リクトの恋の行方
ストーカーなんて俺の性には合わないが、仕方ない。りかが告白の返事をする場面を見守るぞ。そしてうまくいきそうになったら、邪魔をするという作戦だ。もちろん、そのままデートに行くとしても邪魔しまくってやる。
本当に性格がかなり曲がっている男、リクトなのだった。あの超鈍感女が俺のことを恋愛対象としてみていないことが、そもそも問題で……屁理屈を並べる面倒な男だ。
朝から張っていたいた甲斐があった。よし、いまから山田と会うのか。うまく阻止しないとな。なんで俺、あの女のためにそんなに必死なんだろ……。学校の近くの公園で待ち合わせとは良い度胸してやがる。誰の許可もらって待ち合わせなんてしてるんだ。リクトの天邪鬼もいいところだ。
「待った?」
山田の奴、時間よりだいぶ早く来てやがるな……。木の陰に隠れて見ているリクトは、りかのことが気になって仕方ないのだった。
「この前の返事だけど……」
いきなり、りかの奴、核心にせまるんだな。
「つきあってもいいよ」
が――ん!!!
リクトの中に衝撃が走る。このままでは、あのがり勉とりかが恋人同士になってしまう……。
「あれ? 二人ともこんなところで何やってるんだ?」
「リクト?」
あくまでも、さりげなーく登場する。
「偶然だな。買い物がてら、歩いていたらこんなところで会うとはな」
しらじらしいか? ばれていないよな? そうだ! 昨日俺に恭介が言ったあのセリフを言えば、絶対イチコロだ! ナイスアイディア!! 俺はひらめいた。
「りかは俺に惚れているんだ。お前ごときで満足するはずがないだろ?」
リクトのドSモードが入る。鬼だ。
「そうだよな? りか……俺のことが大好きなんだよな?」
目が笑っていないが、口元だけ笑いながら、りかに問いただすリクト。
「はぁ? 何言ってるの? 好きじゃないよ」
ここでこのセリフ言われるとめちゃくちゃかっこ悪いんですけど。山田の前でフラれるなんて、ありえないだろ。勝者は山田か?
「ごめん。こいつストーカー体質あるし、山田君に迷惑かけるからこの前の返事お断りするわ。ごめんね」
え……? 山田もフラれるの……? どっちも負けということなのか?
「リクト、一緒に帰るよ」
りかは俺の腕をつかんで帰路につく。俺らの家は近い。ご近所だ。
「あんたついてきたでしょ。面白いものみたさでついてくるのわかるけど相手に迷惑がかかるから、そーいうことやめてよね。しかも、恋路までじゃまするなんて……最低」
たしかに、俺は最低男だよ。色んな彼女と付き合っていたし……。ストーカーのように、りかの邪魔ばかりしていたし。
「でも、何? さっきのセリフ、笑える。俺に惚れているとか意味が分からないし」
りかが笑った。笑うところじゃないぞ。そんなに俺のことが嫌いか。俺はバツの悪そうな顔をしていたと思う。
「浮気しないならつきあってあげてもいいよ」
「え……?」
りかが意外な提案をした。さすがに気づいたのか? 俺の気持ちに。
「買い物につきあってもいいって言ってるんだけど」
「あ、買い物ね」
やっぱり鈍感な女だ。
「やばい、財布忘れた」
「ほんとにドジね。本当は買い物にいく予定なんてなかったんでしょ?」
「え……?」
「私のこと、好きなら好きって言えばいいのに」
「なんで、俺がおまえなんかを」
「だって、私はリクトのことずっと好きだったんだよ。でも、リクトには彼女いたりして……友達ポジションでいただけ」
「あ、やっぱりな。俺に惚れてるとわかってたけどな」
俺は心から、りかの気持ちがうれしくて、うまく表現できなかった。
「私のこと好きなの嫌いなの? 昨日からあんた様子おかしかったから」
さすがに、気づかれていたか……。
「す……き……なんだと思う」
なんだこのぎこちない告白は。でも、今のは俺の精一杯の告白であって――。
「手をだして」
りかは俺の手を握った。それは、はじめての二人がつながった手つなぎであった。多分、この瞬間はどんな行為より俺は緊張していて、恥ずかしくて、手のひらはあせだくになっていた。




