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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
2 ‐神々の降臨
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緊急事態『降臨』

 俺は彼らが出発をしてから、ミアの眼を通して外界の情報を得ていた。

 見ている中、あの忠告を無視して交戦を選択するなど、俺は思いもしなかったが……。


 まったく。少し力がついたくらいで慢心するとは。

 古来より、力をつけた直後の油断と慢心が冒険者の天敵であろう。



 俺は嘆息しながらも、出発してから数日目であっさりと死んでしまったミアを眺める。

 まぁ、少しは痛い目を見たことだし、いい薬にはなっただろう。


 そして、それ以上に……。

 俺の中で、久々に怒りが沸くのが判る。

 誰の差し金だ等と、調べずとも答えは出ている。

 俺の眷属に手を出したこと、後悔させてやろう。


 そんな思いを抱きながら、死んでしまったミアへ、声をかけるのだった。



*************





(……は?)

『は? じゃないよ。おい、ミア、何時まで惚けている。とっとと起きろ』


(私は死んだはず……なのに……またネクさんの声を聞いている)

(そうだ、こんなことは前にも有った……そうだ! あのダンジョンで!)


『ダンジョンは関係ないぞ。いいから起きろ。まだ、こんな所で終われないだろ?』


(!??)

(考えていることがそのまま伝わっている??)

(え? どういうことだろう?)


『がちゃがちゃ言ってないで……ああ。もういい。暫く身体を使うぞ』


(え? ちょっと!)


 その言葉と共に私の意識は一瞬、闇に飲まれる。

 それはほんの刹那のとき。

 だが、それだけの時間で私の身体は蘇り……そして……


「とっとと片付ける! ここからは……()の時間だ!」


******************




●スキル『神威代行』起動を確認

●スキル『神罰代行』起動を確認

●蘇生開始を確認、自動耐性取得……完了。『貫通耐性』『神経毒耐性』獲得しました。蘇生完了しました。




 俺は目を開くと周囲の情報を確認する。

 体にはまだ蛇頭が無数に突き刺さっている。

 肉体的には蘇生したが、こんなモノ邪魔でしょうがない。

 俺はその状態のまま、背後へ振り向き、手にしているエストックを無造作に突き出す。


「邪魔」


 その瞬間、膨大なエネルギーがエストックへと集まる。

 極大の白光を束ねた様な、その刺突によって俺を突き刺していたメデューサワームは一瞬にして蒸発してしまった。

 音も無い、その無慈悲な一撃。

 後に残るのは数mにも及ぶ溶解し、ガラス状となったダンジョンの通路。

そして強烈なオゾン臭。


 刺突技【雷帝の旋風突き(ヴォルテクスピアース)

 雷・風の複合属性の突きである。

 精霊の召喚などとは違い、ひと手間を掛けず、ワンアクションで発動できるお手軽の(アーツ)……お手軽なのだが……。



『痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!』


 脳内で聞こえるミアの絶叫。

 流石に、今の技を使うだけの肉体強度が無かったか……

 今の一撃の反動で、放った右腕は無残にも……いや、大丈夫! ()()()()()()()


「しかし、ミア。()()()()()()()()? 流石に鍛えないと」


 俺は、()()()一応の原型が残る腕と、貫通し、穴の空いた胴体を再生する。

 そう、俺は今、ミアの体を使ってこの迷宮に降臨している。

 人界に影響を与えず、且つ、俺が降臨する手段は現状、コレしか無いのだ。

 唯一の違いは、ミアの赤みが掛かった金髪は俺色、漆黒へと変貌していることだろうか。



 コレを可能としたのは、先ほど起動した2つのスキル。

『神威代行』と『神罰代行』

 このスキルの真の効果が、実はコレなのである。


『神威代行』によって、肉体のスペックは眷属のもの、という制限こそ有るが、眷属の体を使い、降臨が出来る。

 そして『神罰代行』


 降臨状態の俺は、自身の系譜に連なる者以外に干渉することは出来ない。

 が、俺やその系譜に仇なす者へ限定だが、干渉をすることが出来る。

 つまり、俺の敵を倒滅することが出来るのだ。


●スキル『滅雷(インドラ)』をラーニング

●スキル『大嵐(タイラン)』をラーニング

●スキル『共鳴』をラーニング

●スキル『増幅』をラーニング

●スキル『融合』をラーニング

●スキル『圧縮』をラーニング

●スキル『刺突・極』をラーニング

●スキル『貫通・極』をラーニング

●スキル『超速再生』をラーニング

●スキル『高速思考』をラーニング


 と、先ほどアーツなどを使った影響であろう。

 ミアのクラスとしての能力が発動し、スキルとして自動的に取得していく。

 前にもミアに言ったが、このクラスはあらゆるスキルの可能性を秘めている。

 その分、処理能力が追いつかないので補助として神工知能(じんこうちのう)をつけている。

 アーツなど、技量が十分に達したら、ソレの再現に必要なスキルを自動的に獲得するように設計されている。

 まぁ、中身が俺なので人に与えてはマズイスキルも発現してしまったようだが。

 ちなみに、ミアを蘇生させると死因に対する耐性も獲得できるようにしている。


「うむ、なんて優しい」

『優しくないです! 今の何ですか! 何か剣が光ったら魔獣が消滅するし! 腕はめちゃくちゃになって痛いし! と思ったら、凄い量のスキルが手に入るし! もう訳がわかりません!』


 あ、何か半泣きで訴えてきてる。

 ……最初にコレは少し刺激が強かったか?


