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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
2 ‐神々の降臨
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刻まれるモノ『生贄』

 いきなりの展開過ぎて、俺も理解が及んで居ない。

 急にオーレアの巫女、マリから男の声が聞こえたと思えば。いきなりの神宣言だ。


 いや、最低限の事は解る。

 ネクさんがミアの体を操るのと同じ要領なのだろう。

 俺はあの巫女の体を使い、向こうの神が攻撃を仕掛けてくる可能性を考慮し、臨戦態勢を整える。

 後方に居るカウスも同様に、いつでも対処できるように身構えている。

 

 だが、さっきの言葉は何だ?

 アイツは巫女に命を捧げよって言ってなかったか?

 俺はその言葉に訝しげに眉を寄せると、巫女の足元に居るアドラは残った命を振り絞り、目の前に降り立った神に懇願する。

「ベ、ベルク様っ……それだけは……それだけは何とぞ……っ!」


 だが、そんな懇願を巫女の体で、顔で、まるでゴミを見据えるように見下すと、


「黙れ、役立たずの屑め。お前があの小汚いケダモノ共を始末できないから、俺様がわざわざ、脚を運んだんだろうが。あぁ?」

 

 その言葉とともに、巫女(ベルク?)はアドラを踏みつける。


「ぐはぁっっ」

「お前たちが! 役に! 立たないっ! からだろうがっ!」


 その言葉の合間にも、ガスガスと、倒れているアドラを踏み付け、痛めつける。

 

「チッ、感謝の言葉を言う立場にあるだろうがっ! 泣いて喜べ、このデク共が」

  

 トドメとばかりに蹴りを入れ、アドラを仰向けに蹴り飛ばす。


「ガッ……ゲフッゲフッ」

 

 辛うじて息がある。その状況のアドラに……いや、自国で自身を崇める民への仕打ちなのか!?


「貴様。如何に神で有ろうが、狼藉はそこまでにしろ。貴殿も庇護者を守る神だろう? 何故、そのような仕打ちを行うのだ?」


 その言葉に、巫女(ベルク?)は俺の方を振り向くと、心底おかしな話を聞いた、と言わんばかりに嗤い声をあげる」


「カハハハハハッヒッッ! 何おめでたい事をいってんだ? 人間? 庇護? 馬鹿な事言うなよ。お前ら人間なんて、放っておいても数が増える家畜だろうが」

「か・・家畜・だと?」

「おお、そうだ。なんだったら、使い潰しの効く消耗品の駒でもいいぞ。所詮、人間なんてこの箱庭で、神が愉しむ為の道具みたいなもんだからな」


 これが……神なのか?

 これが……あの方と同じ神なのか?

 目の前の巫女(ベルク?)はそう言いながらもアドラを踏み付け、更に言い放つ。


「ポコポコ生まれては死ぬんだ。たかだか数十万の駒、大したことないだろうが」「わかった、よく判った。だからその男から脚をどけろ、この外道」


 背後から、高速で【魔槍】が飛来し、先ほどまで巫女(ベルク?)が居た箇所を通り抜ける。

 視なくても解る。

 我慢の限界に達したカウスが速攻で槍を投げたのだろう。


 だが、やはり神と言うべきなのか。

 運動をしないであろう、巫女の体で、あの【魔槍】を回避すると、大きく距離を取っている。


「頭が高いぞ、下賎なゴミ共。そもそも、俺が目の前に居るのだ、貴様らなぞ、須らく自害するのが道理であろう」

 

 ああ、良くわかった。

 どうしてアドラが助けてくれと、あの時願ったのか。

 どうしてネクさんがあの神を語りたがらないのか。

 こんな……こんなヤツが主神を務めていたのか……オーレアは。


「カウス行けるか?」

「ああ、とっとと倒して皆と合流しよう」


 俺達の不遜とも言える発言。

 そも言葉に激怒したのか、しかし、表面には見せず巫女(ベルク?)は言い放つ。


「はっ! 倒すだと? 高々人間風情が。調子に乗るなよ」

「黙れよ、三流。お前から感じる気配も、威圧感も、うちの神様よりも圧倒的にしょぼいんだよ」


 その言葉がきっかけだったのだろうか?

 巫女(ベルク?)は、その顔を憤怒でゆがめると


「この俺が! あんな造物神に、神獣を造るか、ただ、()()()()()()()()()()()()()()に劣ると!?」


 その言葉に俺は少し戸惑いを感じた。

 この神……ネクさんの能力を……意味を理解していない?

