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秘境迷宮の創造主《クラフター》  作者: 黒狗
1‐2人の長いプロローグ
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迷宮開発日誌⑤

 さて、あのトライアルから三年が経過した。

 最下層の触手はある意味好評ではあったが。女性の挑戦者がほとんど出てこず、男ばかりであったため。廃止した。

 報酬として提示はしているがそれだけである。


 女性の挑戦者は若干二柱であるが、顔なじみすぎて参考にならない。

 

 そしてそのうち一柱は今日もやってきた。


「そこの駄神! 今日こそ、その顔叩きつぶします!」

 剣を構え突っ込んでくる戦女神ヴァルキリー


 ……あのトライアルで特製テンタクルアネモネの餌食になったラヒルデだ。


 あれ以降、よくここにやって来ては俺を叩きのめそうと勝負を挑んでくる。

 流石に、アイツに俺がどうこうできるわけではなし、なかなか面白いので放置している。



「まぁ、遊んでやるからかかって来な」

 そう言うと、剣を構え、襲い掛かってくるラヒルデに向き合うのだった。






 今回の戦いという名のお遊びが終わり、ラヒルデが倒れこんでいる。

 この一連のやり取りはコイツの上司であるオルも知っていることだ。

 俺も了承しているので、直接一級神たる俺を襲撃しても問題になることは無い。


 このやり取りも慣れたもので、もう何度目か判らないほどだ。

 しかし、最近襲撃頻度が増えた気もする。


「お前、最近来る頻度が増えてるけど、暇なのか?」

「そんなことないです! 私はオル様の眷属三位なんですから!」



 ……絶対に暇だろう。

 ホントに忙しいならオルはこんな遊びはやめさせる……と思う……多分。

 アイツとは付き合いが長いから,何を企んでラヒルデを自由にさせているのか、おおよそは理解できる。

 ……俺も気持ちはわかるしなぁ


 実はある共通事項が存在するのだが……まぁ、ソレはソレだろう。

 いつもだったらテンタクルアネモネで梱包してオルに送り返す(アネモネは返却されない)のだが……。

 今日は少し手が欲しい。


「まぁいい、どうせ暇だろう、少し手伝え」

 俺はラヒルデが暇と断定し、手伝いをさせることにした。

「……何をさせる気ですか?]