『人の体を壊さないでください! せめて痛みとか感じないようにしてください!』


 怒るとこそこなんだ。

 勝手に使うなと文句が来るかと思ったんだが……。


「痛みは仕方ない。俺、痛覚遮断ってキライなんだ。(ワザ)が腐る、痛みくらい気合いで何とかしろ。」

 俺はミアの訴えをバッサリと切り捨てる。


「あと、スキルいっぱいかも知れないが、お前に使いこなせないスキルは封印するからな」

『そんな!!!』


 ショックだったのか、少し非難するイメージが伝わってくる。

 ……今しがた殺されたばかりでタフだな。

 というか、こんな性格だったか?


 俺は出会ったころの、ただ目的の為に必死なイメージしか無いので、この反応は初めて見る。

 まぁ、歳相応の対応なのだろう。


『あれ? ネクさん。私達結構話してますけど。周りぜんぜん動きませんね?』

 なんでです? と軽く聞いてくる。


 あれ? ホントにこんな性格だったっけ?


「高速思考を発動してるから、ただの会話なら一瞬で済む。だが、とっとと片付けるぞ、お前の体を使うんだ。せめて俺の動きを覚えておけよ」

『はい! 判りました!』



 さて、俺は意識を切り替える。

 常時高速思考だと不都合しか出ないのだ。

 こういうモノはオンとオフの切り替えが大事である。


 周囲の状況は

 後方に燃えているモノが1体

 前方から2体

 ……だがコレだけか?

 俺は周囲だけでなく、広域を索敵する。


●スキル『拡大』をラーニング

●スキル『索敵』をラーニング


 ……自分で作ったクラスだが、気をつけないとヤバイな。

 今更になってこのスキルの取得率の高さに危機を感じる。

 何せ今まで俺の眷属は神獣しか居らず、このクラスを与えたのはミアが最初なのだ。

 少し自重をしたほうが善いのかも知れないな。

 そう思いながら、索敵情報の確認を行う。

 俺は迷宮の天井……さらに上に向かって問いただす。


「おい! メデューサワームは()()()で間違いないか?」

(はい! そこに居る個体以外にも。奥にまだ2体徘徊しています)


 即座に声が届く。

 数日前に聞いた声なのだが……先ほどまでの必死さは無く。明るい様子である。

アイツのことだ、不手際は取って居ないと思うが。


「今更だが。生存者の非難、及び、迷宮封鎖は完了済みだろうな?」

(はい! 既に対応済みです。現在迷宮内には他の冒険者は居りません)

「上出来だ。よくやったな」


 手際の善い対応に褒めると、喜びの色を更に強める。


(ありがとうございます!!)

「後でそちらに向かう。()()()()、用意を任せる」

(はい!! お待ちしております)



『あ、この声ミネルバだったんですね』

 ミアは今になって声の主に気がついたようだ。

 この迷宮で干渉する存在など1柱しかいないだろうに……。

 俺は呆れながらも目の前のメデューサワームを始末すべく足を進める。


 そんな俺の様子に困惑する面々の中、何かに気がついたカウスが声を揚げる。


「……ミア?いや。違う……まさか!?」

 流石の察しのよさ。

 ミアとは大違いだ。


『酷いですよ。……まぁ、間違ってませんが』


 俺は脳内のミアをスルーしながらカウスに声を掛ける。

「その燃えている()()はお前達のエモノだ! キチンと倒しておけ!」


 この言葉に、他の連中も俺がミアでない事に気がついたのだろう。

 そして、正体も……。


「「「了解」」」

 背後で武器を構え、戦闘態勢に移るのが判る。


 さて、俺の敵は目の前のヤツだ。

 だが、さすがに穴の空いた鎧と無手ではかっこがつかない。


 俺は倉庫の空間を開け、装備を取り出すと、瞬時に換装する。


●スキル『空間収納(アイテムバック)』をラーニング

●スキル『装備変更(ドレスチェンジ)』をラーニング


 ……今はもう気にしないでおこう。


 黒皮のローブと篭手、いつもの戦闘用装備を着装し、黒鉄のメイスを手にする。

 俺の眷属と配下に手をだした代償、払ってもらおうか。



 俺の目には胸の中で燻る怒りが現れていた。

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