 だが、既に激昂している神は止らない。


「善いだろう! 見せてやろう。どの道そのつもりだったし。すこし早くなっただけだ」


 そう言うと、手を胸に当て、宣言する。


「本当に神の権能と言うモノ……とくと味わえ!」

 

 その瞬間、まるで世界が歪んだかのような。そんな感覚が、俺達を襲う。

 例えようも無い。一瞬にして前後不覚になる感覚。


 そして、気がつけば、目の前に居たナニカは唐突に姿を消す。

 そして、はっと思う。

 俺は今、神と話をしていたが、一体それは()()()()をしていたのか? ()()話をしていたのか?


「だが、今はアドラが先だ」


 俺の中で急に起こった記憶の不整合さ。

 それを一旦置いておいて。俺はアドラの元へと走る。

 アレだけ蹴られて……いや? 蹴られた? 誰にだ??? 


 走りながら、俺は背筋がぞっとする思いを感じ、脚を止める。


 そうだ。今、アドラは何度も踏まれ、最後に蹴り上げられたはずだ。

 いや、それだけではない。

 俺はアドラに助けを求められていた。

 そこは解る。

 妹を助けてくれと言っていた。

 ここも大丈夫だ。


 だが……アドラの妹は……誰だ?

 

 知っていたはずだ、直接会っているはずだ。それは間違いない。

 だが、顔を、声を、名前を一切思い出せない。

 そして、俺は、俺達はこれと同じ経験を一つ覚えている。


「カウス、これは!」

「ああ。“喰われた”というヤツだな。ミアの父上と同じ現象だ。何かを思い出せるか?」

「幾つかは。だが、アドラの妹というのが思い出せない。そっちは?」

「この陣営には巫女と言われる存在が後方にいたはずだが……その存在が見当たらない。神が生贄に捧げるのならその存在のはずだ」

「ってことは……失われたのはその辺の存在ってことか」


 俺達がそう分析していると、不意に悪意が降り注ぐ。



「カッハハハ! ゴミ虫共が、そんなどうでも善いことを考えてないで、少しは自分達の心配をしたらどうだ?」


 ついさっきまで聞いていた虫唾の走る声。

 この声は忘れて居ない。

 だが、そこに居たのは俺達の記憶には該当しない存在だった。

 

 一言でいうならば、肉塊。

 2mは優に超える身長。それでいて、横にも全てが規格外なほどの大きい。

 最近で思い出す姿でいえば、プチベヒモスだが。アレはこんなに醜悪な筋肉の塊ではなかった。

 小山を思い出させるような上半身裸の筋肉。


 そう、人が話しているとか、神が話しているとか、そんなイメージではない。

 筋肉の塊が話している。

 

 俺からすると吐き気を催す生理的な嫌悪感を伴っていた。

 

 だが、それ以上に問題なのは、先ほどまで倒れていたアドラが立ち上がり、此方へあるいてくることだろう。

 

「アドラ……?」

 

 しかし、呼び声にが応じず、旗から視ても理性のある瞳をしていない。

 そんな此方にはおかまいなしに、その筋肉塊は声をあげ、神の宣言を下す。


「さぁ! 従順な()()により貴様らの神はここ降り立った! さぁ、立ち上がり全てを薙ぎ払い、ひねり潰せ!」

  

 ここから、最悪の戦いが幕をあげる。






****************


 その歪みは遠く離れたこの地でも感じ取れた。


「何? 何が起こったの?」

「解りません……っ!でもこれは……!?」


 フラクペネイトより南。

 

 現在、避難民の誘導に務めていた私は、その異変を感知することが出来た。

 恐らく、はっきりと感じられたのは私とウルスの2名だけだろう。


 遠く、北の地より発生された人を圧倒するような威圧感。

 そして同時に、私の中から何かが消えていく、そんな消失感。

 不意に……誰かは解らない……そんな笑顔が頭をよぎる。 


「あ……」

「ミア!? 一体如何しましたの?」


 あれは……? 私は一体誰を思い出そうと?


「ちょっと、ミア! しっかり!」

 

 私を心配してか、ウルスは肩を揺さぶる。

 と、私の眼の中に、輝きを放つ白銀を髪を写し……。

 唐突に、私は、誰を失くしたのかを理解した。


はい、超外道です。

神託むなしく、マリミュースは、それ以外の巫女達もサクッと贄にされてしまいました。

此処からはしばらく外道のターン&それを凌ぐレクス&ベオ&ミア

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