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同窓会で元カノと再会

「先生のおしりってかわいいね」

「はぁ? どこみてるんだよ?」

 この美少女は急に変なことを言う。いつものことだ。

「本当に変態だな……普通、男のほうがそういう発想なんじゃないか?」

「だって……形もきれいだし、触りたくなる感じだもん」

 はぁ……愛されているというか、変な目で見られているというか……。

「あいかわらず男のケツばかりみてるな、スケベ女は……」

 

 

「そうそう――高校の同窓会のハガキ、来てたよ」

「これがあいつの言っていた例の同窓会か……」

「あいつって?」

 かなり気になった様子のカレン。肉食女子らしい食いつきだ。

 

「俺の唯一の高校時代の友達の男が幹事をしていてさ」

「先生、友達いたんだね」

「高校では進学校だったからヤンキー的な男は浮くんだよ。でも、海道かいどうだけはいつも俺に絡んできて、良い奴だったな」

 しみじみと当時を思い出す。

 

「海道、林堂コンビかぁ。『どうどうコンビ』だね」

「ってことは……元カノ来るんじゃない?」

 

 かなり焦るカレン。

「知らないよ」

「元カノとはどこまで行ったの?」

 重い女って思われそうだけど、気になる。

「そんなこときくなよ」

 少し照れたような先生にむかつくカレン。

 

「キスした?」

「まぁ……」

「経験ないんだよね? 先生って?」

「……」

 

 なんだその 拷問のような質問の嵐は。

 カレンの目が光る。

「元カノとより戻さないでね」

「わかってるって、大丈夫だよ」

 

 カレンの不安そうな顔を見て髪の毛を撫でた。いわゆる髪クシュってやつだ。カレンの髪は、相変わらずいい香りがしてサラサラしていた。

 

 

 唯一の友達に誘われて、同窓会という場所に俺はやってきた。高校時代はヤンキー臭があったせいか? あまり仲のいい友達もいない俺だったが、海道がいたからまぁまぁ楽しい高校生活を送れたからな。断ることもできず……来てしまった。きっと会場でも、ぼっちなんだろうがな。

 

「おっす、ひさしぶりだな、恭介」

「海道じゃないか。お前、今、テレビ関係の仕事してるのか?」

「まぁな。おまえこそ女子高の教師ってガラじゃないだろ」

「だよな……」

「でも、見た目だいぶ落ち着いたと思うぞ」

「もしかして……林堂くん?」

 

 誰だ俺の名を呼ぶのは? まさかの元カノか?

 

「ひさしぶりだね、覚えてない?」

 覚えてない――が、そんなことは言いずらい。

 

「クラスメイトの川口さんだって」

 海道が紹介してくれる。ありがとう、親友よ。

 

「あぁ、川口さんか」

 全然覚えてないし、話したことあったかな?

 

「私、高校の時、林堂くんのこと好きだったんだよね」

 え……? いきなりの告白か?

 

「でも、クラスメイトなんか眼中にないっていう感じでさ、片思いで終わっちゃったけど」

 言ってくれれば、付き合ったかも……。結構かわいいし。嫌われているとばかり思っていたけど、クラスメイトにもあたたかい目で目てくれるひとがいたのか……一人でしみじみとしてしまう。

 

「私もちょっと不良な感じの林堂くん、好きだったなぁ。近づくなオーラ全開で、孤独な印象だったよね」

 誰だ? このクラスメイトB的な女子は?

 

「同じクラスの佐藤さんだって」

 ナイスアシスト、海道。

「あぁ、佐藤さんね……」

 海道はよく覚えているな。クラスの女子の名前。俺は全然覚えてない。

 

 

「ひさしぶり、恭介君」

 この声は……? よく知っている声だ。振り向くと、唯一付き合ったことのある元彼女、木島のどかがいた。

 

「のどか……」

「下の名前呼びか、やっぱり付き合っていた同士だけはあるな」

 海道がからかう。なんだかアオハルが蘇る。甘酸っぱい味を思い出した。

 

