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審判者の誕生

一部修正です。

第五十二話 審判者の誕生


 私はミサキ。審判者と呼ばれている。スキルが判明したら、皆がひれ伏したわ。王が持つ「王者」スキルに次ぐ、偉大なスキルらしい。太陽神エステートに変わり、審判を許された者と言うことだわ。


 実のところ、審判者がなんなのか全くわからないの。何よ、審判者って。だいたい太陽神エステートって何物なのかしら。宮殿の奥に、分厚い大扉の奥に居るらしいのよ。


 開けちゃいけない。本能でわかるわ。今の私の仕事は毎日、太陽神エステートへ祈りを捧げること。祈りを捧げると、魔力がごっそり抜けて無くなる。間違いなく、何物かがいる。駄目。私じゃわからない。私は頭が悪いもの。今日も毎日のお勤めね。


 「ミサキ」


 「なにかしら? サイサ様」


 サイサ第二王女に止められたわ。この女だけは私に傅かない。嫌みの多い女よ。サイサ第二王女が私の担当というか、魔術師の担当のようね。


 「どう? お勤めには慣れて?」


 「ええ、大丈夫だわ。問題ないわ」


 「では太陽神エステート様のご降臨を促す第一歩よ。魔力を強めにお願いするわ」


 「・・・今でも魔力は沢山持って行かれるのよ」


 「まだまだよ。審判者であるミサキはまだまだ大丈夫。自分を信じるのよ。わかった?」


 「・・・わかったわ。やってみる」


 「お願いね」


 私は宮殿を歩き、奥の大扉の前に座り、祈りを込める。


 「いつもより強めって・・・何を言っているのかしら。そんなのわかれば苦労などしないわよ・・・」


 大扉の古い文様の意味がわかれば良いのかもしれない。


 「まぁいいわ。いつもより長く祈るか」


 ミサキは息を吸い、集中する事にした。後ろに控える宮廷魔術師達のことは考えないことにする。邪魔くさい。魔力を扉に与えている訳では無いし。扉をちょこっと開けたと言うと、恐ろしい顔をして付いて来るようになった。失言だったわね。


 「太陽神エスルートよ、大いなる太陽よ、見果てぬ力よ、全ての父親よ、王国に光をもたらし、秩序を与え、魔を払い給え。御身のお力にて糧をあたえ、民を救い給え。御身を裏切る者には報いを、御身をないがしろにする者には報いを」


 ミサキは何回も祈りを繰り返した。祈る度に魔力が吸い取られる。歯を食いしばり、ミサキは耐える。ついに魔力が尽き、床に倒れたその時。


 「新たな審判者のスキルを持つ者よ、扉を開けよ」


 後ろの宮廷魔術師達がざわめき、ミサキの元へ駆け寄った。倒れた時はほっといている癖に・・・


 「審判者様、大丈夫ですか。さ、太陽神が読んでおりまする」


 私は筆頭魔術師の手を取ると、魔力を奪う。筆頭魔術師は床に倒れるが、私の魔力は満たされない。


 「お前達、来なさい」


 私が命ずると、魔術師達は観念した顔で近づいてくる。私は一気に魔力を奪う。十人全員が倒れるが、私の魔力は満たされない。


 「さぁ、開けるわよ」


 私は大扉に力を込める。心の奥底の、中学三年生の私が開けては駄目と、小さく抵抗するが、体が言うことをきかない。体は神の元へ行けることを喜んでいる。


 「おおお、審判者様、太陽神との婚姻の儀、おめでとうございまする」


 「何よ? 婚姻の儀? なによそれ、聞いていないわ。嫌よ、嫌よ!」


 魔術師達が起き上がり、私の体を掴んだ。


 「止めて! 嫌! いやぁぁぁ!」


 「審判者様、おゆきなされ。審判者の務めでございまする」


 筆頭魔術師は扉を開ける。まばゆいが嫌な感じの光が溢れてくる。絶対に良くない奴だ。決まっている。私は生け贄になるの? 生け贄になるために向こうの世界で自殺までしたの?


