再出発⑥
クラン設立の話も済んだことだし、今後の予定を話すか。
とはいえ、俺はあくまでも口を出すだけである。
基本方針や行動目的などは彼らが決めればいい話だ。
「俺はお前達の攻略目標などは原則関知しない。俺が求めるのは冒険者としてのテストケースだ」
なので俺はキッパリと言っておく。
最近の冒険者たちの実力など、ダンジョン様相などはミア経由で情報を入手する。
そして、他のメンバー達を鍛え、育成させるとこで冒険者達の実力の底上げを図る計画だ。
知らない彼らからすれば。たかだか数人の冒険者を育てたところで全体の底上げになるか?と思うだろう。
数人だけ育ててもたかが知れている。
だが、今回は俺が育てることに意味があるのだ。
無論、ミア以外には過剰な手出しは出来ないし、するつもりもない。
あくまでも彼らの育成は今後起こるであろう事への布石なのだ。
そのため、俺は彼らにこう説明をする。
「何、ただこの都市を拠点として、活動すればいいだけの話だ。その合間合間に俺から講義や修練が入る。ただそれだけだ」
俺の説明に少し気が楽になったのだろう。
何かよっぽとの事を要求されるのかと思っていただろう、男二名は安堵の顔をする。
……まぁやつらは自分の心配なんてしていなく、仲間の心配をしているようだったが。
少し俺の中の評価が上がったところで、話を戻す。
「さて、せっかくだからな。お前達、クラスチェンジをしてみたいと思うか?」
此処からが俺の本業である。
クラスチェンジなんて、本来縁がないであろう。
そのチャンスが目の前にあるのだ。興味が無いわけではないだろう。
「クラスチェンジとおっしゃられましたが。実際どのようなモノなのですか?」
そう思っていたとき、一人からそう問われた。
なるほど、その情報を持ってもって無かったのか。
縁が無いとは思っていたが、なるほど、事前情報も少ないのか、俺はクラスチェンジについての説明を開始する。
「簡単に言えば、今就いているクラスを辞め、再度新しいクラスを選ぶことが出来る。種族クラス・所属クラス・信仰神クラスの計三つの中から、再度一つ選ぶ形になる」
そう言い、俺は更に具体例を挙げる。
「例えば、種族だと人族・獣人族・エルフ族が候補だろう。所属はギルドやクラン、国家などだな。信仰神はそのままの意味で、その個人が崇める神・庇護する神のなかで最上の者のことだ、その神を象徴するクラスが当てはめられる」
更に言葉を続ける。
「そうだな。今までの例で言えば、ネーネと言ったか。彼女の場合だと、種族はエルフ。所属はエルフの里、そこを守護する神だな。恐らくはエルフ主神か森林系の神、狩猟系の神か……。そして庇護神だが、まぁエルフ主神だろう。これを考えると、職業選択の3つはほぼエルフ系のクラスだったろうな。エルフの色が濃いと魔術系は弓での狩猟系が選択肢に入るだろう。逆に、人族などは種族主神も所属庇護神も個人の信仰神も違うことが多いため、汎用性が有り統一性の無い選択肢が出てくるはずだ。」
俺の話に聞き入る面々。
こんな話はめったに聞けないだろう。
俺は話を続ける
「そしてクラスチェンジというのは、特定の神魔の迷宮を攻略した際。職業を換えることを願うことで成立する。仕組みとしては、種族以外、所属か信仰神のクラスを変えることで成立させるんだよ。クラスを換えることのできる神が低位ってことは無いとは思うが、一時的にでも所属を換えて新規のクラスを選ばせるのが多いな」
万が一、信仰神に自分を入れることが出来ても、他に上位神などが居ればクラス変更をさせることができないからな。
クラスチェンジが余り知られて居ないのはその難度もさる事ながら、神魔にメリットが殆ど無いからだ。
時間の感覚が違う以上、今居る一人を変更するよりも、今居る土地の人口を増やしたほうが版図は広がるからだ。
神魔のメリットは無いが、人族などにはどうか?
