旅は道連れ②
現在、私たちは馬車に荷物の積み込み作業を行っている。
今回は馬車での移動となるが、普段の私たちの移動は乗り合いの馬車などで
そもそもの話。下位冒険者の私たちは馬車そのものは所持していない。
フェリアスさんも移動は馬車でなく、普段は馬を使っているとのことだった
しかし、今度の目的地に馬車の定期便などは存在しておらず。
目的地までの移動のために馬車の購入を迫られてしまった。
そこで問題となったのが私たちの金銭事情だ。
……正直な話、私たちにはお金がない。
ここ最近は、この知恵の迷宮攻略のため、ダンジョンに潜っていたが、このダンジョンモンスターは炎魔術を主軸に戦っていたため、ドロップは非常に乏しいものとなっていた。
加えて、先の冒険で使用したポーション代も馬鹿にならず、現在の私たちの財政は非常に厳しいものとなっていた。
そのため、馬車一式の購入費、半月ほどの私たちの食費を含め、準備のために相当額が必要になったのだが、
それを購入するだけのお金を所持していないという事態に陥ってしまったのだ。
しかし、それでは困ると、全てフェリアスさんが購入資金を立て替えてくれた
私たちの一日の生活費が銀貨約1枚である。
念のために三十日分の食料を六人分で銀貨約百八十枚
馬車は非常に高く、馬2頭込みで金貨50枚ほどしたそうだ。
他にもポーションの補充・装備のメンテナンス素材など、ダンジョン攻略に必要なものや夜の暖を取れるための毛皮や布、
燃料などをあわせて大量に購入し、荷台に積むため梱包。
かかった費用。その額は金貨百枚ほどにもなり、私たちは大いに感謝した反面、非常に心苦しく思う。
そのため、私たちは今、馬車への積み込みを行っているのだ。
……でも。どうしてそこまでしてくれるのだろうか?
それを彼女に訊ねると、
「まぁ、先行投資って考えでもいいけど、最大の理由はあのダンジョンに挑むからだね。あのダンジョンはソロでの攻略は不可能になっているんだよ」
「その上、あそこに挑む理由と覚悟が無い人間は絶対に
クリアなんて出来ないようになっているんだよ」
と答えてくれた。
と、いうことは……。
フェリアスさんもあの迷宮に挑むだけの理由があるということでもある。
ひょっとしたら今も私を悩ませる願いの対価についても知っているかもしれない。
馬車の荷台に荷物を積みながらそう思い、私は、フェリアスさんに問いかけた。
「フェリアスさんはあのダンジョンをご存知なんですよね?……挑まれたことがあるんですか?」
すると私の顔をじっと見つめて微笑むと、
「あのダンジョンの内容に関しては、一度経験しないと口で説明したところでわからないよ。詳細な話は一度挑戦してみてから話はするよ。とにかく、自分で体験して考えること。このダンジョンだけじゃない。それが、全ての迷宮攻略につながる道だよ」
と笑いながら答えてくれた。
おそらく、願いの対価についても何か知っているのだと思う。
だが、一度攻略してから教えてくれるという彼女の話を信じ、私は出発の準備をするのだった。
翌日。準備を終えた私たちは馬車に乗り込み、迷宮都市を出発した。
御者席にはレクスとカウスが座っており、交互に御者をするそうです。
三十日分という大量の食料の中、荷台には私とベオ、ネーネが座っている。
フェリアスさんは馬に乗り、隣を付いて来ている。
ダンジョン以外でも魔物が襲ってくることがあるそうで、魔物が来たときにすぐ対応するためだそうです。
魔物も、ダンジョンとそれ以外では発生の仕方がすこし異なり、ダンジョン内部では主となる神・魔から漏れ出した魔素、それを元に「発生」する。無論、何も無いところから出るわけではなく、『生きていない物質』たとえば、石や枯れ木、骨などを母体として魔素が凝縮し、その内部で核を形成。それをさらに魔素が包み魔物として発生するのだそうです。
母体になる物質が大きいほど核も大きくなる反面、核の形成に時間がかかるのだという。
五十センチから一メートルほどの大きさの魔物なら、ほんの小さな核で形成されるので発生に時間がかからないらしい。
そして魔物が倒されると、その魔素は霧散し、再度核が形成されるまでダンジョンを漂うのだという。
過去、実験として、迷宮に拳大の石を持ち込んで数ヶ月かけて観察したところ、通常よりも大きく、協力な魔物が発生したという実験結果を聞いたことがある。
反面、そのダンジョンの素材。たとえば、壁面の岩、死んだ魔物素材などからは魔物が発生しないのだという。
あくまで、そのダンジョンに無い物質でないと魔物までにならないのだそうです。
対して。自然界の魔物は魔素から出来ていないのだそうだ。
これは旅の初日にフェリアスさんから教えてもらった話で、なんでも
「自然界にいる魔物ってのは、大昔の魔獣の子孫でね。発生でなく、繁殖して増えているだよ」
とのことだった。
なので、自然界で魔物が突然発生する場合は魔素溜まりがあるところ。若しくは、神魔が魔法を使った場所で起こるそうです。
そういう私たちが普段知らないことを教えてもらいながら。
私たちは三日をかけ、一路、転移門まで向かうのだった。
三日後、転移門のある場所まで到着した。
そこは交通の要となっている場所なためか、露店など立ち並び、ソレを買求める人たちで賑わいを見せていた。
わたしたちは入口の門番をしている憲兵に『門の鍵』を見せて中に入る。
この憲兵は『ギルド:トランスポータ』という、
転移門の管理を専門に行っているところの所属らしく、私たちのような、本来、鍵を持ってない人を目的地まで送るために常駐している。
運営資金は、目的地までの転移門を開くことで獲得しており、その場所によってかかる費用が違うようだった。
今回の転移先は、秘匿された転移門らしく、本来皆が知らない場所だという。
私たちは転移門の順番に並んでいる間にフェリアスさんから、そんなことを教えてもらった。
秘匿された理由だが。
「秘匿されたのはかなり昔で、理由としては、その先にあった都市が滅びたからってきいてるよ。滅びた理由はなんてことはない、特色と言える物が無く、徐々に寂れていって滅んだそうだ」
とのことだった。
人の記憶に残る前のこととは言え、私も生まれた国を離れた身である。
十年たった今、オーレアも復興を遂げている。仮にも、神国と云われている国である。
その復興はめざましいものがあった、しかし、同時に周囲の国からは戦争再開の不安も聞こえる。
あのとき、どこに攻めようとしていたのかは解からないが……。
また、あのときと同じことが起こらないことを祈っている。
そんなことを考えていると転移は私たちの番になり、転移門の陣の中にはいった。
転送陣は広さが直径十メートルほどの広さの円形の石畳で何かの文様を描いている。
その周囲には高さ人の背ほどの六本の円柱の柱が並び立ち、その柱にも何かの文様が彫られているようだ。
そんな中、フェリアスさんは陣の中心で鍵をかざし、転移門の起動を行っている。
他の人は経験があるというが、私は転移門は始めてである。
どんな風になるのか胸を高鳴らせていると、転移門の文様が光ると、周りが真っ白になり……なにも見えなく……。
気がつけば、私たちは見たことの無い、森の中の遺跡にいた。
誤字を修正しました。
転移門の描写を加筆しました。




