第460話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その9:星核の火山神鯨と、三ツ星フルコースの帰還)
第460話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その9:星核の火山神鯨と、三ツ星フルコースの帰還)
【チームA:中央・超巨大火山脈ルート(要塞本隊)】。
巨大な火口の島の上空を埋め尽くしていた『溶岩翼竜』の群れを、全自動の「熱々ねぎま&焼き鳥」へと変換し尽くした移動料亭要塞『星海大宴殿』。
しかし、彼らの真の宴(乱獲)はここからが本番であった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォォォォォッッ!!!!
大宴殿のセンサーが捉えていた「超特大のメインディッシュ」の反応。
それは、マグマの海のド真ん中、火口の最も深い源流から、星そのもののエネルギーを伴って浮上してきた。
「トウヤさん! マグマの海が……割れますわ!!」
マリアが白神の杖を握り締め、驚愕に目を丸くする。
数千度のマグマが巨大な滝のように左右に割れ、その底から姿を現したのは、山脈そのものと見紛うほどの超巨大な影。
全身が漆黒の黒曜石の鱗に覆われ、その隙間からは黄金色のマグマが脈打つように溢れ出ている。体長は優に数百メートルを超え、背中には火山脈の噴火口を思わせる巨大な『潮吹き穴』を備えていた。
この超巨大火山脈の絶対的な主にして、星の熱エネルギーを喰らって生きる神話級の海洋魔獣――**『星海紅蓮の火山神鯨』**である。
『ブォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!』
火山神鯨が背中の穴から、数万度に達する超圧縮された『星核のマグマ』を天高く噴き上げた。それはまさに、天を焦がす極太のレーザービームのような「マグマの潮吹き」であった。
第一フェーズ:極上マグマトロと、星核のラード
「うおおおっ! なんちゅうデカさだ! 今まで出会ったバケモノの中でも最大級じゃねぇか!」
トウヤが、空を覆い尽くすマグマの雨を見上げながら、歓喜の産声を上げた。
彼の【美食神の鑑定眼】は、その規格外の巨体の中に隠された「宇宙一のご馳走」を完璧に見抜いていた。
「あの黒曜石の皮の下には、星の熱でトロットロに溶けた極上の『星核油(最高級ラード)』がタプタプに詰まってる! さらにその奥には、熱気で旨味が限界まで濃縮された、赤身と脂の究極ブレンド……『天然の熱々マグマトロ』が隠されてやがるんだ!!」
「まぁ……! それはつまり、全身が『最高のステーキ肉と極上の牛脂』のようなクジラさんですのね!」
マリアの瞳も、恐怖ではなく純粋な食欲の輝きに満ち溢れる。
「そうだ! サイラス! あのクジラのド真ん中に要塞を寄せて、バキュームアームを全部展開しろ! マグマトロを根こそぎ吸い上げるぞ!」
『了解した。だがトウヤ殿、あのマグマの潮吹きが要塞に直撃すれば、次元拡張シールドでもひとたまりもないぞ!』
「心配無用ですわ! 今日の私の魔力は、フルコースのおかげで限界突破していますの!」
マリアが甲板の中央に立ち、天に向けて白神の杖を突き上げた。
「女神の御名において! 私たちのメインディッシュを、焦がすことなく優しく包み込みなさい! 【聖女の絶対断熱・星天オーブン結界】!!」
マリアの杖から放たれた純白の聖光が、大宴殿のみならず、数百メートル級の火山神鯨の巨体をもスッポリと包み込む巨大なオーブンドームへと変化した。
火山神鯨が噴き上げた数万度のマグマの潮吹きは、マリアの結界の内側で反射・循環し、熱量だけを逃して「極上の遠赤外線効果(保温スチーム)」へと変換されていく。
『ゴボォォォォッ!?』
自身の最強の攻撃が、ただの「サウナの蒸気」に変えられてしまったことに、火山神鯨が驚愕の声を漏らす。
第二フェーズ:神速の三枚おろしと、マグマトロの奔流
「完璧な温度管理だマリア! これでマグマトロの脂が最高の状態で溶け出すぜ!」
トウヤが黄金の大剣を構え、大宴殿の甲板から火山神鯨の巨大な背中へ向けて跳躍した。
「さぁ、究極のマグマ解体ショーの始まりだ! オラァァァァッ!!」
【神速解体絶技・星海神鯨の直火三枚おろし】ォォォッ!!!
トウヤの大剣が、黒曜石のように硬い火山神鯨の分厚い皮の隙間を、マッハの速度で駆け抜ける。
ズバババババババババッ!!!
