第458話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その7:超巨大火山脈へのダイブと、熱々タコパの開幕)
第458話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その7:超巨大火山脈へのダイブと、熱々タコパの開幕)
『……こちらサイラス。トウヤ殿、右ルートのチームB、左ルートのチームCから、それぞれ「完全平定」の報告が入った。あちらの空き容量(胃袋)はすでに満たされたようだぞ』
ブリッジのスピーカーから響くサイラスの報告に、移動料亭要塞『星海大宴殿』の最先端デッキに立つトウヤが、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「ハッハッハ! さすが俺が見込んだイカれた連中だ! あんな過酷な異常環境を、ピクニック気分で更地に変えちまうとはな!」
黄金の大剣を肩に担ぎ、トウヤが熱風を正面から浴びる。
「だが、こっちの『超火力ド真ん中ルート』も負けてねぇぞ! 本隊の意地、見せてやろうじゃねぇか!」
【チームA:中央・超巨大火山脈ルート(要塞本隊)】。
トウヤ、マリア、リル、そしてブリッジのサイラスで構成された大宴殿の本体は今、紅蓮結晶地帯のすべてのマグマの源流である『超巨大火山脈』の山肌を、時速500キロという狂気的なスピードで一気に駆け上がっていた。
「トウヤさん! 山頂の火口が見えましたわ! ……まぁ、なんて巨大なマグマの湖でしょう!」
純白の聖女服の裾をはためかせながら、マリアが前方を指差した。
彼らの眼前に広がったのは、火口という言葉のスケールを遥かに超えた、直径数十キロにも及ぶ『煮えたぎる黄金のマグマの海』であった。表面には紅蓮の結晶が蓮の葉のように浮かび、数千度の超高熱ガスが陽炎となって空を歪ませている。
普通であれば、要塞の足を止め、空からの迂回を考える絶望的な熱量。
しかし、彼らの辞書に「ブレーキ」や「迂回」といった退屈な文字は存在しなかった。
「サイラス! 推進炉のベクトルをホバーモードに切り替えろ! キャタピラはいらねぇ、このままマグマの海へダイブして『波乗り(サーフィン)』といくぞォォッ!」
『フッ……了解した。重力ソール、反転! マグマの浮力と魔導推進を完全同期させる。大宴殿、マグマ海域へ突入する!』
ズドバァァァァァァァァァァァァァンッッ!!!!!!!
数百万トンの質量を持つ移動料亭要塞が、崖を蹴り出し、真っ赤に煮えたぎるマグマの海へと豪快にダイブを果たした。
着水の衝撃で、大宴殿の全高を優に超える「数千度のマグマの津波」が、要塞を丸ごと飲み込もうと甲板へ降り注ぐ。
「女神の御名において! 私たちのキッチンに、不快な熱は通しませんわ!! 【聖女の絶対断熱・星海温泉結界】!!」
マリアが白神の杖を天高く掲げた。
前夜の天空フルコースで魔力が完全カンストしている彼女から放たれた純白の聖光が、要塞全体をドーム状に包み込む。
ジュワァァァァッ! という音と共に、甲板に降り注ぐはずだった致死のマグマは結界の表面で弾かれ、その絶望的な熱量はマリアの魔法によって「極上のスチーム(ぽかぽかとした心地よい温気)」へと変換されてしまったのだ。
「プルルンッ!!(あったかーい! 温泉みたいで気持ちいいー!)」
熱に弱いとされるスライムのリルでさえ、結界のおかげで溶けるどころか、甲板の上でトランポリンのように嬉しそうにポヨポヨと弾んでいる。
「カッカッカ! マリアの結界があれば、マグマの海もただの巨大な露天風呂だな!」
トウヤが大剣を振りかぶり、マグマの波を切り裂いて進む要塞の先端に立つ。
「さぁ、このマグマの底に潜む、熱々で激辛な極上食材どもを引きずり出すぞ!!」
沸騰する海の激辛スパイスと、超火力の主
マグマの海を時速500キロのサーフィン状態で爆走する大宴殿。
「トウヤさん! マグマの表面に浮かんでいるあの赤い蓮の葉……ただの石ではありませんわ! 凄まじく食欲をそそるスパイシーな香りがしますの!」
マリアの美食センサーが、マグマに浮かぶ紅蓮の結晶群を捉える。
「あれは『紅蓮結晶のハバネロ・ロータス(激辛蓮根)』だ! マグマのミネラルと超高熱を吸って育った、かじるだけで口から火を吹く究極の激辛スパイス! 麻婆豆腐やチリソースにぶち込めば、魔王も悶絶する旨さになるぜ!」
