第486話 極上炭水化物・奪還逆走ツアー(16部構成・その2:黄金バンズの焼き上がりと、神話級チーズバーガーの暴力)
第486話 極上炭水化物・奪還逆走ツアー(16部構成・その2:黄金バンズの焼き上がりと、神話級チーズバーガーの暴力)
ズゴォォォォォォォォォンッ!!
【豊穣なる黄金麦穂と天然酵母のパンゲア大陸】。
大地そのものが巨大なパン生地のように呼吸するこの奇跡の空間を、移動料亭要塞『星海大宴殿』は、巨大なコンバインさながらに蹂躙し続けていた。
「ギシャァァァァッ!」と襲い来る『豊穣の黄金大鎌』をエリスとジンが解体し、立ち塞がる『巨岩の酵母ゴーレム』をガレスが戦斧で粉砕する。そして、サイラスが操る全周バキュームが、刈り取られたソフトボール大の麦粒と極上の天然酵母を猛烈な勢いで吸い込み、要塞内部で全自動製粉を行っていく。
無限に続くかと思われた黄金の麦畑は、彼らの「主食への飢え」という純粋な暴力の前に、美しい更地へと姿を変えつつあった。
第一フェーズ:神話級パン生地の超絶発酵
その最前線の熱狂から少し離れた甲板の巨大キッチンでは、別の意味で凄まじい熱気が渦巻いていた。
「トウヤさん! 見てください! 生地が……生地がとんでもないことになってますわ!」
マリアが白神の杖を握りしめ、目を丸くして叫んだ。
「おおっ! こいつはすげぇ!」
トウヤが巨大なボウル(というよりはプールに近いサイズの容器)を覗き込む。
そこには、先ほどマリアとルミナが捏ね上げたばかりの【神話級・黄金麦の極上強力粉】の生地が、パンゲア大陸特有の強力な天然酵母と豊かな魔力環境の影響を受け、信じられない速度で膨らみ上がっていた。
表面は赤ん坊の肌のように滑らかでツヤツヤと輝き、指でそっと押せば、「ポフッ」という心地よい音と共に、すぐさま元の形へと弾き返してくる。
「完璧な発酵具合だ! この大陸の酵母、香りの深みと発酵のパワーが地球の比じゃねぇ! 焼く前からすでに、甘くて香ばしい極上の匂いが漂ってきやがる!」
「トウヤ殿ぉ……ワシはもう、この生の生地に埋もれて眠りたいぞ……」
エルドリア元皇帝が、プニプニに膨らんだパン生地に頬ずりしようとして、ケンジに襟首を掴まれて引き剥がされる。
「バカ言ってねぇで、早く焼く準備だ! 今日はまず、氷室でカンストしてる【熟成マンモス肉】と【特濃チーズ】を消費するための『特大ハンバーガー』を作る! そのための【黄金バンズ】を一気に焼き上げるぞ!」
第二フェーズ:黄金バンズの焼き上げと、香りの大爆発
トウヤの指示のもと、切り分けられた巨大なパン生地が、美しいドーム型に成形されていく。
ハンバーガー用とはいえ、彼らの胃袋のサイズに合わせた一つ一つのバンズは、地球のホールケーキほどの大きさがあった。
「ゼノス! オーブンの温度管理は頼んだぞ!」
「フッ、任せておけ。空間の熱量を完全に一定に保ち、全方位から均一な火入れを約束しよう」
ゼノスの【空間支配】によって温度と湿度が完璧に管理された超特大魔導オーブンの中に、成形されたバンズの生地が次々と並べられていく。
「よし、焼き上げ開始だ!」
カァァァァァァッ……!!
魔導オーブンに火が入った数分後。
甲板、いや要塞全体を、暴力的とすら言える『パンの焼ける匂い』が包み込んだ。
小麦が焦げる香ばしさ。天然酵母が生み出す微かな酸味と深い甘み。それが熱によって爆発的に膨張し、星海空間にまで広がっていく。
「ああっ……! な、なんて幸せな香りなの……っ!」
ルミナが両手で頬を包み、うっとりと目を閉じる。
「いかぁぁぁんっ! この匂いを嗅いでいるだけで、胃液が滝のように分泌されて、腹が、腹が鳴り止まんぞォォッ!」
ヴィルヘルム上皇が腹を押さえてのたうち回り、クロが「ワォォォォン!(早く! 早く食わせろ!)」とオーブンの前で尻尾を千切れんばかりに振っている。
チーンッ!!
「焼き上がりだァァッ!」
トウヤがオーブンの扉を豪快に開け放つ。
中から現れたのは、表面が美しいきつね色に輝き、パリッとした薄皮の下に、雲のように白くフカフカのクラム(内層)を秘めた【神話級・黄金バンズ】の山であった。
第三フェーズ:極上パティと特濃チーズの暴力
「パンが焼けたら、次は中身だ! ジン、ガレス! 氷室から出してきた『エイジング・マンモスの極上熟成肉』を、ありったけ粗挽きにしてくれ!」
「……了解した。筋繊維の旨味を逃さず、完璧なミンチにしてやる」
「ガッハッハ! 【剛腕絶技・超振動ミンチメーカー】の出番だな!」
ジンの神速の短剣とガレスの超振動戦斧によって、絶対零度の氷河で何万年も熟成されたルビー色の極上赤身肉が、一瞬にして粗挽きのひき肉へと加工される。
そこに、塩砂漠の『うま味結晶塩』と無重力群島の『極上スパイス(ブラックペッパーやナツメグ)』を豪快に混ぜ込み、肉厚なパティが成形された。
ジュワァァァァァァァァァァッッ!!!!!