強靭な皮が、まるでフルーツの皮を剥くように綺麗にパージされ、マグマの海へと落下していく。
そして皮の下から現れたのは、目を疑うほどに美しい、ルビーのような赤身に黄金色のサシがビッシリと入った『極上のマグマトロ』の地層であった。
さらに、皮と肉の間からは、星の熱をたっぷりと蓄えた黄金色の液体――『星核の油(超高級ラード)』が、滝のように溢れ出してくる。
「リル!! 油を一滴も逃すな! ボウル展開だ!!」
「プルルンッ!!(おっきいボウルになるー!!)」
甲板のリルが、要塞の横幅いっぱいにまでスライムボディを展開し、巨大な受け皿となる。
上空から降り注ぐ黄金色の星核油と、トウヤがサイコロ状(と言ってもダンプカーほどの大きさ)に切り出した極上のマグマトロの肉塊が、リルのボディにズドォォォンッ! と着弾する。
「サイラス! 今だ!!」
『フッ……待っていたぞ。魔導ファクトリー、全開吸引!!』
ズゴォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!!!
サイラスが操作する無数の超伝導アームとバキュームパイプが、リルが受け止めた『マグマトロ』と『星核油』を、圧倒的な吸引力で氷室の専用ストレージへと次々に飲み込んでいく。
「まだまだあるぞ! 腹の底の『大トロ』も全部頂くぜェェッ!!」
トウヤがさらに大剣を振るい、数百メートル級の火山神鯨を、端から端まで一切の無駄なく極上の肉塊へと切り刻んでいく。
数万度の熱波の中で行われた、狂気と神技の解体作業。
わずか数分の間に、火山脈の絶対的支配者であった火山神鯨は、骨の随までトウヤたちにしゃぶり尽くされ、完璧に「お片付け」されてしまったのであった。
第三フェーズ:三ツ星の帰還と、紅蓮大宴会の幕開け
「ふぅ……! 完食(全解体)だ! 最高の脂だったぜ!」
トウヤが汗を拭いながら甲板に着地すると、マリアも結界を解いて安堵の笑みを浮かべた。
「お疲れ様ですわトウヤさん! 氷室はまたしても、熱々の食材でパンパンになりましたわね!」
『……トウヤ殿、マリア殿。右ルートのチームB、左ルートのチームCが、大宴殿へ帰還するぞ』
ブリッジのサイラスの声と同時に、要塞の左右の空に二つの影が現れた。
右からは、優雅な紫色の光を纏ったゼノスの漆黒の転移球。
左からは、荒れ狂う風を纏ったファルコンのペガサス隊と、中型ホバー採取艇。
「カッカッカ! 派手にやってたみたいだなトウヤ! こっちは極寒の青炎エリアを完全に更地にしてきたぜ!」
採取艇の甲板から、ガレスが超重量戦斧を振り回しながら豪快に笑う。
「ワォォォンッ!(冷たいお肉、いっぱい獲ったぞ!)」
クロも誇らしげに尻尾を振っている。
「ふふっ、私たちチームBも、紫水晶の森の『一番美味しい酸味と熟成』を、一滴もこぼさずにお持ち帰りしてきましたわ」
転移球からふわりと舞い降りたエリスが、レイピアを納めながら優雅に微笑む。
その後ろでは、ジンが無言で親指を立て、ゼノスがワイングラスを傾けていた。
「おう! 全員無事で、しかも大豊作で帰ってきたな!」
トウヤが黄金の大剣を肩に担ぎ、集まった仲間たちを満足げに見渡した。
「左の『チームC』が獲ってきた、極寒の青氷結竜と氷晶蟹(冷製食材)!
右の『チームB』が獲ってきた、極上の樽牛と貴腐王蜂(熟成・酸味食材)!
そして俺たち『チームA』が正面からぶち抜いた、マグマトロと巨大焼き鳥(超火力・熱々食材)!」
トウヤが、大宴殿の巨大なホログラムモニターに、三つのルートで獲得した神話級の食材リストをズラリと表示させる。
「これらを全部合わせれば、冷菜、温菜、メイン、そしてデザートまで……過去最高の『三ツ星フルコース』が完成するぜ!!」
「「「オオォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!」」」
ガレスの筋肉が歓喜に震え、エリスの瞳が美食の輝きに満ち、マリアやルミナ、ジン、そして魔王軍の面々までもが、これから始まる究極のディナーを想像して狂熱の雄叫びを上げた。
「さぁ、野郎ども! 紅蓮結晶地帯はこれにて完全平定だ! 氷室の食材を全部出して、朝までぶっ通しの『三ツ星・大宴会』を始めるぞォォォッ!!」
かくして、過酷なる紅蓮の大地を3ルート同時でしゃぶり尽くした移動料亭要塞『星海大宴殿』は、その勝利の凱歌と共に、宇宙一贅沢で、宇宙一騒がしい「宴の夜」へと突入していくのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく
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