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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
1‐2人の長いプロローグ
20/140

果てを目指して③

残酷表現があります。

※修正をしました

※ドラゴンという表現を削除しました。あれはトカ……以下略

 部屋の出口から私たちは通路に飛び込んだ。


 おそらく、触れるだけで私たちの命を奪うことが出来るだろう。そのモンスターたちが後方から走り、迫ってくるのだ。

 心臓が早鐘の如く鳴り、酸素を求め、喘ぐ呼吸が、耳に煩いまでに聞こえてくる。

 もはやだれも声を発することができない。ダンジョンに入ってまだ一時間もたっていないのに……


 はやくはやくはやく!


 ただそう思い、ひたすらに走る。

 私たちが居る通路は平坦な道ながらひたすらにまっすぐ、まっすぐに続いている。

 前だけを向いて走っていた私たちの耳に。恐怖を伴う声が聞こえる。



『AAARrrrrr!!』


 追ってきた……追ってきた……っ!

 『振り向くな』という心理的ストップを無視して、思わず……振り返ってしまう。


 そこには先ほどの部屋でみた、黒い鎧の塊が猛スピードでこちらに追い縋って来る。

 その走るスピードは私たちよりも速く、レクスが命を賭け、稼いでくれた距離がみるみる縮まっていく。


 隣ではネーネが泣きながら走っている。

 エルフの精神は実年齢でなく、肉体に依存して成長していく。

 そして、私たちのようにスキルで体力の補助がない彼女は……実年齢とは違い、その外見上の十二歳前後体力しか持ち合わせていない。

 自身の数倍の大きさのモンスターに追われ、目の前で仲間が死んでく。

 そんな状況の中。ネーネに圧し掛かっている重圧はいかなるものか……。

 この極限状況、既に肉体的に限界であろう。

 そして、程なく。その時が訪れてしまう。


「……あっ」

 その言葉を残し。ネーネの体力が……尽き、そして背後の神獣を見て、心が……折れてしまった。


「っ、ネーネ!」

その場に倒れ、動けなくなったネーネを振り返り、


「先にいくっす! オレがなんとするっす!」


 思わず脚を止め、ネーネを助けようとする私たちを押しとめ、ベオが逆に切り返し、ネーネを助けに戻る。

 しかし、ネーネと神獣との距離はその数秒ですでに絶望的なまでになっており……。







 ネーネは蹲ったまま、その突進してくる神獣から目を背けることが出来ず、その表情を絶望で埋め尽くし……

 彼女の小さな体は、その巨体に轢かれてしまった。






 既にネーネの体は見えず、その獣はその勢いのまま、ベオにその豪腕を振り上げる。


「っ!」

 勢いが付いているその体で、必死にかわそうと体をねじるベオだが、

 巨大な姿とは想像もできないほどの俊敏さと正確さでベオをつかむ。


「ちくしょぉぉぉっ!!!」


 悔しさに、自分を掴む巨大な腕に拳を叩きつけ……そのまま光の中に消えていった。



「ネーネ!ベオ!」

「くそっ!レクスに頼まれたってのに!」


 仲間を同時に二人失い、悲痛な叫びをあげ、敗走を続ける。



 と、背後の神獣が脚を止めたのに気が付く。

 何をする気だ……?

 と、振り返ろうとすると。

「こんな所でブレスだと!?」

 カウスが目を見開き、引き攣った声をあげる。

 しかし、逡巡は一瞬で


「くそ、いいか! ミア! 振り返らず、ただ先へ走れ! そして、この先の情報を、何か一つでも手に入れてきてくれ!」

 そう言うと自ら死地に踏み込んでいった。


「さっきネーネの魔術が少しとはいえ効いたって事は! これならどうだ!!!!!」

 この迷宮都市にくる道中、魔術の訓練をし、アーツの習得に勤しんだ……

 そのカウスの努力の結晶が今、顕れる。


「おおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」


 右の拳に魔力を集中させ、さらにスキルの『剛拳』を発動する。

 そして、その力を実戦で覚えた、拳闘の動きをもって放つ。

 心:魔力・技:スキル・体:技量。三つ揃って初めて可能となるモノ。


「くらえっ! 【焔火流組討術、奥義:衝天轟音】っ!」


 それがカウスが自らの力をもって到達した、初めての奥義である。


 すさまじい音と、衝撃をもって、ブレスを吐こうとしていたその顎を下から上へ打ち上げ、ブレスの射線を逸らすことに成功する。

 だがしかし、人の身で神獣を素手で殴る代償か、その右腕はその装甲のような硬い鱗と、自らの奥義との反動で、もはや、ただの肉の塊となっていた。


 それでも間違いなく、一矢報えたことを誇らしく思い


「……ざまぁみろ」


 そう笑いながら……灼熱のブレスに飲み込まれていった。




「っっっっ!]

