果てを目指して②
誤字を修正しました。
出口の数が間違っていたのを修正しました。
※情景を加筆修正しました。
※ドラゴンという表現を削除、獣に変えました。……さすがにアレは蜥蜴です。
私の瞳に力が戻ったことを確認すると、レクスが
「調子が戻ったようだな。それでは、ミーティングを始めようか」
そう切り出した。
「とは言っても情報が無いからな。あのモンスターのヤバさだけは良くわかった」
「そうだな。アレの強さを考えると、狂乱のときの魔獣なんか比較にもならないな」
レクスとカウスはそう話だした。
「狂乱? なんですか? それは」
私の知らない言葉が出てきたため、彼らに聞いてみた。
「そうか。もう6年以上前だからな。ミアは知らないかもしれないな。ベオ、ネーネ。二人は知っているか?」
「オレは知っているっすよ! その影響で街からでれなかったっすから」
「私はすでに旅をしていましたからぁ~。あのときは都市部に非難してましたねぇ~。お二人は実戦として出ていたのですかぁ?」
2人は知っているようだった。レクスは昔を思い出すように。
「ああ、オレたちは今のベオとミアくらいの歳でね、そのころにはギルドに所属していたからな」
と答えている。
私が何を言っているのか解らないでいると。
「説明するとだ、20~30年間隔らしいのだが、世界中の魔獣が一斉に凶暴化・強化される時期があってな。そのときは全都市に戒厳令がだされるんだ」
「だなぁ。冒険者は近づく魔獣の対処を依頼される。その期間はダンジョンも封鎖されることが多くてな。まぁ、ダンジョンモンスターには影響ないんだが。
そこはこの前に聞いた、野生の魔物が魔獣の子孫って話が原因だろう。とにかく、近づかなければ害はないのが救いだな」
2人はそう教えてくれた。積極的に人里に下りてくるわけではないが攻撃的になっているそうなので、近づかないようにするそうだ。
「凶暴化はわかりました、強化もされるんですか?」
「ああ、単純に考えても数倍~数十倍にまで強化されるな。その間は今までと同じ魔物と考えてはいけないな」
そこまで強化されるのか……私はそのころは老冒険者も亡くなり、残してくれた蓄えで生活していたころだ。
亡くなる前に老冒険者が知人に頼み、10歳までの生活費と住居を確保してくれたのだ
人里に積極的には来ないとはいえ、あれが無かったら私も危なかったのかもしれない。
「原因はわからないのですか?」
なにが原因で狂乱が起こるのか。
「それが解からないらしい。知恵の迷宮でも回答が得られなかったと聞いている」
「ただ、狂乱後は魔獣が穏やかになり、さらに爆発的に増えることから、繁殖期に入ることで凶暴化するのだろうと噂だ」
狂乱か……6年ほど前に起こったのなら最低でも10年以上は大丈夫なのだろう。
「まぁ。このダンジョンがソレ以上の強さをほこるモンスターが居るということだ」
その言葉に皆の表情が強張る。
「そうだな、これまで体験したことが無いほどだ。おそらく、全ての冒険者が、だ」
「絶望的な内容には変わりない。それに情報が足りなさすぎる。そこでだ、今日は情報収集と割り切り、先に進もうと思う」
そうレクスが提示する。ソレは、私たちの死も計算に入れての発言だった。
その言葉に顔を引き締める。と、ベオが
「それならオレ1人で何度か潜ってみたほうが、善いんじゃないっすか?」
と、ベオが提案してきた。
確かにベオは捕獲されて追い出されるだけで、殺されはしない。
しかし、そんなベオに。
「死なないからといって。仲間1人をダンジョンに放り込めるか! オレは……オレたちは、そんなことをしない。わかっているはずだ、ベオ」
語気を強く、そうベオに言いながら、その顔は誇らしくベオを見つめている。
そんな様子をカウスは微笑みながら見ており、
「……そうっすね、自分が間違ってたっす。皆でがんばりましょう!」
おそらく、3人のみ伝わる何かがあるのだろう。
と、ネーネが思案げな顔をして
「しかし、どうやって情報を得ればいいんでしょうかねぇ?出口からモンスターが出てくる以上、遭遇を回避するのは難しいとおもいますしぃ~」
ネーネの当然の疑問。
確かにどうすればいいのか。
「それを今から再度検証に行く。それしか無いだろう」
そう言うレクス。
そうだ、情報の無い未開のダンジョンなのだ、文字通り“命を掛けて”情報を集めるしかない。
私たちはそう決意し、再びダンジョンを目指すのだった。
先ほどまでいた宿屋から少し歩いたところに、昨日入ったダンジョンの入口があった。
「そんな。昨日は気がつかなかったのに……」
これほ近いなら気がついてもおかしくなかったはず。そう思い、入口から来た方を見る、すると
「うそ!? 宿屋が見えない!」
来たほうを見ると樹によって隠されみえなくなっていた
フェリアスさんが
「ドリアードによって偽装されてるんだよ、この地は招かれたものしか入れない。それ以外の者が無理やり入ろうとすれば……」
そう言いながらフェリアスさんが視線を変える。その先を見ると、先ほど大樹で見た小さなドリアード……たちがいた。
「うそですよぉ……複数存在してるなんてぇ……」
ネーネが信じられないと呆然とつぶやく。
その様子にあきれたような声で、
「ネーネちゃん、ここは誰の膝元だい? 昨日わかったはずだろ? そんな存在がごろごろいたって不思議はないはずだよ?」
そうだ、昨日確認したじゃないか、この地は『精霊の主神』がいるのだと。
それでもネーネは「信じられない……」とつぶやきながらダンジョンに入っていく。
……まぁそうなんだろう。私たちで考えるなら。神の力だ、といって急に動植物が話しだしたり、私たちに翼が生えるのと同じくらいのショックなのだろうか?
