次の話を・・
ミネルバの言葉で皆が驚く
『ミネルバって、ネクさんの娘だったんですか…… 』
特にミアが驚いて居るようだが。
関係性を疑える事は有ったはずだが?
名を明かせぬ秘匿している俺の存在を、条件付きとは言え、他人に教えれる事にしてもそうだ。
しかし、いつまでも驚いて立ちっぱなしで居るわけにも行かない。
「突っ立ってないで、せっかく食事の用意も有るんだ。座っから話すぞ」
俺はさっさと席に座り、皆を促す。
それに触発され、聞きたいことが有るのだろうが、取り敢えず席に座り、ミネルバと会食となったのだ。
「では、改めて自己紹介を。命神と魔獣聖母が娘、ミネルバと申します。皆さん、お父様がお世話になっております」
ああああああああ! ってまた爆弾発言を!!
先程とは比べ物にならない動揺とざわめきが引き起こる。
「ま、魔獣聖母っ!?」
「……えらくビックネームが出てきたな」
驚くのもまぁ、無理はない。
その存在は広く知れ渡るだが、余りにも謎の多い最上位魔族。
特に人々にとっては魔獣の主として認知されて降り、一部地域では恐怖とともに信仰の対象となって居る。
それ以上に狂乱の原因として知られているのだが……
ミネルバの言葉を受け、皆口々にああだこうだ、と話し出す。
『ネクさんって結婚されてたんですか……』
頭の中でミアがそう溢す。
今……何て?
アイツトケッコン? ダレガ?
その言葉で俺の思考もフリーズしてしまう。
が、正気に戻り
「そんな恐ろしい事を言うな! 俺とあいつは夫婦じゃない! 事情は複雑でミネルバは実の娘だが、断じて結婚などしていない!」
俺は渾身の力を込め全力否定をする。
……もし、少しでも認めてしまったら……。
その想像に俺は怖くなる。
俺の急な豹変と発言に一部を除き、言葉を失う。
その一部、ミネルバは残念そうにため息をつき、レクスとカウスは気の毒そうに俺を見つめる。
レクスとカウスには同じ様な事で苦労している仲。
そこは先日の酒の席で話したものだ。
「まぁ、お父様の仰る通り、お母様とは婚姻を結んで居られません。お二人の神格、霊格が高すぎてそもそも婚姻出来ない様ですし」
また危ない発言を。
コイツは権能故か、人に蘊蓄やら豆知識やらヒントやらを教えるのが好きな様だ。
いくらこいつらが眷属に配下とは言え、知らない方が良いことも有るのだ。
「話が進まん。いい加減今回の件を話せ。おしゃべりはまた今度だ」
要らん裏事情まで話されそうなので、無理やり似でも話を替える。
まだ話足りないのだろうが、俺の言葉にミネルバは今回の顛末を語りだした。
「事はある神の配下が、この都市で工作をしようとしていたのが端ですね。観察していると、どうやら皆さんを抹殺するよう司令を受けている様で……」
その言葉の意味を理解したのか、皆の顔色が悪くなる。
「つまりぃ~、何処かの神様が私たちを殺そうとしているとぉ?」
ネーネのその言葉にも力が無い。
普通の人間にとって、神からの刺客など想像出来ないのだろうが、彼らにとってはそうでは無い。
彼らは神を俺に、刺客をプチ神獣に置き換えて想像したのだろう。
俺はため息をつくと
「余りに大事に考えるな。所詮は配下、つまり、お前たちと同じ人間が相手だ」
俺は一旦言葉を切り、更に安心させるべく彼らに話を続けた。
「それに一度失敗している以上、そうそう手は出せない。それによその管理地で騒ぎを出した以上、しばらくは大人しくするだろうさ」
その言葉に一応の安堵を浮かべる。
しかし、彼れらからすれば、襲われる理由が判らないだろう。
……まぁ、カウス辺りはいくつか推論を立てているだろうが。
『狙われたのって……私のせいなんですか?さっきの魔獣も私を狙い打ちしてましたし』
ミアが不安げに俺にそう訊ねる。
なるほど、さっきの件をそう解釈したか。
「それは違う、刺客はお前が原因では無い。ただ、まぁ。狙い打ちされたのはお前が要因ではあるな」
俺は刺客の件を否定し、狙い打ちの件を肯定する。
『な、なんですか!?』
どっちに驚いたのか?
皆も理由が判らない様なので説明をしてやる。
「ミアが狙われた理由だが。お前、この都市に来て目立っただろ?」
皆、何を言われているか判らない様だ。
ミネルバは……少しばつが悪い顔している。
「お前、称号に“注目の的”って新しく付いたの気がついてるか?」
『え?』
そこでようやく称号が増えたことに気がついた様だ。
『え、ええ。付いてます……けど?』
「称号とはその個人の在り方を示す。それは祝福で有るとともに、呪いでもある」
皆、黙って俺に耳を傾ける。
「仮に、天才と付けばそう育ち、料理下手となれば、一向に上手くならない。そして、注目の的となれば、全ての存在からの注視され、敵からは狙われる」
そう、それはホントに祝福と呪いなのだ。




