15.告白
ラゼルトの指摘は的を射ていた.
汚染された加護を持つガルドは奥の部屋になにか良くないもの,触れてはいけないものがあることを感じ取っていた.ただ,ラゼルトはひとつ勘違いをしているかもしれない.ガルドは奥の部屋になにがあるのかまでは知らない.なにかを隠しているわけではないのだ.
ガルドはラゼルトを見て言った.
「調べなかったんじゃない,調べたくなかっただけだ」
そう言うガルドを見て,ラゼルトはわずかに声を落とした.「……汚染された加護の副作用だろ?」
二人のやり取りを聞いているフェルーザはわずかに首をかしげる.そんなフェルーザを脇に置いて二人の対話は続く.
「そうだ」
「だったら,あんたの神様は汚染されてるわけだ」
ガルドはラゼルトの発言の意図を量り兼ねながらも無言で首を縦に振る.同世代の間であれば加護の汚染は暗黙の共通認識だ.
ガルドの返答を待たずしてラゼルトは続けた.
「なぁ,大将,あんたの契約した神様は近くにいるんだろ」ガルドは脇に立つティオにふたたび視線を戻す.「そいつ徐々に力が弱っていってないか」
ガルドに心当たりはなかった.しかし,探し物を見つけるという力自体がそもそも弱い力だ.すでに弱っていたとすれば辻褄は合う.
ガルドの視線を追いつつ,なおもラゼルトは続ける.「ちなみに,俺が最初に契約した神は小鳥のかたちだったぜ」ラゼルトはなにかを乗せているかのように手のひらを上に向ける.「加護も汚染持ちらしくちっぽけで,小鳥だけに朝起こすだけの力だ」
そして静かに手のひらを握って閉じた.
「そしてある朝,俺は寝坊した」
足元のティオはラゼルトのほうを見ている.ありえないが,目が合っているようにも見える.
「そいつ,放っておいたら消えちまうかもしれないぜ」
ガルドはしばらくのあいだティオから視線を外せなかった.




