第472話 歯車大陸の大蹂躙(8部構成・その8:狂熱のディープフライ大宴会と、鉄板の上の竜宮城)
第472話 歯車大陸の大蹂躙(8部構成・その8:狂熱のディープフライ大宴会と、鉄板の上の竜宮城)
「歯車大陸・完全平定記念! 【超特大ディープフライ&鉄板焼き・大宴会】! 胃袋がはち切れるまで喰らい尽くせェェェッ!!」
トウヤの開宴の咆哮が、真っ平らに平定された赤熱の歯車大陸――数キロ四方に及ぶ「宇宙最大の熱々鉄板」の上に木霊した。
大宴殿のハッチが解放されるや否や、VIPルームで待機(という名の監禁状態)を強いられていた居候たちが、猛然と鉄板大陸の上へと飛び出してきた。
彼らの眼前に広がるのは、抽出したての『極上機巧スモークオイル』で黄金色に揚げられた【深淵鮪の超特大トロカツ】の山と、バルサミコの酸味を纏って蒸し焼きにされた【神話級・深海タラバの豪快鉄板焼き】の森である。
「おおおおっ……! なんという黄金の輝き! 揚げ物の衣が、まるで天界の雲のようにキラキラと輝いているじゃないか!」
神様がマイ箸を握り締め、感涙にむせびながらトロカツの山へと突撃する。
「うおォォォッ! 余の胃袋よ、今夜こそ限界を超えよ! このカニ脚の太さ、王国の国柱よりも立派ではないか!」
アルカディア上皇が、王族の威厳など微塵も感じさせない猛ダッシュでカニステーキへと食らいつく。
「退けェェッ上皇! 帝国の元皇帝たるワシが、この海鮮とオイルの軍勢を先陣切って平らげてくれるわ!!」
エルドリア元皇帝が、ヨダレを撒き散らしながら大口を開けて追従した。
第一フェーズ:黄金のサクサク衣と、とろける大トロの衝撃
「さぁ、どんどん食ってくれ! 揚げたて熱々だぜ!」
トウヤが黄金の大剣(包丁モード)で、家屋ほどの大きさがあるトロカツを、VIPたちが食べやすい特大のブロックサイズへと瞬時に切り分けていく。
「いただきます! ……サクッ!」
神様がトロカツの塊に思い切り噛み付いた瞬間。
鉄板大陸全土に響き渡るような、見事な「サクサクッ!」という衣の音が弾けた。
「んんんんんんんんっっっ!!!!」
神様の背中から、夜空の暗闇を完全に吹き飛ばすほどの凄まじい純白の後光が爆発した。
「こ、これは……! 摂氏200度のスモークオイルで一気に揚げられたことで、衣が究極のクリスピー食感になっている! そしてその衣を突き破った瞬間、中に閉じ込められていた深淵鮪の『大トロ』が、口の中の温度で一瞬にしてジュースのように溶け出したよ!!」
「マジでヤバいぞこれ……ッ!」
隣で頬張った賢者ケンジが、両手で顔を覆って天を仰いだ。
「地球のトンカツや牛カツの次元じゃねぇ……。機械のバケモノから抽出した『スモークオイル』の深い燻製香が、鮪の脂のクドさを完全に中和してやがる! さらに、下味で使ったトウヤの『電磁スパイス』のピリッとした辛味が、後味を極限まで引き締めて……無限に食える! 揚げ物なのに、水みたいに無限に食えちまうぞ!!」
「カッカッカ! ケンジの言う通りだ! こいつは最高の酒のツマミだぜェェッ!」
ガレスが樽ジョッキに注いだ星海エールを豪快に飲み干し、口の周りを油まみれにしながらトロカツをわしづかみにして平らげていく。
第二フェーズ:バルサミコスチームが引き出す、深海タラバの暴力的な甘み
一方、左半分の【直火鉄板焼きゾーン】では、二人の老いた権力者(上皇と元皇帝)が、巨大なカニ脚を前にして子供のように目を輝かせていた。
エリスの【神速の殻剥き】によって上半分を綺麗にパージされたカニ脚。その純白のむき身からは、鉄板の熱で焦がされたバルサミコ果汁とスモークオイルが混ざり合った、妖艶な湯気が立ち昇っている。
「では、遠慮なく……ガブッ!!」
アルカディア上皇がカニの身に直接かぶりつく。
「……ッ!? むぐぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