そんなことを考えながら。緊張がほぐれ、私もダンジョンに入っていった。
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「そんなに非常識か?」
「少しは自分の能力を考えてください。あれは種族を1段階強制的に進化させるのと等しいはずですよ」
「小さいなぁ……アレでそうなら精霊樹に来たときにはどんな反応をするんだ?」
「まぁ、……私も見る分には楽しいので。ところで、よく話しかけて来ますが、結構暇なのですか?」
「暇だな。まぁ直ぐに暇を持て余したヤツがケーキと紅茶を求めてやってくるがな」
「……あの子たちを直ぐに攻略させるので、そのケーキと紅茶はお待ちください」
「……いつも言うが、新顔に手を貸すなよ? お前の参戦を許すのは最深部のみだ」
「わかますよ。でも、手を貸したくなりますからねぇ」
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ダンジョンに潜った私たちは、道を進み、あの部屋の前までやってきた。
「さて、ここからだが、少し試してみたいことがある。皆しばらく部屋に入らずにまってもらえるか?」
そうカウスが切り出し、単身で部屋の中に入る
「おい、カウス! まてよ!」
レクスが慌てて止めるが
「いいか。皆、動くなよ」
そう釘をさし、一人部屋を進む。
「敵はでませんねぇ~?」
心配しているネーネが呟く
そうだ、既にカウスは部屋の中心部まで来ているのに、敵は出現しない。
カウスはそのまま部屋を一周するとすぐ隣の出口を覗き込む。
「やはりそうか……」
そう呟くと、私たちがいるところまで戻ってきた。
「少し気になることが有ったんだ。確認がとれたよ」
戻ってきたカウスはそういうと
「あの出口にはあのモンスターは居なかったよ。おそらく。全員が部屋に入り、入ってきた通路が封鎖されると同時に召喚されるんだろう。」
「ということは現状、出現方法は全員で部屋に入ることか。単身で次の部屋にいけると思うか?」
「いや、無理だろう。それをやると一人だけ残してバラけただけでマッピングと探索が出来てしまう。そこまで甘くはないだろう」
レクスとカウスは現状の把握をしつつ今後の対策を検討している
この状況で出来そうなこと……。
「脚の早い人をここに残して私たちで出口近くまでいくのはどうですか?」
そう提案してみると。
「ある程度出口に近づいたらココから出て合流か……その手もあるが……」
「その場合だと、オレが出口近くに居ると、敵がそこに来るっすからねぇ~」
そうか、出口に近い分、ベオに近づくのが早くなり、私たちを追うモンスター、それを追う後発という形になってしまうのか
「これ、さ。素直に脚を止めず、走って逃げるのが正解かもなぁ」
思考が行き詰まったのか、レクスはそう切り出した。
まともに戦えないモンスター。それを考えると、逃げるというのが正しい選択のように思える。
「戦えない以上、ソレしかないが。どうする?逃げるといってもどこまで追ってくるか解からないぞ?」
この先どこまでダンジョンが続いているか解からない、それすらも解からないのだ。
「どの道、情報が欲しい。覚悟を決めていくか」
そう言ってレクスが部屋の中へ入る。
「ならオレもっすね」
「いきましょうかぁ~」
そう言い、皆進んで行く。
そうだ、その一歩を踏み出さないといけない。
「いきましょう!」
命をかけた“鬼ごっこ”がはじまる。
私たちが室内に入ると同時に閉じる入口、程なくして出口よりプチベヒモスたちが現れた。
『GruuuAAAAAAaaaaaaaaaa!!!!』
叫びをあげ、こちらを目指す。
少し、体は震えるが、唇をかみ締め、1歩、1歩と踏み出す。
前回は虚を突かれ、対応できなかったが、冷静になってよく見れば、プチベヒモスたちの動きは遅い。
走って逃げれば斧の範囲からも避けれるだろう。
直ぐ右手にある出口を目標に定め、行動を開始する、
案の定、プチベヒモスたちはベオを目標に動いてきている。
十分に出口から離れたのを確認し、全員で走り出す
「いくぞ、大きく距離をとって回避しろ!特にベオ!絶対に捕まるなよ!」
「「「「了解」」」」
こちらの動きに反応して、プチベヒモスも走り出す。だが、対象となっているベオはそれよりも早く、出口まで到達する。
「走れ走れ!」
出口ではカウスが皆を呼び待っている。
最後のネーネが出口に到達すると、カウスが殿として、背後を気にしながら通路を走る。
