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目指すは深層、まずは腹ごしらえから! 〜現代知識と【拠点創造】で始める、前人未到の大迷宮スロー攻略記〜  作者: 盆ちゃん


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第484話 作戦変更! 氷室カンスト問題と、究極の「炭水化物(主食)」を求める逆走航海

第484話 作戦変更! 氷室カンスト問題と、究極の「炭水化物(主食)」を求める逆走航海

重力崩壊の理不尽な山脈『天空チーズ連峰』を、十日間かけて「超特大のフォンデュ鍋」で完全にドロドロに溶かし尽くした移動料亭要塞『星海大宴殿』。

空を埋め尽くしていたチーズの岩盤は一つ残らず消え去り、静寂を取り戻した無重力空間に、大宴殿だけがポツンと浮かんでいた。

甲板に張られていたマリアの「受け皿ドーム」は解除され、チーズの焦げ付きはリルの浄化とサイラスの自動洗浄システムによって、一晩で新品同様のピカピカな状態へと戻されている。

第一フェーズ:極上すぎる朝食と、決定的な「不足」

「よし、朝飯ができたぞ! 昨日の残りの『神話級チェダーとゴーダの合わせチーズ』をたっぷりかけた、【エイジング・マンモスの極厚チーズハンバーグ】だ! 食ってくれ!」

翌朝。大宴殿のメインダイニングには、朝から暴力的すぎるカロリーと香りを放つ鉄板が並べられていた。

ジュワァァァァッ! と音を立てる熟成肉の極上ハンバーグ。その上から、滝のようにかけられた黄金色の特濃チーズがトロトロと溶け出し、鉄板の上で焦げて香ばしい匂いを撒き散らしている。

「いただきます! ……はむっ!」

エリスがナイフを入れるまでもなく、フォークで崩れるほど柔らかな肉を口に運ぶ。

「んんんっ! 相変わらず、熟成肉の旨味とチーズのコクの暴力ですわ! ……ですが」

エリスは一口目を至福の表情で味わった後、ふとフォークを止め、どこか物足りなそうな視線をテーブルの端へと向けた。

「……やっぱり、こうやって味が濃くて極上の肉料理やチーズ料理が続くと、どうしても『あれ』が欲しくなりますわね」

「ああ……全く同感だぜ」

ガレスがジョッキの星海エールを呷りながら、深い溜息をついた。

「美味ぇんだ。間違いなく宇宙一美味ぇ。だが、肉とチーズだけじゃ、どうしても胃袋に『ズンッ』と来ちまう。このしょっぱさと脂を、優しく包み込んでくれるような……」

「……『炭水化物パンやコメ』が、圧倒的に足りねぇんだよな」

トウヤが腕を組み、深刻な顔で頷いた。

VIPルームから出てきて朝食に参加していた権力者たちも、これには激しく同意した。

「うむ……。帝国では毎朝、焼きたてのふかふかの白パンがあったものだ。この極上チーズハンバーグの肉汁を、パンに吸わせて食えたなら……ワシはもう一度皇帝に返り咲ける気がするぞ」

「私はコメがいい! ミズホの国で食ったような、炊きたての銀シャリにこの肉とチーズを乗せて、ワシワシと掻き込みたいんじゃあ!」

賢者ケンジに至っては、胃薬を片手に「……頼むトウヤ。俺の老いた胃腸のためにも、そろそろ優しい主食を用意してくれ。炭水化物がないと、流石に消化器官が限界だ」と切実に訴えかけていた。

第二フェーズ:氷室カンストの危機と、作戦会議

「みんなの不満はよく分かってる! 俺だって、極上のハンバーガーやチーズたっぷりピザ、熱々のドリアが作りたくてウズウズしてるんだ!」

トウヤがダイニングの巨大モニターを起動し、大宴殿のシステムを管理するサイラスを呼び出した。

「サイラス! 現在の氷室とストレージの状況を報告してくれ!」

『……了解した』

画面に映し出されたサイラスが、眼鏡を押し上げながら重々しく口を開く。

『結論から言おう。大宴殿の【氷室】および【全食材ストレージ】は、現在99.9%の積載率に達しており、完全にカンスト状態だ』

「なっ……!?」

「もう何も入らないんですの!?」

マリアとルミナが驚きの声を上げる。

『あぁ。塩砂漠で獲った生ハム一千万枚、出汁スープ五十万トン。無重力群島で獲れたフカヒレ、白子、極上スパイス、甘露シロップ。氷河で仕留めた熟成マンモスと鯨の肉の山。そして極めつけは、昨日まで十日間かけて溶かした天空チーズ山脈の特濃チーズソース数百万トン……。空間拡張魔術を限界まで重ね掛けしているが、もはやネズミ一匹、チーズ一欠片の隙間もない』

