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オトタクの妹オトキョン

 私の名前は、音名京香。人は、オトキョンと呼ぶわ。ママはオトナの100円ショップを経営しているわ。兄は店員として働いているオトタク。音名家の一人娘なのよ。校則で男女交際禁止されているし、彼氏はいないわ。有名女子高校の17歳。野咲カレンの同級生よ。まぁ、あんな子友達じゃないけど。

 

 最近、好きな人ができたの。林堂恭介先生。私の高校の若手教師よ。元ヤン疑惑もあるけど、そういうところも大好き。だって男らしいじゃない。硬派で強そうだし。彼女はいないっていう噂だし、アプローチを試みる予定よ!!

 

 がんばれ、京香。京香ってきれいな名前だって言われるわ。日本人らしい和のテイストとお嬢様学校の品格がマッチするでしょ?

 

 恭介先生といつも目が合うのよね。きっと、私のこと見ているんだわ……。でも、生徒と教師だもの。禁断の恋。先生は恋に落ちたらクビになっちゃうでしょ。好きという気持ちをこらえているのね。笑いをこらえている、じゃないのよ。

 

 17歳の女の子って一番旬で、おいしい時期。でも、未成年で体は成長していても世間は子供と呼ぶわ。先生ってどんな人が好きなのかしら? 先生は美人系とかわいい系、どっちが好きかしら? 私ってどちらかというとかわいい系かな?

 

 私を高嶺の花だと言って近づかない男子たち。わかってる。あなたたちには釣り合わないけれど……。恭介先生とオトキョンなら――きっと誰もがうらやむカップルになれるわ。そんなことを妄想していた時、近所のおばさんがうちのお店に来て言ったのよ。

 

「あら、京香ちゃん。おにいちゃんに本当にそっくりよね」

「は? どこも似てませんよ」

 ちょっと怒りモードの私。

「顔とか体格とか、雰囲気とか、兄妹よね~」

「私、別にアニメオタクってわけじゃないし。服のセンスもあんなに悪くないですから」

 

 あのおばさん、目がおかしいんだわ。私と兄が似ているはずがないでしょ。本当に失礼しちゃうわ。いや、趣味とかセンスじゃなくて……外見が似てるって言ってるんですよ。

 

 ♢♢♢

 

 オトキョンのラブ攻撃開始。恭介先生は、多分私のことが……好きなはず。あとは、私の気持ちを伝えるだけよ。がんばれ京香!! ファイト!! 自分で自分を応援よ!! まずは直接言葉に表さないで、行動で示すしかないと思っていたわ。だって……私たちは禁断の恋。

 

「先生、質問です」

 さりげなく職員室にて、ラブアタックよ。

 

 恭介(あれ? オトタクに似てないか? オトナの100円ショップの……)

 

 京香(先生ったら……見つめちゃって。美しさに見とれたのかしら)

 私の豊満な胸を質問するふりしながら、押し付けちゃうわ。

 

 恭介(なんだ? 体がでかいと俺の体にぶつかるなぁ。オトタクみたいな体型だなぁ……)

 

 京香(先生、困っているわ。ドキドキしているのね)

 

 恭介(オトタクの親戚かな? 聞いてみようかな?)

 

 京香(スカートひらりで太ももを見せちゃおう)

 

 恭介は、そんなオトキョンの行動に気づかずにいた。それぞれの心の思惑はすれ違っていくのである。勘違いという体質は兄妹似ているものである……。

 

「せんせーい」

「なんだ、野咲か」

 

 

 京香(ちぃっ!! 邪魔が入ったわ。野咲カレン! 先生と妙に距離感近いけど、勘違いしているんじゃないの? 先生は私が好きなのに)自信だけは負けないわ。

 

「ちょっと野咲さん、私が恭介先生に質問していたのに……邪魔しないでよね」

「ごめんなさい。音名さんだよね? オトタクさんの妹さんの」

「あ、やっぱり、オトタクに似てると思ったんだよな。いつもあの100均にはお世話になってるからな。店長によろしく伝えておいてくれ」

 

「……」

(兄とは似てないわよ……先生までひどい。好きな生徒に意地悪したいのもわかるけど……傷つくわ)

 

 そのままオトキョンはぶつぶつ文句を言いながら去っていった。

 

 「兄妹って見た目、似るものだよね」

 「遺伝ってある意味恐ろしいな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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