「やはり、あいつら通路を追ってくるぞ。距離は十分にある。落ち着いていけ」
背後を振り向くと、プチベヒモスが数体こちらを追ってきているのが確認できた。
「前方、通路が左折してるぞ、暗いから気をつけ……っ! 角曲がると上り坂だ!」
どうもこの通路。長い上に上下の進路があるようだ。
先ほどの部屋を出てから数百mほど走ったころ、前方に出口が見えた
「前方出口だ!周囲を確認後出るように! カウス、後方を確認、ギリギリまで待ってから出てくれ」
「了解。後方は任せておけ。安全そうなら先に行ってくれ」
「解かった。後ろは任せたぞ」
レクスとカウスがそうやり取りをする。流石に幼馴染で冒険者をやっているだけある。息がぴったりだ。
そうしていると、出口に到着し、レクスが出口から周囲を確認する。
私も周囲を観察する。
そこは、先ほどの部屋と同じつくり、同じレイアウトの広い空間だった。
ただ違っているのは出口の場所であり、ここは壁の上部、外壁を這うように設置されているスロープの上だった。
「まずいっすよ! この通路の側面に出口が複数あるっす!」
「やばい! 走れ! このままだと正面から鉢合わせするぞ!!」
私たちは外壁に沿って走り出した。
彼らの言うとおり、ここは外壁の最上部に位置し、ここを含め、通路に沿って7つの出口が存在している、他4つは床に面しており、各外壁の中心に設置されている。
ここから下部の出口に行くにはスロープを渡りきるか、ある程度の高さから飛び降りるしかない。
ここは床から80mほどの高さにあるため、とてもではないが、飛び降りれない。
「もう限界だ!出るぞ!」
カウスがそう言い、出口より飛び出す。
すると、やはりというべきか。出口は最初と同じく木の根で封鎖され、程なく叫び声とともに、モンスターが出てくる。
「っ!? 何だあれ!? プチベヒモスじゃないぞ!?」
「デカイトカゲ……いや、まさか……あれも神獣か!? まずい!」
私たちはここもプチベヒモスが出てくるとばかり思っていた。
だがそこに現れたのはまるで鋼鉄の塊の様な獣だった。
大きな体躯をし、黒く光る大きな鱗が、鎧の様に全身を覆って居る。
赤く輝く眼光がこちらを向く。
体高は2Mほどだろか、プチベヒモスよりも低く感じる。しかし、体調は6~7Mほどもある。
しかし、最大の特徴はその大きな前足であろうか、後ろ足の2~3倍の太さがあり、鱗と同様に黒く光る大きなツメを有している。
『AAARRRRRRrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr』
叫び声をあげ、こちに突進してくる、その大きな体躯とは裏腹に、その動きは早い!
「まずい! こっちにくるぞ、出口までは間に合わない!!」
「一か八か、飛び降りるっすか!?」
いや、この高さ、無事なのはスキルのあるカウスくらいだろう。
このままでは確実に全滅だとそう感じたとき、
「伏せてっ! 『ウィンドブロウ』」
ネーネが風魔術で吹き飛ばす。
詠唱破棄で速攻として発動したその魔術は、風圧の塊となってそのドラゴンを打ち付ける。
だがしかし、獣は少し動きを鈍らせた程度で、こちらへと向かってくる。
そのとき
「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
「レクス!?」
一瞬の隙をつき、獣の左腕に全身を使って体当たりをし……。
そのまま抱きついてスロープの上から身を投げた。
「カウス!あとは頼んだぞ!」
抱きつかれた上、身を投げた重みで獣の左腕がスロープを踏み外し、そのまま獣とともに落下する。
程なく、轟音を立て、レクスと獣は地面に叩きつけられた。
「レクスゥゥゥ!!!」
「っ!皆!そこの出口にいけ!!」
「だけどっ! だけどっ! レクスが!!」
「いいから走れ! あいつの行動をムダにするな!」
私たちの悲痛な叫びの中、カウスが檄を飛ばし、出口へと皆を連れて行く。
その顔を見ると、目元には悔し涙を浮かべ、悔しさで声を震わせながら
「いそげ! いそげ!」
そう。声をあげる。
私も悔しく、歯を食いしばりながらも、出口へと走る。
まだ先は長く、その終わりの見えない出口へと。
レクス、2回目のトライはここでリタイアです。
出てきた爬虫類型の神獣ですが、イメージ的には「ヨロイトカゲ」な感じですね。
ただ文中にも有るとおり、かなり硬い鱗と馬鹿でかい前足を持っています。
見せ場も無く、獲物を取り逃がした彼らですが、隠し玉を持っています。今後乞うご期待!?




