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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
2 ‐神々の降臨
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再出発①

●あらすじ

【2章】『神々の降臨』

仲間の獣人、ベオの依頼のため、彼の故郷に向かうミア一行。

しかし、道中、路銀が尽きてしまい急ぎ近隣の迷宮で資金稼ぎを行うが……?

そんな間にもベオの故郷に、ある神の野心と陰謀の影が忍び寄る。

その果てに、ネクは選択を迫られる。ネクの下す決断とは?


 その日……私は再び死に掛けていた……

 私は倒れこんでおり、もはや指一つ、動かせる気がしない。

 いや、それは私だけではない。他の仲間達も同様だ。


 皆、私のように倒れこみ、動くことが出来ないでいる。


 このままでは。そう遠くないうちに、私達の命は尽きるだろう。

 私は母に……父に……生き抜くと誓ったのにっ!

 私の頬を涙が伝う。

 私は、いや、私達全てが無力感に包まれていった。

 


「って、なんだ!? この惨状は!!! 何事だ!?」

 静寂に包まれるなか、その男性の声が唐突に響き渡る。






 事の発端は数日前に遡る。






 ◇◆◇



「ミア、お母さんと助け合って生きていくんだよ」


 目の前に居る父はそう言いながら、その体を薄れさせていく。

 両親が蘇ってから一週間が立つころ……存在できる期限を迎え消えようとしていた。


 私と母はその姿を皆送りながら、瞼に涙を溜める。

「シア、君には君の幸せもある。これから続く人生なんだ。新しい幸せを見つけてくれ」

「……ええ、わかったわ。ミアと一緒に幸せになるから」


「もう一度会えてよかった……。あの神様には……ホントに感謝しても仕切れない」

 そう言って微笑む。


 そうだ。私も感謝をしている。

 あの日失った母は、こうやって戻ってきた。

 そして父とは最後のお別れをいう事が出来た。

 それだけでも、私達には十分だったのだ。


 他の仲間たちは少し離れたところからこちらを見守っていた。

 皆には私の父がいるのはわかるのだが、その顔や声が認識できないそうだ。いや、それでも、直ぐ側だと何となくは判るようだが、少し離れただけで、そこに誰が居たのか解からなくなるそうだ。