 背後に熱を感じながらも、カウスから託された通り、前を向いてひた走る。

 皆が死んでいった。

 たとえ蘇るとしても、それを前提にした作戦だったとしても。

 誰かを前に進ませるために犠牲となったのだ。

 だったら、それに応えるにも前に進まなければならない。


 カウスのおかげだろうか、背後から迫ってくる圧力や威圧感は無い。

 そのことを嬉しも誇らしく思いながら、通路の出口へ、おそらく次の部屋の入口であろう。そこへひた走る。


 先ほどの部屋から、ほぼまっすぐな直線を走る。おそらくすでに1kmは超えているだろう。

 そうするうちに前にうっすらと明りが見えてきた。おそらく次の部屋だろう。

 今立ち止まるとおそらく、もう動けない。

 その思いから、そのまま出口を突き抜ける。


 部屋に入ると背後で通路は封鎖される。

 そこは先ほどの部屋とまったく同じ構造だった。

 今出てきたところは床に面している出入り口で、

 おそらく、この部屋にある通路の先も同じようになっているのだろう。


 そして、先ほどと同じく、各出口からモンスターが出現する。


「え?」


 それは見たことの無い。()()()の神獣だった。


 今までの二体は大きく、強靭な肉体をもったまさしく獣だった。

 しかし、今回のモノは私たち同じくらいの大きさしかない。

 女性的な体と四肢をもち、ただ違うのがその脚は猛禽類を思わせるカギ爪をしており、そしてその両腕には大きな翼になっていた。

 全身を大小の漆黒の羽毛で美しく飾り、頭部はまるで猛禽類の様である。


 そんな見たことの無い存在が、甲高い声をあげ、部屋の空を舞った。

 私は、この切羽つまった情況でなお、ソレ美しいと思った。



『PIiiiiiiii!!』



 モンスターは私の周囲を旋回し、その後、空中でホバーリングし、静止する。

 羽の羽ばたく音が聞こえるとともに、周囲に複数個の光球が出現する。

 その数はみるみる増えていき……その全てが私にむかって降り注ぐ。


 私の意識はそこで途切れ。こうして2回目の挑戦は終わりを告げたのだった。





 ◇◆◇


 ここは二回目か……

 私の意識光の無い闇の中にいた。

 先ほどの攻撃で私は死んだのだろう。


 確かに、少しは前に進むことができた。しかし……このままのやり方で攻略していって、わたしの心は持つのだろうか……


『いや、持たないだろうな。人の心はそんなに頑丈にできて居ない。短期間で連続して死に続けると間違いなく、壊れる』


 前回と同じ男性の声が聞こえた。


 でも……どうすればいいか。


『そこは自分で考えろ。お前たちは冒険者だろう? それに、ここで諦めれるのか?』


 そうだ……諦められない、諦めるわけにはいかない! 両親にもう一度会うまでは……仲間の信頼に報いるためには!


『そうか、がんばれ』


 ぶっきらぼうに言うその言葉だが、なぜか笑っているように聞こえた。



『せめてもの助言だ、先ず一つ。お前たちは戦い方が悪い、あれでは追いつかれて当然だ』


 そう声は指摘する。


 戦い方……?


『そこは自分で考えるか。助力を頼め、そして2つ目だが。あのエルフ娘、魂の損傷が激しい、あまりもたないぞ。あれが挑めてあと2回ほどだろう』


 そして、その言葉で私の思考が止ってしまった。


 もたない……? それはどういう。


『言葉通りだ。未熟な精神で相当な恐怖とともに絶て続けの死亡。これが原因だ』


 そんな、ネーネが……。


『それはオレも本意ではないのでな。いいか、戦い方が確立するまで、絶対にダンジョンに潜らせるな、いいな。』



 まって、もう少し……貴方は……。


『起きろ、仲間がまってるぞ』


 そして……二度目の蘇生が果たされ、私は目をさました。

 