 「皆の者、審判者様を扉の中へ!」


 私は扉の中に押し込められた。三人が私を抱きかかえ、二人が内側から扉を閉めた。扉が閉まると、五人は痙攣をし始める。


 「審判者以外は要らぬ」


 後ろからの声で五人の魔術師は口から血を吹いた。


 「う、ごごご」


 「あがががが」


 皆が声にならない悲鳴を上げている。


 「太陽神、の御元へ・・ぐげやげう」


 一人は祈り始めるが、口から溢れ出る血で言葉にならない。


 「ちょっと! 扉を開けなさいよ! 死んじゃうわ! ちょっと!」


 五人は血を吹き出しながら扉を護っている。


 「どきなさいってば! 死んじゃうわ! 早く出ましょう! 駄目よ!」


 「審判、者、様、・・・羨ましい・・・私も御元へ・・・幸せで・・・ござい・・が」


 女だ。女の魔術師だ。よく見ると全員女だ。


 羨ましいと言った女魔術師は嫌な声を吐くと、頭から倒れ、動かなくなった。五人全員が倒れ、動かなくなる。


 「なによこれ! なによこれ!」


 ミサキは絶叫する。


 「こちらに来なさい」


 後ろに誰か居る。恐ろしい何かが居る。


 ミサキは恐怖の余り失禁する。


 「嫌、嫌、嫌」


 ミサキは後ろを向けなかった。何かがミサキの後ろで立ち止まる。ミサキは恐怖の余り動けない。恐怖、恐怖そのものが後ろに居る。巨大な魔力の塊。畏怖すべきそのもの。


 何物かは後ろからミサキを抱きかかえた。ローブを脱がされた。シャツも脱がされる。まだ膨らみきっていない胸をわしづかみにされる。嫌、嫌、嫌。犯される。犯される。


 「来ないで・・・」


 涙が溢れてきた。私はこの怪物に犯される。犯されるためにわざわざこの世界へ・・・


 下着が脱がされ、全裸になった。ミサキは恐怖の余り目を閉じた。


 「審判者よ、我を受け入れよ」


 「あああああ!」


 逆らえない。命令に逆らえない。誰にも見せたこと無いのに! 最初は好きな人と決めていたのに!


 ミサキは容赦なく何物かに抱かれた。ミサキの中で何かが大きく弾けた。


 ミサキはふらふらと扉から出る。


 「おめでとうございまする、見事、護国のの結界も大きく範囲を広げることができました」


 筆頭魔術師に抱きかかえられ、毛布で体を包まれた。


 ミサキは女魔道師に抱きかかえられ、湯浴みをした。一刻も早く洗い流したかった。ミサキは出されたモノを洗い流す。それはねばねばした嫌な感じのするモノで、精子ではなかった。


 ミサキの体を洗う女魔道師は、恍惚とした表情で流れ出たモノを飲み干した。


 「え、ちょっと」


 ミサキは驚いたが、女魔道師は恍惚とした表情を崩さない。


 「嘘でしょ」


 王国の人間は悪食だ。何でも食べる。まさか私のあそこから流れ出た何かを、食べるとは・・・何を考えているの・・・確かに神の一部だけどさ・・・


 女魔道師は恍惚としたまま、動かなくなってしまった。変なモノ食うからだよ・・初めてを奪われたけど、以外と余裕があるわね・・・太陽神は精子を出すことが出来ないのね。人間じゃないんだ・・・でも、神はそこら中の女に子供を産ませているけど、太陽神は産ますことが出来ないのだわ・・・哀れね・・・ちょっと残念だけど、そんなものか・・・人間になりたい哀れな生き物なんだね、きっと。まぁ落ち着いて来たわ。それよりこいつよ。なんだか様子がおかしいわ。


 「ほら、しっかりしなさい。あんた名前は?」


 「ミレディです」


 思い出した。宮廷魔術師の下っ端だ。宮廷魔術師の癖に魔力が少ない。縁故採用だろうね。


 「何で食べたの。太陽神の精子っぽいモノを」


 「すみません、触っただけで体の自由がきかなくなって・・・飲み干さなくてはならない気がして・・・」


 ミレディは裸のままミサキに抱きついて来る。ミサキより少し年上の、胸が大きく豊満な女魔術師だ。顔は私の方がいいわね。胸は負けるわね。


 「離れなさいよ。あ、発情しているのね。欲望の塊を食べるからよ」


 「審判者様、か、体が持ちません・・・誰でも良いので男の人を・・・筆頭魔術師のじいさまでもこの際かまいません・・・」


 「何言っているの! 恋人を連れて来て上げるから。名前をいってごらん」


 「あの、宮廷魔術師は神に捧げる女ですので、皆男性経験は無いのです・・・」


 ミレディは体を震わせ、紅潮させる。とろんとした目でミサキを見ると、唇を重ねてきた。舌を入れられた。初めてのディープキスが女とは・・・気持ちいいけどさ。


 「おい、じゃぁ好きな奴を連れて来て上げるから、言ってご覧。初めては好きな奴じゃないと駄目よ」


 「あ、あの第二王子様が・・・大好きです」


 「ミレディあんた・・・確かにあいつはいい男よ。王家の中ではまともよね。でも、そんな事出来るわけないじゃないの・・・あ、出来るわね」


 良い考えが浮かんだわ。エーミルって言ったっけ。あいつ、私を見る目がね、初恋の中学生のような目なのよ。あいつは私に惚れているわね。あいつを操って、忌々しいサイサ第二王女に適当な結婚相手を宛がって飛ばしてさ。あとは第一王子か。あいつをなんとかして第二王子の力を付けさせて・・・うふふ。私を化け物の娼婦にした報いを受けさせるわ。駄目ね。ドス黒い顔はしないようにね。折角頭がスッキリしたのにね。