 私にはネクさんがくれた『神眼』があり、そのおかげで父を認識できる。

 この『神眼』は母にも類似のものを授けてくれたようなので、母も父の姿を認識できたいた。

 ただ、それでも。失った名前まではわからず、名前を呼べないのがもどかしかった。


 恐らく、存在そのものを失っている以上、記憶から父の姿も声も薄れ、消えていってしまうのだろう。

 それでも、この想いだけは失わないように……


 そう想いをこめ、父を見つめる。



 私達が見送る中。朝日を浴びて……父は笑顔のまま。大気に溶けていった。






 その日、私と母を元気付けるため、皆で宴会を開くこととなった。

 料理は勿論、父が私達の為に作り置いてくれていた物だ。

 私と母はその味を、家族の味を噛みしめつつ、賑やかな宴は過ぎていく。


「そういえば、ミアはクラスが変わっていたな?」

 宴の中、カウスがそういってきた。

 そう、私はあのとき、ネクさんにクラスを変えられているのだ。

 少し、困った顔をして

「そうなんですが、よく判らないんですよ。なにも説明をもらってませんし。あのあと直ぐに宿屋まで転送させられましたから」

 あの後、ネクさんとはまだ会っていない。

 ネクさんに会っていろんなことを聞かなければならない。

 母のこともあるのだ。

 暫くはここから動くことができないとおもう。








 だがしかし、翌日、私達は大きな問題に直面することとなった。



「食料がないぞ!?」

 レクスが食べものを探しに厨房を訪れ、食糧庫を見てそう声を上げた。


 その言葉を聞いて私達は厨房へ集まる。

 私達はダンジョンに挑んでいる間はフェリアスさんが何処からとも無く用意してくれていた。

 そしてこの一週間ほど父が料理を作ってくれていた。

 そのときには食料庫にも在庫が残っていたのだが……。


「恐らく、昨日ので全て使い切ってしまったんだろう」

「どうやらそのようだな……これは不味いぞ」


 食料がない……。

 私達の保存食はすでに使い果たしている。

 ここまで来るまでに半月以上かかるのだ……食料を買出しに行くことはできない。


 どこかから食料を手に入れないと。

 だが、私やネーネはそういった技能を持ち合わせていない。

 レクスやカウスも同様だろう。

 必然的に狩人として活動経験もあるベオに期待の目が向くが……。


「いやいやいや、無理っすよ! 普通の森林とかならともかく、ここの周囲は樹海といっても過言でないっから!」

 ベオが言うには、樹海での狩りは危険すぎるという。

 単独でならば進むのは何とかなるそうだが、ここまでの樹海だと獲物も少なく、土地勘もないのではまともな狩は期待できないそうだ。

 ましてや、全員で行くのでは私達は足手まといにしかならない。


 狩りで獲物を手に入れることは出来ない。

 とするならばどうするか?

 するとネーネがある提案をあげる。


「だったら精霊様に聞いてみませんかぁ~?」

「精霊様??」


 その言葉は確か、ネーネが捜していた存在のはずだ。

 ダンジョンの最下層で再会することができたそうだが……?


「精霊様はあそこの大樹に居られるそうですのでぇ~。この周囲のことは何でもご存知のはずですよぉ~?」

「では、ネーネとミアでそちらの大樹まで行ってもらえるか?」

 レクスの提案で私とネーネとで大樹まで赴くことになった。

 その間、残りの三人で周囲を探索し、食べれそうなものを探すそうだ。


 私は出発まえに宿に残る母へ声をかける。


「お母さん。暫くここで待っていてね?食べ物を探してくるから」

「ごめんね、頼ってばっかりで。せめて料理の1つでも出来るんだったらよかったのだけど……」


 その言葉に皆が一瞬硬直した。



 そうだ……このメンバーに料理が出来る者が居ない!

 私は元より、ネーネには料理経験が無く、レクス・カウス・ベオは保存食を使って簡単なものを作ることはできるそうだが、きちんとした食材では料理が出来ないそうだ。

 ……そして母も私同様、料理下手の称号を持つ。

 この状況に不安を感じつつも私達は食料探し出かけるのだった。






 そんなわけで、私とネーネで大樹まで目指す。

 前回、都市部を探索した際は守衛をしているという樹木精霊(ドリアード)に阻まれていけなかったが……。


 私達は歩いて大樹の側までいく。

 初めて側まで行ってみたのだが……


「……大きい……なんて大きいの」

 私は感嘆の声しかでなかった。

 太く、そして大きな巨木である。

 その幹は直径一五メートルほどはあるだろうか、樹の高さは三百メートルにもなるだろう。だが、横に広がる枝も相当に広く、そこには木の実がたわわに実り、輝いていた?


(え?なんで光ってるの?)


 私はそのことの疑問を覚えるが、ネーネは隣で同じように感嘆しているのだが。


「わぁ~。大きな()()()の樹ですねぇ~。みたことないですよぉ~」


 と、そう叫んでいた。

 ネーネにはアレがリンゴに見えるのだろう。

 だが、何故だろうか?確かに形はリンゴなのだが……私にはソレがリンゴだとは思えなかったのだ。


 私が疑問に感じていると、目の前の突如として美しい女性が現れる。

 一目見て、何故だろうか?強大な力を秘めた精霊だと判断することができた。

と、ネーネが笑顔で挨拶をする。

「精霊様~、お久しぶりですぅ~」


 この方がネーネの探していた精霊……

 そう思っていると、その精霊が自己紹介をしてくれた。


「ようこそ、精霊樹へ。私はこの樹に宿る精霊、ルイミウォテル。我が神の使徒に、ネーネ。よくいらっしゃいました」

 そういって歓迎をしてくれたのだった。

1章でも少し触れていましたが、彼らに食料はありません。

そもそも、ここに来るのに半月ほど掛かるというのに、その期間の保存食+予備しかもって来ませんでした。

この準備の不備などはネクが懸念しているある問題に直結しています。

詳細は後々に出てくる予定です。

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