 目が覚めると、そこはベッドの上だった。

 こわばる体を起こす。

 相当に疲れているのか、体が重く感じる。


「お。ミアが起きたっすよ!」

 ベオがそばに居てくれたのか。

 その声にレクスとカウスが出てくる


「体に違和感はないか?」

「私は大丈夫、二人は?」

「オレに問題はないな。カウスもだろう?」

「ああ、問題ないな。俺はむしろ調子がいいくらいだ」


 お互いの無事を喜ぶ。

「ちっ、こいつちゃっかり奥義を完成させやがって」

「あいつに一矢報いることができたんだ、良しとしてくれ」


 そんないつも通りにする二人を見て顔がほころぶが、ふと先ほどの助言が頭をよぎる。


「そうだ! ネーネ! ネーネはどうしたんですか!?」


 ここに居るのはレクス、カウス、そしてベオの三人だけ、ネーネの姿が見えない。


「……ネーネはまだ寝ている、ここに飛ばされてから一度も目をさまさない」

 そうレクスが節目がちに言った


「フェリアスさんの話では、幼い精神には負荷が大きすぎたんだろうと」


 そうか……やはりあの助言の……

 他の皆は聞いたのだろうか?


「あの、お二人は死んで生き返る間になにか声を聞きましたか?」

 そう二人に尋ねると、


「いや、俺はなにも……カウスはどうだ?」

「一回目はなにも無かったが、二回目には……少し」


 レクスは聞いてないが、カウスは聞いていたようだ。

「それで、カウスには何を?」

 ネーネの情報があるかと思いそう聞くのだが、

 カウスには奥義に関しての話だったようで


「おれが最後に使った奥義に関してだな。オレが今度どう成長すればいいか、少しだがアドバイスをくれた」

「そんな会話があったんっすね~、おれはただの転移みたいだから全然っす」

「それは興味深いな。後で教えてくれ、それよりネーネのことだ、今の話からすると、ミア、お前にはなにか話があったのか?」

 私の言葉でネーネについての件だと察し、問いかけるレクス。

 私は死後の世界での会話を三人に話した。


 “私たちの戦い方が悪い”というのと、“ネーネがもたない”という話だ。


「戦い方はとりあえず置いておく。今はネーネの方が先だ」

レクスは真面目な顔になりそう切り出す。


「その話が事実なら、暫くはダンジョン攻略は見合わせたほうがいいでしょうね」

「そうっすね、ネーネはまだ目が覚めないっすから」


 聞いた話の内容を精査し、今後の行動予定を立てようとする、と

「しかし、なんでオレには無く、カウスやミアにはこういう助言があるのかねぇ?」

 そう訝しがるレクスに声が投げられる

「それは趣味の問題だろうね、聞いた話しではカウスはあのプチファフニールをぶん殴ったんだろ? そこが評価されたんじゃないか?」

  フェリアスさんがそう推察すると、こちらを向き、

「まぁ、ミアの場合は……深部に絶対に行かないといけないっていう思いがあるからだろうね」

 あの神獣はプチファフニールと言うのか……そして、あの声の主は……やっぱり。

 そんな想像をしていると

「さて、今日は疲れているだろう。皆、ゆっくり休んで、対策は明日考えるといいよ」

 フェリアスさんはそう提案いした。

 確かに、蘇生しても体の疲れは取れていない、ゆっくり休みたいところだ。


「裏手の温泉は好きに使うといい。あと、朝食の残りが少しあるから温めなおして食べてもいいよ」

 そう言うとフェリアスさんは、ネーネのベッドに歩いていく。

 ありがたい事に、側についていてくれるそうだ。

「フェリアスさん、ご好意感謝します。そして、あつかましい申し出なのですが……」

「ああ、いいよ、情報整理と……訓練につきあってやるよ」


 レクスがフェリアスさんに、明日の協力を取り付けていた。

 それを横目に隣の部屋にいく。疲れたからだに鞭うち、部屋に行くと、そこにはネーネが静かに眠っていた。

 私は横に座り、静かに眠りにつくネーネの頭をなでる。

 こんな小さな体で頑張ってくれたんだ……と。そう思い、今度は自分が頑張らねば、ダンジョン攻略に意思を燃やすのだった。




ネーネはダウン中です。

今後、ネーネの負担をかけない戦略をたてていくのですが……果たして?


半月もの移動期間の間に覚えたアーツがようやく花開きました。

まだ未熟な奥義ですので、死後の助言で変化していきます。


そしてここでも言われた「戦い方がわるい」

これも移動期間のあの半月に説明をしているんですが、彼らはわかっていませんでした。

と、いう感じですね。

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