仕事を割り振ろう
第八十話 仕事を割り振ろう
さて、俺は一度頭の整理をしている。ミコドールも人が増えてきた。
オリジナルメンバーは五人。俺、ゲル、ガッコフルーグ、フレヤ、ロキ。
ワイヴァーンアックス商会会頭はガッコフルーグ。CEOだな。副会頭はフレヤ。実際の役目はCFOだ。最高財務責任者だな。
俺の立場は少し変わっていて、COO最高執行責任者と、フェローとか技術顧問いうやつの兼務だね。
この三人の下に、各部門が連なる事になる。紅茶部門はロキ。部長級だ。農業部門もロキ。兼務だね。二つの部を掛け持ちだ。
酒造部門はガッコフルーグ。CEOだけど仕事なんか無いのでお酒を造って貰う。
新たに増えたのは、Bランクパーティの四人組。戦士兄妹のブロルとロニヤ。この二人は肉体労働担当だ。魔法使いのテクラ。計算が出来るらしいので財務部長になって貰おう。元神官のエルランド。中年だ。人格者なので総務部長候補だ。みんなのスケジュール管理とか、細かな調整をお願いしよう。
そうか、テクラとエルランドで総務部だ。部長はエルランドで。いわゆる総務と、財務と、出荷管理だな。ブロルとロニアの二人はロキの農園で使うかな。
ラグスドールで宿泊した宿の親子、モーラとノーラ。モーラは妙齢のシングルマザー、美人だ。ノーラはまだお子様だ。ダンジョンの五階層に温泉宿を作りたいと思っている。ノーラに宿の経営をして貰いたい。居てくれるので有ればね。ノーラは可愛い女中だ。マスコットだね。
最後は元Sランクパーティに拐かされたっぽいブロス。今は名前を変えてルー・サトルバと名乗っている。愛した男の名の逆読みだ。泣ける。ルーは太陽神の天使であるカロスイを飲み干して、神祖エルフに変わってしまった。ロキはやりにくいだろうが、ロキの下にしよう。植物の成長を促進させる魔法とか使えないかな? エルフの知識はないだろうから、ロキと一緒がいいな。ゆくゆくは農業部門を任せたいな。
ラグスドールの姫君ミーアミーサは大公家預かりだ。
ロキのペットはヤギ。なんとロキはヤギと会話をしていた。あれは絶対本当に会話している。
俺の従魔がペガサスのバーニクとバーサシ。グリフォンのヴァイシュララナとドュリタラーシュトラ。
ルーの従魔はグリフォンのヴィルパークシャ。ミーアミーサの従魔はグリフォンのヴィルーダガ。
これがミコドールの全員だ。はっきり言ってかなりの戦力である。
さて、俺の考えをガッコフルーグとフレア、ロキに言ったら、ロキ以外は即座に許可をくれた。許可というか、何も考えていないと言った方がいい気がする。
ロキは少し嫌な顔をされたが、わかったと言って貰った。私責任重大じゃない?と言っていた。全くその通りだ。
幹部全員に話をしたので、順番に呼んで話をしてみる。最初はモーラ。
「と言うわけで、俺のダンジョンの五階で宿を開きたいと思っているんです。できればノーラさんにここに残って貰いたいんです」
ノーラは難しい顔をしている。
「そうですか・・・流石に私独りでは限度があります。どなたか、こんな私でも貰ってくれる人がいたらいいのですが・・・お話を聞くと結構な規模みたいですので・・・」
「そうですよね・・・従業員を雇っても良いのですが・・・今の候補では冒険者のエルランドさんと若いブロル君しか居ないですね・・・」
「あ、エルランドさんなら私も娘のノーラも良いですよ! あの人達結構泊まってくれるんですよ」
「エルランドさんか・・・話してみますね・・・あ、近々温泉宿を建てちゃいますから、一度見に来て下さい」
「わかりました。期待してますよ。エージさんって力があるんですね・・・驚きました」
ノーラは俺にウィンクをして帰って行った。最初から予定が崩れたぞ・・・総務部のピンチだけど、仕方が無い。
次にエルランドに来て貰った。
「エージさん、面接ですね」
「ええ。話はですね、これからのお仕事です。最初は、エルランドさんとテクラさんでワイヴァーンアックス商会の帳簿と雑務、みんなのスケジュール管理、製品の出荷管理をお願いしようと思ったんですよ。恐らく適役です」
「はい。私に出来るのであれば」
「ですが、先ほどモーラさんと話をしたのですが、俺のダンジョンの五階層に温泉宿を作る予定です。モーラさんに打診をしたら、独りでは無理だと。誰か紹介して欲しいと言われまして」
「私ですか? 宿の運営ですね」
神官だから上手く伝わらないようだ。
「いえ、モーラさんはエルランドさんと結婚して一緒に経営をして欲しいと言っています。詳しい事情はおそらく知っていますよね?」
「え? え?」
「おーい、モーラさーん! 入って来て下さい!」
