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第49話 エルナの自信

 目元が真っ赤になったユヅキに促されるまま移動して来た、見たこともないほど大きな座卓が中央に構える畳敷きの広間にて。


 俺たちはふかふかの座布団に座って、湯呑に入った温かいお茶をすすっている。


 美味しいお茶菓子も出してもらって至れり尽くせりだ。


 こうしていると、自分が今異世界にいることを忘れてしまいそうになる。


 はあ……落ち着くなあ。


「大変お待たせしました。本日皆様をお呼びしたのは、私がエルナに会いたかったから、だけではありません」


 手をパチンと打ち鳴らし、マリナが口を開いた。


「実は一週間ほど前、魔王軍幹部の方からこのような手紙が届いたのです」


 そう言って座卓に一枚の紙を広げた。


 件の手紙らしい。


「この手紙によると、今から三日後に、魔王軍が一千人規模でこの国に侵攻してくるようです。皆様には、その撃退をお願いしたいのです」


「俺たちの国の国王にも聞きましたが、そんな重要任務、そもそも俺たちに務まるのでしょうか? 俺たちよりも強い冒険者はごまんといますし」


「皆様だからこそ、なのです」


「あたしたちだからこそ? なの?」


「そうです。魔族であるエルナに、私の父上と同じく異世界からいらっしゃったというサトさんとマヤさんだからこそ。皆様には人族も魔族も、一人として負傷させることなく、魔王軍を撃退していただきたいのです。もちろん、我が国の軍をお使いいただいて構いません」


「一人も……ですか」


 魔法もろくに使えない俺が言うのもなんだが、ただ撃退しろというだけだったら引き受けられたかもしれない。


 だが、一人も傷つけるなという条件が加わると難易度は各段に上がる。


「ええ。もちろんタダでとは言いません。負傷者を出すことなく撃退してくださった暁には、なんでも欲しいものを与えましょう」


「なんでも……」


 なんでもと言われると少し悩む。


 この国にあるであろう、ソーマ・リョータローが使っていた神器なんかも貰えるのだろうか。


 腕を組んでしばらく考えこんでいると、エルナが俺の肩をそっとたたいた。


「サト、私に良い考えがあります。この依頼、引き受けていただけませんか?」


 おとなしく座っていたエルナは、そう言って俺の手を両手で握った。


 大きく開かれた翠色の瞳は、まっすぐこちらを見つめている。


 それにしても、距離が近い。


「だが、一人の負傷者も出さないとなると……」


「絶対に大丈夫です! 大船に乗ったつもりで私に任せて下さい!」


 ただでさえ近かった自信ありげな顔が、さらに近くに迫ってくる。


 興奮で荒くなったエルナの鼻息が固く握られた手にかかる。


 相当自信があるのだろう。


「あ、ああ。分かった」


 気圧された俺は、そう言わざるをえなかった。


「本当ですか、ありがとうございます。なんと感謝をすればよいものか」


「任せてくださいマリナ、きっと私たちで一人の負傷者も出さずに魔王軍を撃退してみせます」


「心強いのね、エルナ」


 マリナが、何かを懐かしむような微笑みを浮かべている。


 三日でできることは限られるが、やると決めたからには手抜きはできない。


「それで、そのいい考えってどんなのなの?」


「ふふふふ……。それはですね……」


 串にささった団子を片手に持って、何かを企むような顔をするエルナ。


「その名も、おだんご作戦です!」

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