「お前達が感じるメリットは今までと違う系統の汎用スキルが手に入る可能性が有る点だろう。フェリアスから少し話しを聞いているかと思うが、クラスそのものに意味はあっても、Lvなどにはほぼ意味が無い。
仮にここでクラスを変えても、今まで育ったスキルはそのまま残る。その上、新しいクラスで獲得したスキル次第では更なる強化も出来るだろう」
これがクラスチェンジのメリットだ。
今までのクラス補正もそのまま引き継ぐため、身体能力のブーストはそのままなのだ。
無論、それに胡坐をかき、自身の技量を磨くことを忘れてはいけない。
その慢心が命を落とすのだ。
俺は無論。この様に釘も刺した上で、皆に問う。「どうする?」と。
手を挙げるのが早かったのは……案の定というべきか、ベオであった。
「俺、俺、クラスチェンジしてみたいっす!」
目をキラキラ輝かせ、俺にそう宣言するが……残念。
「ベオだったな。しかしながら、お前の場合はクラスチェンジは殆ど意味を成さないのだよ」
おれは、ある意味最後通告を放つ。
なにせ、あの狩人というクラス。獣人系の専用クラスなのだ。
そもそも、昔のままでも彼のクラスに影響を与えた神は、主神:俺、所属:不明、信仰神:俺。なのである。
ここで所属も俺に変えたところで、さして変わりはしない。
と考えたのだが。
俺の言葉を聞いて酷く悲しそうな目をし、しょげてしまった。
流石に気の毒にも思えたので。専用クラスを一つ創ってみた
創ったと言っても、大昔、大戦時に存在していたクラスのリニューアルである。
混血が進むにつれ、そもそも失われていったクラスなのだが……。
面白そうなので良しとしておこう。
他の神魔ならいざ知らず。俺が手を出す場合、3三つの選択に特定のクラスを入れることなど造作も無い。
「わかったわかった。新規でクラスを用意したから、それに就け。いいな?」
「ありがとうございますっす!」
あ~もう。やっぱモフモフ獣はいいなぁ。創った甲斐があったもんだ。
性別問わず、俺はモフモフしたものが大好きである。
……まぁ、性別の差でこの大好きの方向性も変わってしまうのだが。さておく。
「獣人:ベオの所属を変更。それに伴い。新規のクラスを下賜する。使うか使わないかはお前次第だ。良い選択を望む」
俺は神として宣言を行い、所属をこの都市のクランにする。
まぁ名前はまだ無いのだが、そこはこのパーティーのリーダーが決めるだろう。
「ありがとうございますっす!」
そう言ってベオはあっさりとクラスを変更したようだ。
ミアの時とは違い、選択権は彼らがもっているのだ。
と、その様子を見ていたミアが、ベオのクラスが換わったのを見て声を上げる。
「ホントに換わった……でも……『獣面霊装』って……何?」
まぁ、昔のクラスだからなぁ……名前も効果を示すものを使っていたのだ。
「俺が昔創ったクラスでな。今では存在しないクラスだ。効果はおいおい教えてやる」
俺はニヤリと哂うと他のメンバーへ視線を向ける。
「さて、他の奴らはどうする?]
俺のその声に一人手を上げる
「あのぉ~。精霊に関わるクラスは存在しますかぁ??」
その声の主、ネーネは俺にそう聞いてくる。
期待に満ちた視線。この子は精霊と特に仲がよかったからな。
俺は下賜できるクラスの中から精霊に関わるものを選択する。
「いくつか有るぞ。どれが善いかは後で選ぶといい」
そう言うとあっさりとクラスチェンジをさせる。
別に今すぐクラスを選択する必要は無いのだ。
後で選択の中から選べばいい。
「エルフ:ネーネ・ルミリアの所属を変更。それに伴い。新規のクラスを下賜する。使うか使わないかはお前次第だ。良い選択を望む」
「ありがとうございますぅ~」
そう笑顔で礼を言うとネーネはどれにするか悩んでいるようだった。
ちなみに、ネーネの選択肢にでた精霊に関するクラスは一つ『精霊術士』と『精霊剣士』だ。
精霊魔術の補正がかかるクラスだが、片方は剣士の名が付く様に近接向きになっている。
さて、変えてないのはあと二人だが……。
「お前達はどうするんだ??」
俺は彼らを促がす。
別にクラスを変えないならそれで問題は無い。
あくまでもコレは俺の趣味みたいなものだ。
彼らはまだ決まらないようなので、とりあえず保留しておく。
そして、おれはある意味本題を切り出していく。
「それじゃ。クラスは保留な。では次に、拠点をこちらに移す以上、関係者など希望者全てを、住居をこっちに移転することができるぞ」
そう、これは彼らへ、拠点として此処を利用するか? という提案である。。
この俺の宣言によって一つ可能なことが起こるのだ。
「っ! そういうことですか! それが本当の目的でしたか!!」
ほう、流石に敏いな。
いい加減名前を覚えてやるか。
彼……カウスと言ったか。何で俺がわざわざ人前に出てまでこんな無理やり染みた勧誘をしたのか気がついたようだ。
趣味も多分に含まれている。
しかし、所属先を此処にするのは実は理由がある。
だが、俺の口からはそれがいえない。
だから、彼らに気がついてもらわないといけなかったのだ。
そう、関係者の移住を許可した。
それはつまり。
首を傾げる面々をよそに俺とカウスの視線が交差する。
俺は軽く笑みを浮かべ頷くと彼は皆に説明をする。
「つまり、ベオ。お前の街の住人をここに移住させることが出来るんだ!」
それはベオの願いが叶う。それを意味するのだった。
クラス考察などは後日
仕様なのですが。ネクは少し回りくどい発言が多いです。
明日はSSを掲載予定です。




