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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
2 ‐神々の降臨
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それぞれの目的地

 翌日の朝、私たちはネーネとベオを見送りに外周区まで足を運んだ。

 数自体は減っているが、交易のための商隊(キャラバン)は残っていたので、そのに便乗させてもらう形である。


「ネーネ、ベオ。大丈夫だとは思うが、気をつけるんだぞ」

「路銀は多めに渡している。あと、この近辺の商隊(キャラバン)にも話を既につけているが、荷台にあるモノは全て非常食だ」


 あの後、カウスとレクスが二人して近隣にある非常食を買えるだけ買い、つめるだけ詰め込んでおいたそうだ。

 今の難民の流入のため、少しずつではあるが、物価が上がってるため、支払い額はかなりの額だったそうだ。


 支払うときに人から預かったお金とはいえ、

「……コレだけあれば……当面はお金の心配をしなくて済むな」

「ばっか! ……で、でもそうだよなぁ」


 と切実な声を上げていたとか。


 その為、現在、荷馬車は四台と多く、人員もかなりの数が居るようだ。

 商人にとっては戦争直前、儲けの大チャンス。

 レクス達が依頼した以外にも食料品を中心としたモノが多く積まれているそうだ。


「皆、お願いね」

「わかりましたぁ~」

「わかったっす! 長老にはこっちから伝えとくっす!」


 先行してフラクペネイトへ行って貰うための暫しの別れである。

 別れの間際、カウスがベオへと布に包まれたモノを差し出している、


「ベオ。あの方から、お前へ切札となるモノだそうだ」

「!? ホントっすか! うぁ! 何っすかね!!」


 ここは人前なので、名前を呼ぶことは出来ないが、あの方……つまりネクさんからベオへの餞別であろうか?