 居たわ。相変わらず格好いいわね。王家の人間は何故美形揃いなのかしら? ああそうか、美姫をよりどり緑だもんね。美形が揃うわよね。


 エーミル第二王子はバルコニーでお茶を飲んでいた。回りにメイドが控えているだけで、他に人はいない。


 「エーミル王子。顔を貸しなさいよ」


 「ご機嫌麗しゅう。お美しい審判者様。あれ、何か雰囲気がお変わりですね」


 「ご託はいいから来なさい」


 私はエーミル第二王子の手を取ると私の部屋まで引っ張っていった。


 「審判者様! どうされたんです! 色々と問題がありますよ!」


 「ゴチャゴチャ言わない!」


 私はエーミル王子を私の部屋へ引き入れた。私の部屋は大きい。部屋が四つもある。寝室、居間、湯屋、執務室。私は寝室へ引っ張っていく。


 「ゴメンね。あんたじゃないと駄目なんだ」


 「いきなりですね。強引すぎますよ」


 「ああ、違う違う。私じゃないんだ。宮廷魔術師のミレディが太陽神の気に当てられちゃって、男でないとどうにもならない状況なんだ。抱いてやってよ。ほら、入った入った。ミレディはあんたが好きみたいだから、初めての男になって上げてよ。あんたならお手つきで済むだろ」


 私は無理矢理エーミル第二王子を寝室に押し込んだ。


 「王子・・・」


 ミレディが王子に抱きついてきた。


 「ミレディ、君は初めてだろう。僕が初めてになってあげる。だけど、僕の初めては審判者様と決めているんだ。協力してくれるね?」


 ミレディはこくりと頷いた。え? なに?


 私はまた抱かれるの? 嘘でしょ? エーミル第二王子は経験がないの?


 「と言うわけです、審判者様。そのお体を貰い受けます」


 エーミル第二王子は私に覆い被さって、唇を重ねて来た。嫌じゃなかった。それよりエーミルの体から好意が溢れてくる。私は思わずエーミルの男らしい体を抱きしめた。エーミルが唇を離す。胸に何かが込み上げてきた。


 「駄目よ、私はさっき太陽神との婚姻の儀を済ませたわ。射精も出来ない怪物に初めてを奪われたわ」


 「大丈夫です。では人間は僕が初めてですね。嬉しいです。お慕いしています、審判者様」


 私はエーミル第二王子に抱かれた。私はこの男が嫌いじゃない。というより、好きかも知れない。


 「いいですよ、僕の頭の中を覗いて下さい。あなたを好きなのをわかって貰えます。僕と一緒に世界を手に入れましょう」


 「ちょっと世界って」


 「なに、僕が王位について、審判者様が王妃です。政争に勝ったらガレンドールを併合しましょう。それだけですよ。あなたとならば世界を獲れる。ガレンドールを奪い返すより、王位を取る方が難しいんだ。力を貸して欲しい」


 私はエーミル第二王子を受け入れてしまった。エーミル第二王子は必死で私を抱いた。私は、私は、エーミル第二王子に王になって貰いたくなった。


 「エーミル、ミサキって呼んで」


 「ミサキ」


 名前を呼ばれて嬉しくなった。抱かれて男に名前を呼ばれたのは初めてだから。必要とされたのは初めてだったから。初めて好きと言ってくれたから。私は、この男に全てを捧げよう。


 「エーミル、大好きよ」


 「ミサキ、力を貸して欲しい。僕は王になりたい」


 「わかったわ。あなたを王にして上げる、王にして上げる!」


 私は宣言してしまった。嬉しかった。男が私を好きって言ってくれたことに。


 私は果て、ベッドに横たわった。


 「ミレディ、わかった? あなたは私とエーミルの道具となるのよ。わかったならエーミルに抱いて貰いなさい。あなたなら第一王子の后との間に割っては入り、仲を引き裂けるでしょう」


 「はい、審判者さま。私は第一王子に近づいて誘惑いたします。だから、最初だけは、最初だけは第二王子様に抱いて欲しいのです」


 エーミルはにやりと笑うと、ミレディを抱いた。ミレディは恍惚としている。エーミルは私とミレディを何回も抱いた。私はもう、エーミル無しでは生きられない。


 エーミルを嵌めようとして、嵌められたのは私ね。でもいいの。やっと、やることを見つけたから。エーミル、愛しているわ。

いつもお読みいただきありがとうございます。


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