 彼女はあまり変わっていなかった。清楚なかわいらしさは健在だった。すれていない感じの普通の女の子。特別な美少女ではない、クラスにいるちょっとかわいいかなぁという位置。でも、なんで俺なんかと付き合ったんだろうな? もっと優等生みたいな男子のほうが見た目つりあいそうなのに……。

 

「今、恭介君は何してるの?」

「高校教師」

「え~意外! 学校嫌いなタイプだったよね」

「まぁ、どちらかというと」

「のどかは?」

「私は幼稚園の先生」

「なんか似合うな。のどかは子供好きだから、いいお嫁さんになりそうだもんな」

「でも出会いはないけどね。女性ばかりの職場だし。子供相手だから」

「恭介君はドラマみたいに、生徒と恋愛なんてないの?」

「え……? まぁ、一応教師だから、それはまずいよな」

「そうだよね」

 

 そうだよ……俺、どんだけまずいのだろう。のどかはカレンとは正反対で、落ち着いた優しい女だ。地に足がついている、いい妻になりそうな女だ。

 

 カレンと言えば……突拍子がなく落ち着きはない。結婚するなら、きっとのどかみたいな女性のほうが普通の幸せが手に入りそうだよな。

 

「なんで、俺なんかと付き合ったんだ?」

「恭介君、格好よかったから」 

 格好よかった? そうなのか?

 

「当時、いじめられていたんだけど、その時相手を威嚇して注意してくれたことあったでしょ」

「あったかな?」 

 すっかり、その事件のこと忘れてた。

 

「そういう恩着せがましくないところがいいなって思ったけど、進学で恭介君、県外に行ってしまったから」

「遠距離になって自然と消滅したというか、俺、おまえに嫌われたと思って連絡しなかったんだよな」

「私のほうこそ、嫌われたと思って連絡できないでいて」

 

 そうだったのか? 俺は嫌われていなかったのか? 新たな新事実だ。もっと良い人が現れたとか、ヤンキー的な男は嫌いとかそういう理由だと勝手に思っていた。いわゆるすれ違いってやつか?

 

 元カノ、のどかが上目遣いで見つめてきた。ちょっとかわいいじゃないか。この角度、女子が一番かわいいといわれる角度じゃないか。平凡な幸せがここにあるような――。最近、俺はカレンのペースに付き合うのに疲れていたのかもしれない。彼女のおっとりした癒しが俺の心をつかんだ。

 

「連絡先きいていい?」

「あぁ、もちろん」

 

 連絡先くらい交換してもいいよな? 彼女のLINEのQRコードを読み取る。

 一次会は、俺にとっては初対面同然の奴ばかりで――友達作りに来た人みたいになっていた。

 しかも、実は俺のことが好きだったとか、気になっていたとか、カミングアウトが想像以上に多くて……。人生最大のモテキをむかえた俺は、有頂天になっていた。どっちかというと高校に馴染めていなかったし、嫌われ者だと思っていたから、まさかの好感度の高さにびっくりだった。

 

 優等生女子って意外とちょっと悪い男が好きなのか? そんな俺を横目に海道がニヤリ、楽しんでいた。きっとこのために俺を呼んだのかもしれない。大人になって見た目や振る舞いが俺自身落ち着いたせいかもしれない。周囲の人間は話しかけやすくなったというのも事実だろう。俺も丸くなったなぁ。

 

 二次会は、ほぼ全員参加となり酒が入った大人になりきれていない大人たちは、テンションが上がった状態で、次の店に移動した。結構、飲んでいたと思う。高校時代に話さなかった男子や女子。意外と酒も入っていたせいか、溶け込めている自分がいた。

 

 最近。生徒と恋愛している緊張感の中、ここにいるのは、全員成人で恋愛規制もないという自由さが心地よかった。ここでは教師ではないのだから。

 

 気が付くと俺は記憶を失っていた。飲みすぎたか?

 

 すると――ここはどこだ? 朝なのか? きっと海道の家に泊めてもらったんだな、そうに違いない。

 

「おはよう」

 起き上がるとのどかがいる? みんなで雑魚寝っていうパターンかもしれない。

 

「みんなは? ――ここは?」

「ここは、私の一人暮らしのアパートよ。覚えていないの?」

 なんだと? 俺一人がのどかの家に泊ったというのか??

 

 

 

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