私たちを今度の戦いに連れて行ってほしいの」


「無理だ」


「確かにそれは難しそうね」


 俺もエルナみたいに二人に好かれたいので、お願いはできる限り受け入れようと思っていたが、これは無理だ。


 いくら負傷者を出さないような戦い方をするとはいえ、作戦が成功するかは未知数だ。


 だから子どもを無責任に戦場へ連れていくことはできない。


「私知ってる、この城に神器ある」


 両手を後ろに回したメアが、俺を上目で見て言う。


「なに! くれるのか!?」


「連れて行ってくれるならマリナに頼むの手伝ってあげる」


 巧い、実に巧い。


 すんでのところで正気に戻れたが、勢いで「よしついてこい」と言いそうになった。


 さすがに俺一人の決断で連れて行くわけにはいかない。


 何とかして二人を安全に連れていく方法はないものかと懊悩していると、ふとある名案が浮かんだ。


「分かった。一旦エルナに相談してみよう。それからマリナに最終決断を下してもらおう」


「でも、仮にマリナさんがいいって言っても二人を危険にさらすことになるわ」


 腕を組んだマヤが、眉根を寄せて心配げに言う。


「エルナの【塁壁】の中に二人を入れておけば、たとえ流れ弾が二人を直撃しそうになっても安心だろ」


 だから、まずはエルナに相談してみよう。エルナがよしと言ったら、次は親友のエルナも交えてマリナに相談だ。


「確かに。それなら安心かも」


「やるな、サト」


 メアが何やら感心したように頷いている。


 褒めるならもう少し子供らしく褒めてほしい。


「早くエルナのところに行こう」


 瞳を輝かせたミアが、いても立ってもいられない様子でとたとたと足踏みしている。


「マヤさーん、サトはいましたかー? なかなか戻って来ないので私も来ちゃいました」


 開きっぱなしのふすまを三度ノックして顔をのぞかせたのはエルナだった。


 ちょうどいいところに来てくれた。

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