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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
2 ‐神々の降臨
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ウォッドベーカー①

 私達は、翌日日の出と共に、ウォッドベーカーまでの道のりを進む。

 このまま進めば昼過ぎには到着するそうだ。


「先ずは商人をはじめとしたキャラバンに確認を取る。その間、カウスは皆を連れて宿屋に行っておいてくれ」

「ああ、了解した。こちらで飼料や水が補給が出来る所を店主にでも確認にしておく」


 レクスは前もって私達に指示を出し、到着後に備えた準備を行う。

 各々の役目を再確認したところで、ネーネが思い出したように、小首をかしげて訊ねる。



「あれぇ? そういえばぁ~。補給をするお金ってぇ有るんですかぁ?」



 その言葉に私は一瞬にして固まってしまう。

 それはその言葉を聞いたベオも同様だ。


 私の記憶では獲得した素材は全て換金し、ミネルバに渡したはずである。

 この保存食等に関しても全て用意してもらった物。

 つまりは……ほぼ無一文のままなのではないか?


 私達は恐る恐る、レクスの様子を伺った。


「ま、まさか……この迷宮でもお金を稼いで補給を買わないといけないんですか?」

「そんなぁ。そんなことすればぁ~、フラクペネイトに着くのがまたおくれてしまいますよぉ~?」


 私とネーネは口を揃え、レクスへ訊ねる。

 だが、一人。ベオだけは私達とは少し違い、別のことを訊ねたのだ。


「二人とも待つっす。ウォッドベーカーにあるダンジョンは中級に位置してるっす。皆に会う前、レクスとカウスに俺、それに他の臨時メンバーを含め、十四人の編成で挑んだっすけど、深部のボス部屋で壊滅。生き延びたのは俺たちを含めた計六人だったっすよ」


 そういえば、聞いたことが有る。

 私たちに出会う前、ちょうどベオと会ったタイミングで挑んだダンジョン。

 そこをクリアすることは出来たけど。殆ど全滅に近い状況にまで追い詰められたと。

 そんな所に挑む必要があるのか!?

 私たちに不安が広がると、レクスがため息をつきながらその考えを否定する。


「お前達、落ち着け。補給のためにダンジョンに篭らない。今回はちゃんと資金がある。経費で落ちるから」


 その言葉に私たちは再度固まってしまう。


 資金がある……? け、経費??


「え? それってどういうことですか?? いつも私たちの財布事情は火の車だったのに!」

「そうですよぉ~!? ダンジョン攻略してもぉ、その必要経費で全て消えてしまうのにぃ~!」

「そうっすよ! いつも食費も馬鹿にならないんで、もう一皿欲しい所を我慢して我慢してたっすのに!」



 私たちが各人思い思いに質問を投げかける。

 もはや愚痴に近い気もしているが。

 そんな様子を見て、レクスはため息を深くし、


「お前ら、そんな風に思ってたのか。そして、ベオ。小さいこと言ってないでおかわりしろよ。そのくらい大した事無いから」


 皆からも財布事情が火の車だと思われていることにショックを受けているようだ。


「ははは。まぁ、財政事情が思わしくないのは間違いでは無いね。でも今回に関しては資金援助者が居てくれてね」


 落ち込んだレクスを笑いながら、カウスが事情を説明してくれる。

 資金の援助?

 一体そんな酔狂な人物が……?


 ふと、いろいろ手を貸してくれたミネルバを想像したが、


『ミネルバじゃないぞ。これ以上アイツに世話になってどうするよ』


 そしていつも通り、唐突にネクさんが声をかけて、私の想像を否定する。


「ネ、ネクさん! 来られてたんですか?」

 私は思わず、どもってしまう。

 慌ててて取り繕うも、周りからは苦笑がもれる。


『まぁな。どの道、俺との関係性も向こうにはバレているからな。資金の援助くらいは出来る。が、今の話ですこし気になってな。おい、レクス。お前達があの迷宮で壊滅寸前だったって話。本当か?」


 資金提供者はネクさんだったのか。

 前は関係性が露見するのを嫌い、援助がなかったが、私たちがネクさんの配下だという事は既に知られている。

 だったら今更、という事で援助を開始したようだ。

 ……私としては、もう少しこちらに指示や干渉をしてほしいと思う。

 なんだかんだで、一線は越えて来なく、信頼されて居ないのではないか、という不安や不満を感じている。


 そんなネクさんの関心はダンジョンに向けられており、レクスから当時の話を聞いている。

 当のレクスはあまり思い出したくないようで、少し眉をよせて、過去を思い出している。


「ええ。当時は俺とカウスの二人で東部地方からこちらに旅をしていまして。まぁ、ちまちま日銭を稼いでいるくらいでしたが。そして、ウォッドベーカーに到着したときに酒場でベオと会ったんです」

