果てを目指して④
※修正しました
その後、私たちも食事や温泉などで疲れをとり、明日に備え休むことにした。
精神的なものも含め、私たちも相当に疲労が溜まっており。横になるとあっという間に眠りに落ちていった。
翌日、私は目が覚めると、隣で寝ているはずのネーネが居ないことに気が付いた。
目が覚めたのか? そう思い、一階まで降りて来た。
「おはよう。よく眠れたかい?」
「おはようございますぅ~、心配をおかけいたしましたぁ~」
そこには、お茶を飲んで寛いでるフェリアスさんと、目を覚ましたネーネが座っていた。
「おはようございます。ネーネ、体の調子はどう?」
フェリアスさんに挨拶し、ネーネにそう聞いてみる。
あの助言も有ったため、昨日はなかなか目が覚めないネーネに心配をしたものだ。
心配そうに聞く私に、ネーネが
「体の方は大丈夫ですよぉ~。ただ、ダンジョン攻略の方は注意をしろって。フェリアスさんにもいわれましたぁ~」
申し訳無さそうにそう言う。
……昨日のあの男性の話では魂に損傷を受けているそうだが、今の話だけでは本人が理解でいてるかわからない……
それを察したのか。
「話でしたら聞いていますよぉ~。死んだあと、あの空間でいろいろ話しをしたましたからぁ~」
そう苦笑いを浮かべ、ネーネはそう告げた。
その後。起きてきたほかの仲間と揃い、ミーティングを開始することとなった。
皆ネーネのことを心配していたので、ひっきりなしに話をしていた。
「さて、ネーネも無事起きて来たことだし。昨日得た情報からだな。オレは早々に脱落したのでわからんが。カウスそちらはどうだったんだ?」
「俺たちもあの後の通路でリタイアだ。追ってきたあのトカゲがブレスを吐こうとしてたので、殴って射線をそらせたが……至近距離だったんでね。オレはそのままブレスでやられたよ」
カウスはあの後の情報を話した。
その話を聞いたフェリアスさんが
「よくもまぁ……アイツを素手で殴ったもんだよ。アイツは神獣ファフニールをモデルにしてるだけあって馬鹿みたいに硬いんだよ。」
そう称賛するが
「すみません、昨日も思ったのですが。ファフニールとはなんですか?」
レクスがそうフェリアスさんに質問する。
「ああ、そうか。そのあたり全然しらないのか。ベオ君、君は獣人の集落などで祭壇なんかを見たことがあるかい?」
「何度かあるっすね、でも、祭られている神がわからないんで、ただの寄り合い所みたいになってたっすけど」
そういいながら首を傾げる。
「いや、それでもきっと有るはずだ。そこに、壁画か巻物か……とにかく絵が無かったかい?そして、その図案を思い出せるかい?」
「絵っすか……」
必死に思い出そうとしているベオ
「ん~、絵ではないですけど、彫り物とかならあったっすね。確か、獣人と牛と蜥蜴と鳥がのってるやつっすね」
ベオが思い出し、発した言葉に私はハッとした。
そのことをフェリアスさんに聞いてみた。
「さらに先の部屋で私は鳥のようなモンスターのやられました。ひょっとして、あれも神獣なんですか?」
「そうだよ、あれは神獣ガルーダをモチーフにしてるんだ。ファフニールもガルーダもダンジョン用に調整され、形状を大きく変えてるけど、性能は小型神獣って感じだね」
やはり神獣だったのか。
その会話にレクスが訊ねる。
「ということは、神獣は三体存在して、それぞれの小型種がダンジョン内に居るということですか?」
「その通り、ベオ君のとこにも伝承自体は簡略化されてデザインとして残ってるようだけど。ここの神が創った神獣は三体。『ベヒモス』『ファフニール』『ガルーダ』だよ」
と言うことはここに出現する敵は三類のみなのか?
「そういうことなら、その特性は少しは把握できるか。ミア、その鳥はどういう行動をとった?」
カウスの質問に対し、私はあのときを振り返る。
「部屋に入ったあと、私の頭上を旋回し、暫くして複数の光球を出現させて、それを私めがけて発射してきました」
その状況を振り返り、また、私しか見ていないため。可能な限りの特徴を伝える。
その特徴を聞いたレクスが思い出したように。
「それを効く限り、ハーピーって魔物と類似してるな。ベヒモスはどう見てもミノタウロスだったし、オレは知らないけれどあのトカゲも同様なのだろう」
「そうだね、神獣を存在している魔獣モチーフに小型化して量産してみるってこころみらしいよ、ただ、性能自体は神獣依存だからね」
という、フェリアスさん。さらに
「神獣もいろいろテーマがあるらしく、ベヘモスは強靭な肉体、ファフニールは堅牢な鱗とブレス、ガルーダは高機動の飛行と光子操作って感じだね」
なぜか、嬉しそうに神獣の性能をアピールする。
……それは私たちに話していいのだろうか?
