ss:母の思い②
幕間のSSです
誤字を修正しました。
ミアとの再会……と、言って良いのか?
私の中の時間ではつい先程まで小さな子供だったのだが、今ではもう大人と言っても良いだろう。
私はまだ体が上手く動かせない。
それでも尚、視線を回し、一人の男性を視界に止める。
その男性の視線が酷く印象的だった。
それは優しいそうで、でもとても哀しそうな、そんな視線。
私は何故だかは解らないけれども、その男性が私を死の世界から拾い上げてくれた、そんな気がする。
そんな彼を見ていると、ミアがあの男性に礼を言う。
「ネクさん、本当にありがとうございました」
あの方はネクと言うのか。
お礼を言いたいのだが、ミアと何か真剣な話をしている。
朧気にだが、二人の会話が耳に入る。
その話から察するに、ミアは私を蘇生するのに何か大きな代価を払ったのだろう。
ミアを僕にするという言葉が聞こえていた。
だが、先程同様。彼の言葉からは不快なイメージが沸かない。
私はまだ、はっきりとしない意識の中で、それでも
聞き逃すまいと耳をすませる。
すると、彼は
「許された時間は短い。だからこそ、その時間を大事にするといい」
そんな言葉を口にする。
次の瞬間、光が私たちを包む。
眩しさに目を閉じたが、次に開いた時、私たちは何処かの部屋の一室に居たのだった。
「ここは・・・あの宿屋の2階?」
ミアはこの場所に心当たりが有るようだ。
「ああ、あの神が用意してくださったんだ」
私はその聞き慣れた声に振り向く。
そこには最後に別れたままの姿の■■■■が居たのだった。
そこまで思って、私は目の前に居る夫の名前が出てこない事に気がついた。
それだけではない。思い出の中の夫の顔が思い出せない。
そして、目の前に居るのに、それが夫だとは分かるのに、まるで居ないかのように存在感を感じない。
まるで薄くなっているようだと思って居ると、夫と、そしてミアの口からその原因が語られる。
そして同時にこうして家族が揃って居られる時間の短さも、私たちは知ることろなった。
「そんな、あと1週間も無いなんて」
話を聞く限り、此処に私たちが居ること自体が奇跡んのだろう。
それでも、私は、私たちは嘆かざるをえなった。
暫くして、私はこんな提案する。
「あの時は出来なかった誕生会くを開きましょう!」
それはあの件が無ければ、行っていたはずの、ミアの4歳に誕生日会の実施である。
誕生日会は今すぐ遣るわけではない。
私はミアと夫から此までの経緯を聞く事となった。
それは取り留の無いことから、ミアの旅の話、そして、夫がミアを精一杯育てて居たことなど多岐に及んだ。
10年余りの思い出。
それは夜通し語られる事になった。
翌日。私たちが朝食の支度をしている(と言っても作っているのは夫だが)と、 昨日の話にも出てきた、ミアの仲間達が2階から降りてきた。
ミアは私と夫を彼らに紹介している。
私は彼らに挨拶をするとともに、ミアに彼らの紹介を受けている。
そしてこの時、ようやく私とミア、お互いの違和感に気がつく事が出来た。
彼らは夫の事が認識出来ないのだ。
居ることは判るが、どんな姿か判らない。
何を言っていうか判るが、どんな声か思い出せない
なるほど、存在を失うとがどんな事かを実感できた。
私たちが認識出来ているのは何故だろうか?
何となくだが、この神眼というスキルが怪しい気がする。
ミアも取得しているらしく、きっとそれによって夫を認識出来ているのだろう。
私は改めてあのネクという神に感謝をした。
家族全員で居られるのは後僅か。
この時間をきっと大事にしよう。そう決めるのだった。