 獣人だからなのだろうか? 出合った時からネクさんの事を慕っているベオである。

 自分に何らかのモノが贈られてうれしそうである、

 さっそく包みを開けようとするベオにカウスが一言釘を刺す。


「開けても、触ってもいい。ただし、絶対に使うな。ソレを使う言が許されるのは“絶体絶命のピンチ”だけだそうだ」


 そのカウスの忠告に開けようとするベオの手が止まる。

 そんなベオに更に付け加え


「“使いこなすには、まだ早すぎる”だ、そうだ」

重い忠告だったが、急に表情を明るくし、


「まぁ、絶体絶命と言ったが、どうしても使わないといけない状況なら躊躇うな、使え。あの(ヒト)は俺たちを害するようなモノを渡したりはしない」

 ベオはその言葉に納得がいったのか。表情を明るくし、いそいそと包みを懐にしまう。


 そしてカウスはネーネをみると、

「ネーネには……すまん。よくわからないんだ。コレを渡された」


 そう言うと、小さな袋を手渡す。

 ネーネはソレを受け取ると中身を確認し、再度首を傾げる。


「これはぁ……何に使うんですかねぇ?」


 私はその言葉が気になりネーネの手の中を見てみる。

 そこには小袋の中に何かの種が数粒はいっていただけだった。




 そんなやりとりをしつつ、私たちは二人の見送りを終え、一路オーレアを目指す。

 水などの補給は昨日のうちに行っており、今日はいつでも出発できる状態だった。


「でも、何時の間にあんなモノを貰っていたんですか?」


 私は歩きながら二人に質問を投げかけた。

 私の知る限り、ネクさんが私を経由してモノを預けた記憶なんて無い。


「……いろいろあってな」

「まぁ少しな。それはそうと、ミア。すこし気になってたんだが、どうして今までオーレアに戻らなかったんだ?  戻ろうと思えば何時でも戻れただろうに」


 二人は質問をはぐらかすように曖昧に笑うと、話題を変える。

 だが、変えたその話題に私はどう答えていいかわからなくなってしまった。


 確かに、エトーリアからでも直行の馬車は無くても、商隊(キャラバン)の力を借りて、複数の都市を経由すれば何時でも帰れただろう。

 そう思い、ふと、その理由がわかった気がした。


「ああ、そうか。私は……あの国を帰る場所と思ってなかったんだ」

 確かに思い出はあるが、父も母もいない場所に帰るという発想が無かったのだ。


「そうか、そうだな」

 私の言葉でソレを察したのか、カウスは私に同意をしてくれる。

 すこし、しんみりしてしまったけども、今の私には帰る場所も待ってくれているヒトもいる。


「大丈夫です! さぁ! 行きましょう! オーレアへ!」

 私は元気な声を上げ、馬車へと乗り込むのだった。



 ウォッドベーカーからオーレアまでの道程は約十日。

 その間、私はネーネから教わっていた魔術の復習をしていた。

 と言っても、座学としてネーネの話を聞いていただけなので、私向けの魔術ではないのだが。

 ちょうどネーネは【召喚魔術】と【喚起魔術】を勉強していた。

 どちらも【精霊魔術】には必要なものらしく。


 召喚魔術は対象Aを自身がいる地点まで転移させる魔術だ。

 制限が当然あり、この場合対象Aを知っている事、そして来る事に同意が得られる事の2つがあげられるそうだ。

 この制限を無視し、強制的に召喚をすることも出来るそうだが、その場合のペナルティーはとてつもなく重い。

 実際、十余年前のオーレアの壊滅も、神獣を強制召喚したペナルティーとも言える。

 自分よりも格上の場合は特に顕著で、召喚士やその周囲に影響を与え、存在すら喰われてしまう。


 そして、もう一つが喚起魔術。

 これはもっとも簡単な召喚方法らしく、これは“呼びかける魔術”だそうだ。

 今の自分に必要な誰かを呼ぶ、そんな魔術。

 制限はかなり緩く、必要な魔力も相手へ声を届ける分だけである。

 だが、逆に制御や効果が非常に曖昧で、その届ける“誰”を選択できないことが多いという。

 そして最大のデメリットが転移は相手の魔力持ち、と言うところだろう。

 つまりは、転移できるだけの存在でないと呼んだところで来ることが出来ない。

 さらに、その転移も相手が行ける範囲でしか効果が発揮できない。


 例で説明されたのが、ネクさんのダンジョンのプチ神獣だろう。

 アレはダンジョン限定で活動している存在なため、特殊な条件下でしか外には出てこないそうだ。

 つまり、喚起魔術で呼んだとしても、彼らは転移をして来ることが出来ない為、魔術は成立しないそうだ。


 詳細はわからないのだが、ネーネはこの二つを同時併用することで、召喚魔術と喚起魔術のデメリットを軽減するつもりらしい。


 長距離の馬車での移動なので、馬車上で出来ることは限られる。

 レクスとカウスはコレまで同様、交互に仮眠を取っている。

 深夜に何か秘密訓練でもしているのだろう。

 出発してから一度も魔獣の襲来も無く、私は馬車上での十日程を魔術の基礎勉強に費やしたのだった。



 そして、長い距離を駆け、目的地オーレアが目の前に迫っている所で、私たちは馬車を停め徒歩にてオーレアまで向かう。

 エトーリア同様、何か細工をされる可能性も否定できない以上、馬車を隠すという選択を取ったのだ。

 馬達には悪いが、明日までここで待っていて貰う事にしたのだ。

 オーレアの門前に来たところで、兵士が二人いるだけで、入国審査なども無く、スムーズに入ることが出来た。

 戦争前だというのに、入国制限などを行っている様子がありません。

 そのことを不安に思いながらも歩き進める。


「さて、この選択が吉と出るか凶と出るか」

「気にするな、トラブルが起こっても何とかすればいい」

「そんな物騒なこといってないで、いきましょうよ」


 そんなやり取りをしながらも、私たちはオーレアへと入国を果たしたのだった。

ようやくオーレアへ到着。


そもそもの入国制限ですが、設けている国とそうでない国があります。

ですが、コレは特異なことですね。



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