初めての別れ
別れ多き偉大な魔術師の、最初の別れは……。
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初めての別れ
アルトと少年、アルファが出会ってから1年の時が流れた。
その間アルトは、魔術のレクチャーと合わせて、人間としての常識を知らないアルファに一般常識から教える必要があった。
子育ての経験のないアルトにとって苦労することも多かったが、真綿が水を吸うように成長するアルファの姿は彼に師としての喜びも与えていた。
彼らは出会ったオアシスに住みつき、時々町にいって買い出しをする生活を続けていた。
そんな不思議な、それでいて幸せな日々がずっと続くと思われた、そんなある日、事件は起こった。
その日もアルトは、朝から弟子であるアルファの魔術の稽古をつけていた。アルファは、アルトに言われた通り、待機中の風の精霊と呼応し、遠くを見通していた。そんな彼の拡張された視界になにかが映った。
「ねえ、師匠。誰かがこっちに向かってくるよ。結構な数みたい」
「なに?」
アルファの言葉に、アルトもすぐに風の精霊と感応し、同じ景色を見る。その頬に、一筋の汗が流れた。
「アルファ。逃げろ」
「え? どうして?」
「どうやら俺の客のようだ」
「お客さん? だったら……」
「いいから!」
焦りのあまり声を荒げてしまったアルトは、意識して優しい声を出すようにしながら次の言葉を紡いだ。
「いくんだ、アルファ。お前はまだ見つかるべきじゃない」
「……師匠?」
「大丈夫だ。俺もすぐに追いかける。先に〝西の町〟で待っていてくれ」
「……うん、わかった。じゃあ先に行ってるね」
師匠の言葉にようやく納得したらしいアルファは、以前から着ている茶色のローブを纏うとリュックを背負い、風の精霊の力を借りて飛んで行った。
「ようやくいったか……。さて、どうしたもんかね」
アルトの小さなつぶやきが虚空に吸い込まれていった。
◆◆◆
「一級危険行動者アルト・ローゼス。今すぐ魔術協会に出頭しろ。そうすれば命の安全は保障する」
「馬鹿いっちゃいけねえ。俺の〝研究成果〟を知った協会が、俺を生かしておくはずがない」
「では本当なのですか! あなたが〝死者蘇生〟を……」
「さあね。それより、始めよう。講義の時間だ」
そういうとアルトは爆風を巻き起こし、戦闘を開始した。
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