「そうだったな。そしてそこで一緒に臨時のダンジョン募集に参加して深部まで挑んだのですが、まぁ、ボスがえらく強くて」

「強かったっすね。でも何よりも酷いのが、募集主のチームが俺たちを盾にして逃げようとしたっす! そのせいもあって、攻略隊はほぼ壊滅。俺たちもボロボロになったっすけど。一命は取り留めたっす」


 そんな事があってたんだ。

 なかなか、出会いの話を教えてくれなかったので、私とネーネはこの話は初耳だ。


『ん? では誰が迷宮主を倒したんだ? 話を聞く限り、お前達では実力不足。隊も壊滅なのだろ?』


ネクさんの言葉に私たしたちは、そういえば、と想いレクスを見る。

レクスは言い難そうにしながらも


「はい、実は、あの時の臨時メンバーの一人が最後、単騎で倒してしまって……」


 ダンジョンのボスを1人で倒す!?

 レクス達が削っていたとはいえ、そんなことが出来る人がこの辺に居たのか。


『ほう……それは面白いな。いやな。あそこの迷宮のことはミネルバから聞いていてな。管理者も豪く武人肌の凄腕と聞いていてな。お前たちがあそこを到達済みと聞いて驚いたんだが。……そういうカラクリがあったか』


 ネクさんの話によれば、盾にして逃げた者が殺され、他が生き残ったのはその管理者の指向だったようだ。

 逆に言えば、レクス達も見捨てて逃げ出していたら同じように殺されていたそうだが。


『だが、そうか。……よし、決めた。今回の一件が解決したら、お前ら、あそこの迷宮を完全制覇するまで帰ってくるな。いいな』



 ……は?


「「「はぁ????」」」


『は? じゃない、いいか、お前ら。お前達には次の仕事があるんだ。こんなくだらん戦争で時間を浪費してる場合でも、死んでる場合ではないだろ? いいな。今のお前たちなら此処も踏破できるから』


 ……ひょっとして、コレはネクさん流の激励なのか??

 私たちはそう思うと、思わず哂ってしまった。

 なぜだろうか、神のネクさんがとても近くに感じることが出来た。





 あのあと、ネクさんは直ぐに引っ込んで帰ってしまったが、私たちはその事に哂いながらもウォッドベーカーへと進んでいる。

 補給の資金などはネクさんから用立ててもらっているそうだ。

 私はこの都市には初めてなのだが、故郷と距離の近いベオや滞在したことのあるレクス達はそうではない。


「もうすぐ門が見える、そこで馬車と馬を預けて都市内に入ることになる」


 この都市も外からの馬車は都市外部に泊める規則になっているそうだ。

 ただ、交易の中継点としても使われることから、商人やそのキャラバンに関しては検閲後馬だけを換えてそのまま都市内へと進めるそうだ。

 その情報を聞きながら、馬車の外をみていると、遠くに都市が見えてきた。

 ……が、離れていても解かる。


「……何かトラブルが起こってないっすか?」


 私以上に目が善いベオがその事に気がつき、声を上げる。

 馬車の距離が近づいていくうちに、何が起こっているのか次第にわかってきた。


「人だかりが……いや、コレは……まさか、難民か!?」


 都市入口に人だかりが出来ていたのだ。

 彼らは都市部へと入ることが出来ず、外周区にテントを張り、生活をしている。

 一体何が起こっているのか。


 私たちは不安に思いながらも、中継地点であるウォッドベーカーへと入国をした。

もう、ネクとミアたちの関係性を隠す必要が薄れたため、ネクは資金の援助を開始しました。

レクスたちに秘宝を貸し与えているのですから、まぁ、今更でもあります。

ただ、あくまでも資金の貸付です。

当然、彼らが将来的に迷宮攻略などで富を稼いでいかないと返すことは出来ません。


ウォッドベーカーですが、攻略難易度は中位となっています。

その分、獲得できる恩恵も大きく、『不破の鎧』『立体駆動』『無尽蔵』とかなり高性能な“戦闘系”スキルです。

ここの攻略などに関しては、まだ先になります。


ちなみに。ミネルバの迷宮は出てくる魔物が蟲型と弱点が固定されているため、難易度は下位と低くなっています。


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