 手伝いをさせるから不服なのだろう、不満気にそう返事をしてくる。


「迷宮をリメイクしようと思ってな。今の五層構造も悪くは無いが……少し勿体無い」


 この迷宮は一kmの立方体の構造をしてる。

 しかし、完全にフロアで区切っているため、かなりデッドスペースが存在するのだ。

 強度を考えてそのスペースはあるべきだと思うのだが、巨大に成長した精霊樹に支えられているため、強度面では問題は無い。

 改築もドリアードとノームを駆使すれば数日で完成することだろう。


「リメイクですか、現在のも悪くはないと思いましたが?」

 真面目なラヒルデは不承不承という感じながらも会話に乗ってきた。


「昔ながらのクレタ型迷宮も悪くない。むしろ好きだ。でもこれだけ、広い空間があるんだ、有効に活用したいと思ってな」


 現在の構造はクレタ型、つまり一本道で進む迷宮だ。合間合間に小部屋があり、そこがモンスターハウスになる仕組みとなっている。


「今後は複数のルートに分かれるダンジョンタイプに変更したい、少し相談にのってもらえないか?」


 他の神に相談しようものなら、面白おかしい提案をいれてめちゃくちゃになること間違いない。

 しかし、コイツなら根が真面目だ。おかしな提案はしないだろう。

 ラヒルデはため息をつきつつ、

「はぁ。しょうがないですね。もう少し条件があれば提示してください、考えてみます」


 そこで俺は

・モンスターが出現するのは百メートル四方の空間のみ

・複数の進行ルートを用意して場合によっては部屋同士でループさせる

・一~四階層に相当する場所は上下の階層という区切りを撤廃

・最終五階層には修練の門と特殊ギミックの部屋三つのみの構成にする。


 の四つを提示した。

 これはトライアルのときから思っていた、裏技的な攻略方法とそれに付随したトラップを考えたものだ



「そうですね……その条件なら……」

 ラヒルデはいくつかの提案をし、その中で俺の求める迷宮とすり合わせていく。

 俺が考えていた裏技攻略などを話すと、


「なるほど、そのやり方であれば、戦闘力が無いモノであろうとクリア自体は出来ますね」

 と、コイツも意見に賛同をした。

 俺の権能が安全装置としても作用するので方法さえ気がつけばクリアはできるだろう。


「でも、善いのですか? 確実にクリアできる方法を残しても……」

「あ? ダンジョンなんてクリアされてこそ、だ。クリア出来ないものを作ってもそこに意味はない」


 と持論を言った。

 そうだ。多くの神が難攻不落を誇るが、それじゃ意味が無いのだ。

 難しくてもいい。困難でもいい。それでも、必ず攻略されてこそのダンジョンだ。

 ある意味、俺の散る美学とでも言えばいいのか……こだわりに呆れつつも。


「いいのでは無いですか? そういうのも悪くないと思いますよ」


 そう言って笑い、同意してくれたのだった。




 方向性が決まった。

 あとは組み替えるだけだ。

「ルイミウォルテ、少しいいか!」

 そう呼ぶと、精霊が姿をあらわす。

「わが神よ、お呼びでしょうか」


 そう言って控えるのは俺が迷宮を創った時に呼び出したドリアードだ。

 しかし、その容姿は大きく変わっており、

 昔は向こうの特性だったのか、エメラルドグリーンの髪と瞳が特徴だったのだが

 今では宿ったリンゴの樹を象徴してか、リンゴのような赤い髪になり、瞳は金色となってい。

 最大の変化は……は性別不明の存在だったのに……今では完全に女性の体をしている。

 線は細いのに主張する胸が立派である。

 ……おそらくは俺の趣味が反映してしまっているのだろう。


 こればっかりは仕方ない。横にいるラヒルデの視線が痛い。

 ……自分のと見比べても大きくはならんぞ。それに小さいのがキライなわけではない。


 いかん、脱線する。



「迷宮部をリメイクしたい。各部屋を動かすのでノームと協力し、再構成を任せる。急ぎではないので時間は気にするな」

「拝命賜りました。ノームを駆使し、期待に添えたいと思います」

そういうと、ルイミウォルテは俺から改装計画の図面を思念共有で受け取り。改築 を開始する。

 これで迷宮は問題ないだろう。


 俺とラヒルデは迷宮の改築をルイミウォルテに任せ、都市部に戻ってきた。

 せっかくなので俺はラヒルデにケーキと紅茶を出すことにしたのだ。

 他の男神ではありえないだろうが、普段から暇をもてあましているため、多趣味となっているのだ。

 人の研鑽では到達できない技量や技術、悠久の、ホントにムダとも思える時の流れではいい暇つぶし足りえるのだ。


 今のマイブームは料理で、そもそもココには俺1人以外は食べ物を食べる必要のない精霊や神獣だけである。

 まぁ、俺も食べる必要はないのだが。嗜好品として料理を嗜んでいるのだ。


 そんなこともあり、久しぶりに他神(たにん)と食べる食事である。

 ……女性と2人きりで食事をしたという情報が特定のヤツに流れると、ホントに大惨事になるのでタイミングは見計らうことは忘れない。


 俺が出したケーキ、今日はアップルタルトとアップルティーを食べるラヒルデ

「あ、おいしい……」

 と()()そうに言うと、おいしいはずなのに眉を寄せる。


「ん? 気に入らないのか?」

「ケーキは美味しいけど、貴方が美味しいケーキを作ることが許せない」

 と言い出した。

 俺がケーキ作れたら問題あるのか……。


 そう言うラヒルデはおかわりでもう1皿食べ、残りをお土産にもって帰ることとなった。


「まぁ。暇が出来たらまた来いよ」

 そう言うと、おれは哂いながらラヒルデの頭をなでる。

 ……つい癖でこのくらいのヤツには頭をでてしまう。


「次は覚悟なさい!必ずぎゃふんと言わせてやる!」

 からかわれたと思ったのか? 顔を赤くしながらそう言いながら、きちんとお土産は持って帰るラヒルデ。



 料理なんて誰かが自分以外の誰がが食べてこそ、だよな。

 それを見送りながら、今度は何を作るか考えるのだった。







 数日後、迷宮の改築が終わり、百メートル四方の立方体の部屋を複数の通路で繋ぎ、 そこを通路を使って他の部屋へ上り下りする、立体型の迷宮が完成した。

 そこに、小型の神獣、『プチシリーズ』を配置させ、ダンジョンの改造が終了した。




 それでも日ごろの行いだろうか……。女性の挑戦者は増えることが無く、非常に良く知る、紫髪の魔獣の系譜の魔族と、俺を倒そうといきまく戦乙女しかいなかった。

 この二柱は非常に仲が悪く、出会うたびに口汚い喧嘩をするのだが……それはまた、別の話。

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