リクトの幼馴染 りか
ピンポーン。突然インターホンが鳴った。
「リクト君いますか?」
インターホン越しに聞こえる声。誰だろう?
「りか……?」
玄関前に女子高生くらいの女子が立っていた。
「私、リクトの幼馴染の『りか』です。悪いことしていないか、おばさんに頼まれて様子を見に来ました。そろそろ帰ってきなっておばさんからの伝言です」
リクトの家は電車で1時間程度の距離なので日帰りでも帰宅できる。そこから幼馴染の少女はやってきたらしい。見た目はかわいい女子高生で、少し気は強そうだった。
「お久しぶりです。恭介さん」
「あぁ、りかちゃんて小学生くらいの時に会ったことあったよな」
りかちゃんが少々照れているようだった。
「はじめまして、カレンです。もしかしてリクト君の彼女ですか?」
「彼女ではないですけど、幼馴染の腐れ縁です」
「リクト君の言っていた元カノって……」
ちらっとリクトの顔を見ると――リクトの顔が赤くなる。
「こいつとは、つきあったことなんてないし」
カレンはリクトの本命が彼女だということがすぐに分かった。女癖は悪いけれど、本命がいるんだ。本命の「りかちゃん」は恭介に惚れたということなのだろう。本命にはデレなしのリクト。
「おまえ暇人だな。俺のバカンスを邪魔しに来たのか?」
カレンはそんな高校生らしい照れ隠しをするリクトがかわいいとも思えた。
「どうぞ、中で飲み物でも飲んで休んでいってください」
結局4人でのティータイムがスタートした。
「恭介さんは私の初恋なんです」
突然、りかちゃんが切り出す。
「会ったのって小学生だった頃だよな……俺が高校生くらいか」
高校生の先生……生で見たかったなぁ。カレンは妄想する。
「恭介さんは本当に優しくて。リクトが私をいじめたときにしっかり怒ってくれて……小学生ながら、恋に落ちました」
機嫌の悪そうなリクト。
「リクトは昔から私のこと嫌いみたいでいじめるんですよね。今は本当に次々新しい彼女ができてもすぐに別れて、長続きしないタイプみたいで」
「合わない女と無理して付き合う必要ないだろうが」
あれ? こうしたリクトの言動は先生そっくりだ。りかちゃんの前ではリクトはいわゆるツンデレキャラなのだ。彼女を取られたという話は、初恋の人を取られたという話なのだろう。
「実は初恋の相手に相談というのもなんですが……私、最近告白されて付き合おうかどうしようか迷っていて……教師の視点で相談に乗ってください」
リクトは飲み物を飲む手が止まった。
「その人のこと、好きなのか?」
恭介が質問する。
「嫌いではないし、そろそろ彼氏がいたほうがいいのかな……なんて思っていました」
「お前に告白する男がいるとは、珍しい男がいたもんだ」
リクトが毒舌を発揮する。どことなく先生に似ている。
それを無視して、りかちゃんは深刻に相談する。
「リクトはたくさん彼女がいたのに私には1人もいないので同世代としては焦るというか……」
「あのなー、俺はモテるけど非モテのりかは、無理することないぞ」
「りかちゃん、リクト君は恋愛対象じゃないの?」
カレンが聞いてみた。
「私もリクトも同じ部屋で寝ても異性として意識すらしてない仲ですから」
「そうかなぁ、リクト君、結構りかちゃんのこと好きだと思うけど」
「カレンちゃんのような美少女しか、俺は興味もたないタイプだから」
「じゃあ告白した人と、りかちゃん付き合ってみたら?」
カレンが提案する。
「付き合っていくうちに好きになることも、あるあるだからな」
先生も薦める。リクトはだんまりを決め込む。
「リクト、りかちゃんと一回帰宅しろ。俺は寛大だから今日のことは水に流してやるがな。とりあえず帰れ」
それを言われるとリクトは言い返すこともできず、荷物をまとめてりかちゃんと共にこの家を去った。嵐が去ったかのようだった。
「どっと疲れたな……この浮気娘」
先生はおでこに軽くこぶしを当てた。まるですべてを見透かしているかのようだった。
「先生のこと好きだから、もう浮気はしないから」
先生は私を抱きしめて、首と首をこすりつける。
「俺の嫁になるんだから、悪いことするなよ」
「……はい」
2人が結婚の約束を堅く誓った瞬間だった。