超高温に熱せられた巨大な魔導鉄板にパティが乗せられた瞬間、熟成肉特有のナッツのような芳醇な香りと、暴力的なまでの肉汁の焼ける音が弾けた。
「おおおおっ……! 肉だ! 完璧な肉の匂いだ!」
神様がマイ・ジョッキを握りしめ、すでにヨダレでテーブルを水浸しにしている。
「まだまだァ! パティを裏返したら、こいつの出番だ!」
トウヤが氷室の特設タンクから取り出したのは、天空チーズ連峰で十日間かけて溶かし尽くした【神話級・チェダー&ゴーダの特濃チーズソース】である。
ドリュゥゥゥゥゥン……!!
こんがりと焼け焦げた分厚い熟成パティの上に、黄金色の特濃チーズが滝のようにかけられる。鉄板の熱でチーズがブクブクと泡立ち、肉汁と混ざり合って、最強の「旨味の層」が形成された。
第四フェーズ:超特大・神話級チーズバーガーの完成と狂乱の宴
「仕上げだ! 焼き立ての黄金バンズを半分にカット! 下のバンズに、特製マスタードと、【拠点創造】の菜園で採れたシャキシャキのレタスと極厚トマトを敷く!」
トウヤの手が残像を残すほどのスピードでハンバーガーを組み立てていく。
「そこに、肉汁滴る【特濃チーズ・熟成マンモス・パティ】をドスゥンと乗せる! さらに、星海甘露と出汁スープを煮詰めた【特製BBQソース】をぶっかけ、最後にフカフカの上バンズで優しく、力強く蓋をする!!」
ドスンッ!! ドスンッ!!
テーブルの上に、一つ一つがホールケーキほどの大きさを誇る『超特大・神話級チーズバーガー』が、人数分並べられた。
「完成だ! これが俺たちの求めていた『炭水化物』の真髄! 肉とチーズの暴力を、小麦の優しさでねじ伏せる究極の主食だ! 思い切りかぶりつけェェェッ!!」
「「「いただきますだァァァァァッ!!!!」」」
全員が、自分の顔よりも巨大なハンバーガーを両手でわし掴みにし、大きく口を開けて一気にかぶりついた。
ガブッ……!!
サクッ……フワァァァ……ジュワァァァァァァァッッ!!!!!
「むごぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」
エルドリア元皇帝の目が見開き、全身の毛穴から黄金色の闘気が噴出した。
「な、なんじゃこれはァァッ!? 表面がサクッとしたバンズの薄皮を突き破ると、中は信じられないほどフカフカで甘い! そのパンが、熟成マンモス肉の暴力的な旨味と、ドロドロの特濃チーズ、そしてソースの酸味を、一滴残らずスポンジのように吸い込んで……口の中で『味のビッグバン』が起きておる!!」
「ああっ……! 美味しい……っ! お肉とチーズだけでも最高でしたけれど、この『パン』があることで、しつこさが完全に中和されて、永遠に食べ続けられそうですわ!」
エリスが、令嬢の仮面を完全にかなぐり捨てて、顔をソースと肉汁だらけにしながら二口目、三口目へと貪り食う。
「ガッハッハ! これだよこれ! 炭水化物が土台にあるからこそ、肉の旨味が100倍にも1000倍にも跳ね上がるんだ! エール! ケンジ、星海エールを樽ごと持ってこい!」
「頼むから俺にも食わせろ! 胃薬なしでこの肉が食えるなんて……パンの優しさが五臓六腑に染み渡るぜ……っ!」
トウヤもまた、自作のチーズバーガーにかぶりつき、完璧なバランスに満足げな笑みを浮かべた。
肉とチーズの圧倒的な塩気と脂を、極上の小麦と天然酵母の風味が力強く受け止め、噛むほどに甘みと旨味が無限のループを創り出す。これこそが、彼らが渇望していた「主食」の偉大なる力であった。
「ワォォォォンッ!(トウヤ! おかわり! おかわりだ!)」
クロが巨大なバーガーを一瞬で丸呑みにし、次の獲物を要求する。
「ハッハッハ! 氷室の肉とチーズが尽きるまで、いくらでも食え! パンゲア大陸の麦と酵母も、まだまだ無限にあるからな!」
未知の大陸を逆走し、極上の炭水化物を手に入れた開拓者たち。
巨大な黄金の麦畑を背景に、彼らの「氷室カンスト問題」を解消するための【大消化・炭水化物祭】は、極上のハンバーガーと共に狂熱の絶頂へと突入していくのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく
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