モーラとノーラが入って来た。
「エルランドさん、ノーラが頑張ったらパパになってくれるって」
搦め手で来たぞ。これは断れない奴だ。
「おじちゃん、パパになってくれるの?」
足下に立つノーラに合わせて、エルランドがしゃがみ込む。
「おいちゃんでいいのかな?」
「うん!」
ノーラがエルランドに抱きついた。
「うん、じゃぁおいちゃんが今日からパパになるから」
三人はにこにこしながら出て行った。良いことだ。
三番目にテクラを呼んだ。
「と言うことでエルランドさんと一緒に仕事をして貰おうと思っていたのですが」
「エルランドと一緒ですね」
「いや、ついさっきエルランドさんとノーラさんの結婚が決まって温泉宿の経営に回ることになりました」
「ええ? 結婚? そうなの?」
「お二人は既にラブラブっぽかったですよ。同じパーティで気が付きませんでしたか?」
「神官だし、年上だし、考えてもみなかった・・・あ、ノーラちゃんと仲が良かったですよ」
「と言うわけで総務部門は大変でしょうけど独りで回して下さい。ゲルの手が空いていたら手伝わせますから」
「えええ? ゲルさん? 無茶言わないでくださいよ・・・無理ですよ・・・」
「まぁしばらくは総務の仕事など有りませんから、料理を覚えてください」
「え、いや、あの」
「大丈夫ですよ」
「それより行き遅れっぽくなってきた私の相手を探してください」
俺は全く遅いとは思わないのだが、医療が発達していない世界の婚姻は早く、殆ど十代で結婚するのだろう。テクラは二十代前半、適齢期だと思うのだけどね。
「いやね、ミコドールに独身の男はブロル君しか居ないですよ」
「ブロルか・・・無理ね・・・」
仲間過ぎて駄目なやつだな。選ばなければいいのにね。行き遅れるな。
「まぁ焦らずいきましょう。よろしくです」
「あ、はい・・・」
テクラは納得しない感じで帰って行った。
四番目にブロルとロニヤに来てもらった。
「とりあえずですね、うちで作るお茶の木、ビールを造るホップ、葡萄酒を作る葡萄、胡椒と唐辛子と、農作業が一杯なんです。しばらくはロキの下で働いて貰いますから」
「ロキさん・・・あのエルフさんですね」
「ええ。ロニヤは悪いけどロキの相手もお願いするかな。あいつ友達が少ないんだ」
「ウフフ・・わかりました」
「あとね、神祖エルフになったルーさんも一緒に働いて貰いますので」
「あの元Sランクの方ですね。わかりました!」
妹のロニヤは話が早い。いいぞ。
「ブロルはしばらくは農作業です。これから鍛冶部門を作るので、そちらに来て貰うかもしれませんが、まだまだ先です」
「わかりました・・・しばらくは妹と一緒なので嬉しいです」
「シスコンも良いですが、ロキとルーさんも居ます。両手に花ですので、和を乱さないように頑張ってください。あ、うちは恋愛は自由ですから。でも重度のシスコンを治さないと、ハブられますよ」
「ぷ」
「因みに結婚相手の斡旋要望が結構あるのですが、俺はミコドールに居る人達しか知らないので斡旋には限りがあります」
「結婚相手の斡旋ですか?」
「ええとね、先ほどモーラさんの要望を搦め手でエルランドさんを寄り切って結婚が成立しました。テクラさんも要望がありましたが既に独身男性はブロルしか居ないというと無理と言って帰って行きました」
「ぷぷぷ」
ロニヤが笑っている。笑顔が可愛いな。ロニヤは俺の従魔なのだが、結婚とかに影響しないのだろうか。ロニヤの結婚は慎重にいかないと駄目かもね。
「えええ?」
「まぁ仲間過ぎて姉弟みたいな感じなんでしょう。気を落とさないでください。あ、ルーさんは傷心中だから傷に触らないでね」
「わかりました!」
「は、はい・・・」
妹は元気が良いが、兄は複雑な感情のようだ。結婚を頑張って欲しい。
最後はルーを呼んだ。
「ルーさんにはロキの下でワイヴァーンアックス商会の製品用の農作業をお願いします」
「お仕事をいただけるのですか?」
この人は卑屈だな・・・神レベルの魔力を持っているのに・・・
「ロキと、ブロル・ロニヤ兄妹が仲間と成ります。ブロル君をよろしく頼みますね」
「あら、ブロル君。わかりましたわ。息子みたいで可愛いですよね。私にもこれぐらいの子がいてもって思っちゃいます」
あら? 今度は息子か。ルーさんは元々中年だったから、まだ心と体のギャップがあるかもね。
「たぶん、ルーさんはエルフになったので植物の成長を早める魔法とか使える気がするんですよ。ロキと色々話して貰えませんか」
「わかりました。こちらこそよろしくお願いいたします」
ふう。やっと終わった。
今回から第三章です。
今後ともよろしくお願いいたします。