「食っても食っても、それ以上に俺たちが乱獲(お片付け)しすぎちまったからな……」

ジンが呆れたように肩をすくめる。

トウヤがバンッ! と机を叩いた。

「いいかお前ら! 俺たちはこれまで、ひたすら前へ前へと突き進み、そのエリアの環境に合わせた食材を乱獲してきた! だが、これ以上新しいエリアに進んで未知の極上食材を見つけても、氷室に入らなきゃ持って帰れねぇ!」

「つまり、食って減らすしかないってことだな!」

ガレスが牙を剥いて笑う。

「その通りだ! だが、この大量の肉とチーズとスパイスを美味しく『消化』するためには、どうしても土台となる【炭水化物(主食)】が必須だ! 肉とチーズだけじゃすぐに胃もたれするが、パンやパスタ、米があれば、料理のバリエーションは無限大に広がり、いくらでも腹に収められる!」

トウヤの瞳に、狂気的な料理人の炎が燃え上がる。

「だから、これより大宴殿の進行ルートを大幅に変更する! 未知の深層へ進むのは一時ストップ! 今から俺たちは、自分たちに『今必要な炭水化物』があるエリアを逆探知して、そこへ向かうぞ!」

第三フェーズ:炭水化物を求めて、大宴殿の逆走航海

『……なるほど。進行ではなく、目的の食材(炭水化物)をピンポイントで探すための航海か』

サイラスがキーボードを高速で叩き、これまでの航路記録と、大迷宮の未踏ルートの魔力波長を照合し始めた。

「炭水化物ってことは、小麦とか米が育ちそうな環境ですわよね?」

エリスが尋ねる。

『過去に通過したルートの延長線上や、分岐した別の大陸に、我々がスルーしてきたエリアがいくつかある。その中で、圧倒的な「穀物」と「酵母」の魔力反応を示している特異点を発見した』

モニターに、いくつかの候補地が映し出された。

・第一候補:【白銀米粉の三日月地帯】

・第二候補:【超重力・黄金麺帯パスタの大峡谷】

・第三候補:【豊穣なる黄金麦穂と天然酵母のパンゲア大陸】

「おおっ! 米もパスタもパンもあるじゃねぇか!」

トウヤが身を乗り出す。

「ですがトウヤさん、どれか一つを選ぶのですか?」

マリアが小首を傾げる。

「バカ言え! 俺たちの胃袋とこの氷室の在庫を舐めるな! 全部だ! まずは一番近い【豊穣なる黄金麦穂と天然酵母のパンゲア大陸】へ向かい、極上の小麦とパンを乱獲する! そこで『絶品ピザ』や『熟成肉とチーズの特大ハンバーガー』の宴会を開きまくって食材を消化するんだ!」

「カッカッカ! 最高だ! パンに挟めば、あの熟成マンモスの肉も無限に食える気がするぜ!」

「ピザ……! トロトロのチーズとスパイスを乗せた焼き立てのピザ……! わたくし、令嬢のプライドにかけて何枚でも平らげてみせますわ!」

エリスが両手を握りしめ、目を輝かせる。

『……ルート設定完了。大宴殿を180度反転。深層から中層と深層の狭間、未踏の分岐ルート【パンゲア大陸】へと針路を取る』

サイラスが操舵輪を切り、大宴殿の魔導スラスターが巨大な推進力を生み出す。

第四フェーズ:主食奪還作戦の幕開け

ズゴォォォォォォォォォンッ!!

移動料亭要塞『星海大宴殿』は、これまでの「深層へ向かう」というベクトルを捨て、純粋な「食のバランス」と「氷室の在庫一掃」のためだけに、宇宙空間を逆走し始めた。

「いいか野郎ども! 次のエリアはただの乱獲じゃねぇ! 獲った小麦やパン生地に、今ある肉とチーズを限界まで乗せて、食って、食って、食いまくる【大消化・炭水化物祭】の会場だ!」

トウヤが甲板に立ち、黄金の大剣を振りかざして叫ぶ。

「「「ウオォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!」」」

開拓者たちの雄叫びと共に、VIPルームの権力者たちも窓から身を乗り出して「パンじゃー! ふかふかのパンを寄越せー!」と歓喜の涙を流して叫んでいる。

未知の脅威を退けるためではなく、己の胃袋を満たし、完璧なフルコース(ハンバーガーやピザ)を完成させるためだけに突き進む規格外のパーティー。

絶対的な「主食不足」に陥った彼らの執念は、次なるターゲット【豊穣なる黄金麦穂と天然酵母のパンゲア大陸】へ向け、恐るべき暴食の牙を剥くのであった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく


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