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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
2 ‐神々の降臨
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存在意義

「ちょっとまってください~? 称号がその存在を表すならぁ……私は……どうなるんですかぁ??」


 その可能性に気がついたのか、ネーネは酷く焦ったようにこの話に食いつく。

 流石の俺も急な反応に戸惑ってしまった。

 ソレほどまでに、ネーネは鬼気迫る勢いだったのだ。


「お。おう? 何がどうしたというんだ?」

『ほ、ほら。ネーネは……称号で“ロリ”ってのが付いてるから……』


 俺には何が言いたいのか判らなかったが、ミアには判ったらしく、原因を教えてくれた。

 しかし、このミアの声はネーネにも届いており、そのワード……“ロリ”を聞いて、少し泣きそうになっている。

 それでも、答えがほしいのか、半泣きの状況でも俺に目で必死に訴えている。

 声には出てないが、『嘘だといって!』と言われている気がしてならない。


 ……そんな状況のヤツに俺は最後通告をせねばならないのか。

 ベオは理解していないが、レクスとカウスは察しているのか、あからさまに目を逸らす。


 俺はため息をつくと、ネーネに告げる。


「称号の件だが……残念ながら、お前の想像の通りだ。称号で“不老”“永遠”などが付いた場合もそうだが、“ロリ”の場合も同様。命尽きるその時まで、肉体の成長は止り、幼い姿のままになる」


 俺の宣告にネーネは目を見開き、うなだれる


「そんなぁ……私の夢が、夢が……グラマーでセクシーな大人の女になるっていうぅ……夢がぁ」


 ……現状の容姿と比較しても、それは流石に夢を見すぎなのではないのか?

 それに、グラマラスなエルフをオレは見たことが無い。



 そんなネーネを尻目に、俺は話しを戻す。


「まぁ、そういう理由でミアが狙われたのは称号のせいだな。今後、知性ある敵は全てミアを視認すると優先的に襲うことになるだろな。まぁ、その分、レクスが割り込みを掛けて守るのか、ミアに囮役を任せるかで、対応するかだろうな」


 ミアの対応についてはレクスやカウスに任せておこう。

 そして、此処からが本題だ。


「そして今回の襲撃だが。……よほど、戦争がしたいヤツが居るって事だ」


 襲撃。

 その言葉に皆が緊張を強くする。


 先ほどまで落ち込んでいたネーネも、とりあえずは気を持ち直し、こちらの話を伺っている。


「そいつにとって、お前達の様に、獣人を含むみ、且つ、神魔と繋がりがありそうなパーティーは排除対象なんだろう」


 言葉には出さないが、アイツは10年前の一件で俺に逆恨みを抱いている。

 普通に考えれば、他の神魔に縁がある者を襲えばどうなるかなんて、理解できるだろうに。


 それすらも判断が出来ないところまで来てしまっているのか。


「いいか、神族・魔族双方、権能に由来するアイデンティティーを持っている。戦闘系の権能を持つ者の多くは、戦う事が、戦場に立つことが、戦略・軍略を練ることが、そして敵を打倒すことが存在意義(アイデンティティー)なんだよ」

「そんな……人にとっては迷惑なだけじゃないですか」


 そんなレクスの言葉を受け、俺は苦笑しながら少し付け足す。


「趣味とかそういうのではない。これは、存在するための意味だ」

「そうですね、私の権能は“知恵”に由縁するもの。それゆえに、人に知恵を授けたり、知識の収拾を行うのが存在意義でしょうね」

 

 このミネルバの説明の様に。俺にもソレはある。

 俺の場合は命。更に、故に、生命の創造や改造、クラスやスキルなども弄りたい。


「はた迷惑なのが多いように聞こえるのだろうが、神族・魔族には人とは違い、寿命も病も無い。それゆえに、この存在意義こそが、今生きているという実感を与えるのだ」


 これを失うというのは、もう活きて居ないも同然である。

 皆は余り理解できないようなので、人の感覚に直して説明をしてみる。


「お前達に判るように言うなら、今この瞬間から、指1つ瞬き1つ出来ないくらいに、体の自由を失い、喋ることも出来ない。ただ、外界の情報を目と耳と鼻、そして肌で感じるだけの存在になるということだ。……なってみたいか?」


 少し擁護しているように聞こえるが、神魔にとって権能とはそこまでの意味を持つ。


「だからと言って、ここまで人界に干渉をして物事を行うとなると、それは最早……悪神の域に踏み入れてしまっている」


 民を扇動し、戦争を起し、その戦争の障害と成りそうな人へ刺客を送り、抹殺する。

 しかも、送られた配下は証拠を残さないようにするため、自爆させ、犯行自体は魔獣に任せる。

 そう、そこまでしてまで戦争を、争いを欲してしまっているのだ。


「ネクさん。それはやはり、今回の件の」

「ああ、そうだ。この裏で糸を引いているのは……オーレアの主神。力の権能を持つ、神だ」




 裏で手を引く神族

 俺の言葉に皆、どう対応していいのか検討もつかないのだろう。


「ミネルバ。この都市に入った刺客は他にいるのか?」

「はい。数名が後方要員として潜伏中のようです。うち数名は既に動いており、皆さんの荷馬車に細工を施しているようです」


 皆を尻目に俺はミネルバに現状の確認をとる。


『そんな! 馬車を押さえられたら、私達は移動することが出来ません!』


 その会話を聞いて、ミアは声を荒げる。

 確かに、皆の脚は現状ただ1つ。

 これを奪われるとコレから先に暗雲が立ち込める。


「まずいな。カウスこの先の道程を考え、馬車無しで、馬での移動だとどれだけいけそうだ?」

「いや、荷を引かない分、速度はあがるけど、反面、馬も含め、水や食料が積めないからね。ネクさんに貰った鞄にだって入りきらないから・・・」


 まぁ、そうだろうな。

 単純な直線ルートを通っても半月以上はかかるだろう。

 その間の食料をあの鞄1つで賄えるわけがない。

 寝床の確保も居るため、1人で馬を2頭連れて行くか?

 しかし、そもそもの話、コイツら、主に、ミアやネーネに乗馬を期待できるのか?


 現実的な話で考えると、はやり馬車が最適だろう。

 と、すると、今までつかった馬車を奪取するか?

 しかし、そうすると折角撒いたのが無駄になる。


 ならば……。


「ミネルバ。馬車1台と馬数頭を至急用立ててくれ。くれぐれも、静かに動くように頼む。代金はこいつ等がここまで来たのに使ったモノの下取り+現金で頼む」

「わかりました。けれどよろしいのですか?」


 俺の提案にミネルバが確認をする。

 ミナルバが確認いしてきたのは、俺がここまで動いていいか、という事だ。

 本来ならば、俺がここまで干渉するのは良くないのだが。


「緊急事態だろう。それに……あのハゲは俺に敵対したんだ。このまま手を拱いている訳にはいかない」


 それでも、尚、俺は表舞台には立たない。

 立つわけには……いかないのだ。


 俺は彼らに再度、獣人の街への旅を託し、傍観者へ戻るのだった。

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