同じことを思ったのか、ベオが
「それって、俺たちに話して善い内容なんっすか?」
「あ~。まぁ大丈夫だろう。一応プチシリーズは見ているわけだし」
一応大丈夫のようだ。
色々出てきた情報を整理する。
「いろいろ、情報が出てきているが、少しまとめよう」
レクスは切り出すと
「プチベヒモスはその膂力を持って受けることが不可能なほどの攻撃をくりだすが、走る速さは俺たちよりも遅い」
「プチファフニールは堅牢な鱗をもって殆どの攻撃を無効にする、さらに走る速度も速く、灼熱のブレスを放つな」
カウスがそう続く。
「プチガルーダは空を旋回して近づいてこないけれど、光球を放つ遠距離攻撃ということですね」
わたしはプチガルーダの事を簡潔に評価した。
「そこで、どうやって攻略するかだが。ミア、例の声は戦い方が悪いっていったんだよな?」
敵の情報をまとめると、昨日の助言の話になった。
「はい、そう言っていました。ただ、理由を『私たちが弱い』でなく『戦い方が悪い』と評価されてましたので……」
そうだ。弱いなら解かるのだ。一切歯が立たかったのだから。
しかし、指摘されたのは戦い方。
これについても考えなければならない
私たちが頭を悩ませていると
「そりゃ、出来るはずのことが出来ていないからだよ。あんた達、アーツは攻撃のためだけの技じゃないよ?」
私は何を言われているのかが解からなかった。
しかし、カウスは気がついたのか。
「なるほど、そういうことですか」
一人納得をしていた。
私たちが理解できないで居ると。
「俺も奥義を使ったからわかったことだ。あのとき俺はあの蜥蜴を殴るため、拳に魔力を集中させた。その上でスキルを発動させて拳打を放った」
プチファフニールを足止めした時のことだろう。
普通に殴っていたら通用しなかっただろう拳打。しかし、魔力を通し、アーツを使った状態で、その威力を通すことができたのだ。
と、ここまで言ったところで
「そうか! 魔力を武器や拳でなく、両足に集中させれば、純粋に脚力が強化できるってことか! そうすれば、相手を回避して進むことができる!」
レクスが気づき、そう答えを導いた。
確かにその方法なら回避は出来るかもしれない、しかし問題もある
「でも、それを維持し続けないといけないんですよね。私たちはまだそこまでアーツを使いこなせないですし」
「そうだな。あと、回避は出来ても防御面に問題は残る。現物を見てないので判断が出来ないが、遠距離から来るガルーダの光弾は防がないといけないだろう」
私とカウスがそのの問題点をあげる。
そもそもの技術の習得、そして防御の対策だ。
この2つをなんとかしないといけない。それともう一つ問題が有るのだ……。
「……それと、ネーネの問題も解決しないといけないですね。全力で逃げる場合、私たちは『タフネス』をもってるので何とかなりますけど、ネーネの場合深部まで体力がもたないと思います」
私は言いにくいことながら、この問題にも触れた。ネーネの体力がもたないなら。どうにかしないといけないのだ。
と、その話を聞いたベオが
「防御の件とネーネの件、なんとかなるかもっすよ?」
自信が有りそうに、そう切り出した。
私たちはその言葉に驚くと、対応策を聞いてみた。
「簡単っす、ネーネを走らせなければいいんっす」
ベオの提案はこうだ。
ネーネの体力が無いなら、ベオが背負って走ればいいと。そしてその分、ネーネは魔術に専念し、問題となるであろうブレスと光球を防ぐ、というものだった。
確かに、これならネーネの問題は解決するだろう。ベオはEXスキルで『無尽蔵』を持っている。こういった体力勝負には自信があるのだろう。
その話を聞いていたレクスが、
「手としてはいいと思う。あとはアーツを使った機動力の向上か。これについてはやってみないと判断が出来ないな。今日はこのまま、訓練に当てる。皆いいか?」
私たちのミーティングを見ていたフェリアスさんは、
「暫くはダンジョンに潜らないほうがいいね。数日間はここで訓練に当てるほうがいいと思うよ?」
そう返し、意見をだしてくれた。
そのため、私たちは数日を訓練で費やすことに決定した。
私たちの今後の方向性が決まるとフェリアスさんが、ふと何かに気がついたように。
「そうだ、あんたたち、今のうちにアーツの訓練をしておいで、その間に朝食の用意を頼んでおくから」
そう言い、私たちを外へ促がす。
私たちは促がされるままに、アーツの訓練のため、外へと足を進めるのだった。
◇◆◇
「こうやって新顔共を追い出して、オレに朝食を作らせる気か、たまには自分でつくってみたらどうだ?」
「私は料理は諦めました。細かいことが苦手なもので」
「まったく。あと、お前はかなり抜けすぎだ。他神情報をポロポロ漏らして」
「解かってます、すみません。一応、伝承や神話などに痕跡と残さないようにしているのは十分に理解しているんですけど」
「……まったく、そんなだから、いつも駄犬呼ばわりされるんだ」
「そんなこと言って!貴方は駄神扱いじゃないですか! ……言ってて腹がたってきました。あの貧乙女め」
「お前ら……ホントに仲が悪いよな」
◇◆◇
簡単な訓練が終わると食事を取りに宿屋に戻ってきた。
ベオがネーネを搬送する案はなかなかに理にかなっているようで、ネーネが移動砲台のようになっていた。
また、光球の防御に関してもフェリアスさんと相談し、防御系魔術を取得することでなんとか形になった。
問題だったのは、アーツの持続時間で、足に魔力を込める量が多すぎるとあっという間に枯渇してしまう。
この微細な調整が難しく、全員が取得できるまでに一週間以上がかかってしまった……。
だが、その結果。全員アーツを使った高速移動が可能となり
迷宮十日目になる明日、三回目の挑戦を決定した
夜、フェリアスは特定のメンバーだけ呼び、ある話をした。
「レクス・カウス・ベオ、少しいいかい?」
「なんですか?」
「このダンジョンで知っておかないといけないことがある。でもこれはミアちゃんやネーネちゃんが知る必要がないことだ」
「……なにか問題でも?」
「いいかい、このダンジョンの最深部には―――があって―――なんだよ」
「――――――――わかりました」
その話は今はまだ、三人の胸の中にしまわれることとなる。
明日は迷宮日誌を掲載予定です
ある2人の確執と、ネクとある物との関わりを書いています。