上皇の目が見開き、あまりの美味さに涙が滝のように流れ落ちた。
「な、なんという暴力的な甘みと弾力だ!! 蒸し焼きにされたことで、カニの繊維一本一本にまでバルサミコの芳醇な酸味が染み渡っておる! その酸味が、深海タラバの桁違いの甘みを何十倍にも引き上げ、スモークの香りがそれを重厚な『肉料理』の次元へと昇華させているではないか!!」
「くそっ、上皇ばかりに美味い思いはさせんぞ! ワシも……ハグッ!!」
エルドリア元皇帝も負けじと特大のカニ身を口に放り込む。
「美味ェェェェェェッ!!! 噛むたびに熱々のカニ汁が口の中で爆発しおる! 娘の女帝に持ち帰るなど絶対に不可能! ワシの細胞の隅々にまで、この究極の旨味を刻み込んでくれるわァァッ!!」
「ふふっ、お二人ともお顔がソースまみれですわよ。でも、これほど喜んでいただけると、殻を剥いた甲斐がありましたわ」
エリスが優雅に口元を拭いながら、自身の皿に取り分けたカニ肉を上品に、しかし凄まじいスピードで平らげていく。
「ワォォォォンッ!(おっさんたち、こっちのカニミソ・ディップもすっげぇ美味いぞ!)」
クロが、リル(スライム)のボディをボウル代わりにして作られた【特濃・カニミソと星核ラードのディップソース】を尻尾で指し示す。
「おお! そのディップにトロカツを沈めて食うと、さらに飛ぶぞ!!」
トウヤの悪魔的なアドバイスに従い、ケンジがトロカツにカニミソをたっぷりつけて口に放り込むと、そのまま白目を剥いて気絶寸前の恍惚状態に陥った。
第三フェーズ:鉄板の上の竜宮城と、完全平定の夜
「……まったく、騒がしい連中だ。だが、この圧倒的なエネルギー効率、私の演算システムでも計算不能なレベルの満足度を叩き出している」
サイラスが大宴殿の甲板に腰を下ろし、熱い星屑緑茶をすすりながら、狂乱の宴を見下ろして微笑む。
「フッ、魔王の晩餐会としては少々下品だがな。だが、私の創り出したこの『真っ平らな鉄板』が、これほどまでに極上の香りを生み出すとは。トウヤの狂気には、時折神すらも凌駕する閃きがある」
ゼノスが、カニ脚のステーキを優雅にナイフで切り分けながら、赤ワイン(貴腐王蜂の蜜ワイン)のグラスを傾けた。
「ルミナ、マリア! まだまだ食材は腐るほどあるぞ! どんどん揚げて、どんどん焼くぞォォッ!」
「任せてくださいませ! 光のドームで、最高の蒸し加減をキープし続けますわ!」
「風の精霊たち、火力の調整をお願いね!」
機械のバケモノたちが支配していた冷徹な『星海機巧の超巨大歯車大陸』。
その無機質な絶景は今、ゼノスの空間魔術による「巨大鉄板」と、トウヤの抽出した「スモークオイル」、そして深海から引き揚げた「究極の海鮮」によって、宇宙で最も熱く、最も美味しく、最も騒がしい『鉄板の上の竜宮城』へと変貌を遂げていた。
ガレスの超振動による装甲パージ。
サイラスとゼノスのハッキングと空間ロック。
トウヤの電磁スパイスによる全自動レンジアップ。
そして、この大陸規模の超特大ディープフライ大宴会。
8つの工程を経て完遂された【歯車大陸の大蹂躙】は、誰一人欠けることなく、限界突破のバフと満面の笑顔と共に、その幕を完璧に下ろしたのである。
「ぷはぁぁぁっ! 食った食った! 腹がはち切れそうだぜ!」
深夜、トウヤが鉄板の上に大の字に寝転がり、満天の星空(星海)を見上げて満足げに笑う。
彼らの氷室には、まだ見ぬ未知の絶景と美食を求めるための『極上スモークオイル』という最強の調味料が、たっぷりとストックされている。
次なるフロンティアがどれほど過酷で、どれほど理不尽な環境であろうとも、この規格外の開拓者たち(と腹ペコの居候たち)の暴食を止めることは、もはやこの宇宙の何者にも不可能であった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく
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