トウヤが【神速の解体刃】を放ち、すれ違いざまにマグマの表面からハバネロ・ロータスを次々と根こそぎ刈り取る。空中に浮いた激辛蓮根を、サイラスの操作するバキュームアームがシュゴォォッ! と完璧に吸引していく。
その時であった。
大宴殿の進行方向、マグマの海が大きく、不自然に盛り上がり始めた。
『ボゴォォォォォォォォォォォォッッ!!!!』
間欠泉のようにマグマが空高く噴き上がり、その奥から、大宴殿を丸ごと絡め取ろうとする『超巨大な赤い触手』が何本も姿を現した。
表面はマグマの熱でカリッカリに黒焦げた「溶岩の装甲」に覆われ、巨大な吸盤の一つ一つからは、数千度のマグマのブレスが噴射されている。
火山脈のマグマ海域を支配する超巨大魔獣――**『星海焦熱のマグマ・クラーケン』**である。
「うおおおっ! 出たな特大のタコ野郎!!」
トウヤが、空を覆い尽くすほどの巨大な触手を見上げて、歓喜の咆哮を上げた。
「常にマグマの中で生きてるおかげで、表面の装甲が天然の衣になってやがる! つまりあの触手の中には、マグマの熱で極限まで旨味が閉じ込められた『天然の超巨大タコ唐揚げ(素揚げ)』が詰まってるってことだァァッ!!」
トウヤの叫びに、マリアも杖を握り締めてゴクリと喉を鳴らす。
「まぁっ! 外はカリカリ、中は熱々でプリップリのタコ身……! 絶対に美味しいに決まってますわ! トウヤさん、急いでお料理(解体)を!!」
『ギュルルルルルォォォォッ!!』
マグマ・クラーケンが、自らの海を荒らす大宴殿へ向けて、怒り狂ったように数本の大触手を同時に叩き下ろしてきた。
乱れ飛ぶ熱々たこ焼きと、完璧なるトランポリン回収
「マリア! リル! 衝撃に備えろ! あのカリカリの衣(溶岩装甲)だけを綺麗に剥がして、中の美味い身だけをぶっこ抜くぞ!!」
「お任せを! 女神の盾よ、お肉を傷つけずに弾き返しなさい!」
ドズゥゥゥゥンッ!!
マグマ・クラーケンの巨大な触手が甲板に直撃する瞬間、マリアの【絶対断熱・反発結界】が強烈なクッションとなり、触手の破壊力と熱波を完璧に相殺して空中にバウンドさせた。
「今だ! 俺の包丁捌き(剣技)、とくと見やがれ!!」
トウヤが甲板を蹴り、空中に跳ね上がった巨大な触手の群れの中へ飛び込む。
「【絶技・神速タコ足乱れ削ぎ(オクトパス・スライサー)】ォォォッ!!」
黄金の大剣が、残像すら残さない速度で空中の触手を斬り刻む。
しかし、その斬撃は触手そのものを両断するのではなく、表面を覆う「硬い溶岩の装甲」の隙間を縫い、内側の『極上のタコ身』だけを綺麗にくり抜くという、神業の薄皮剥きであった。
シュパァァァンッ! シャババババッ!!
空中で溶岩の殻が粉々に砕け散り、中から湯気をモウモウと立てる、ドラム缶ほどの大きさがある「一口サイズの熱々タコ身(素揚げ状態)」が、何十個もドカドカと甲板に向かって降り注いできた。
「リル! キャッチだ!! 床に落として旨味を逃すな!」
「プルルンッ!!(任せてー!!)」
甲板に陣取っていたリルが、自身のスライムボディを『巨大なトランポリン』へと変化させる。
ドスッ! ボヨォォン! ドスッ! ボヨォォン!
空から降ってくる熱々の巨大タコ身が、リルの弾力ボディに見事に命中し、一切のダメージを受けることなく、綺麗な放物線を描いて空中に跳ね返る。
「サイラス! リルのパスを受け取れ!!」
『フフフ……完璧な軌道計算だ。バキュームアーム、展開!』
ズゴォォォォォォォォォォォッ!!!
サイラスの操作する無数の魔導アームが、リルがポンポンと跳ね上げた熱々のタコ身を空中で次々とキャッチし、そのまま一直線に氷室の専用ストレージへと吸い込んでいく。
「ハッハッハ! 外はカリカリ、中はジューシー! 最高の『熱々タコパ』の開幕だぜェェッ!!」
トウヤが空中でさらに大剣を振るい、次々と襲い掛かってくるマグマ・クラーケンの触手を、1ミリの無駄もなく「極上のたこ焼き(具材)」へと変換し続ける。
数千度のマグマの海。絶対絶命の異常環境。
しかし、マリアの絶対防御、トウヤの神速解体、リルのトランポリンパス、サイラスの自動回収という【チームA】の完璧な連携の前に、超火力の主は、ただひたすらに「自分から食材を提供しにくる巨大なデリバリー装置」と化していた。
「よし! 足(触手)はあらかた狩り尽くしたな! 次はあの中央の本体……ミソがたっぷり詰まった『頭』を頂くぞ!!」
トウヤの瞳に、さらなる狂気的な食欲の炎が燃え上がる。
左右のルートの仲間たちに負けじと、大宴殿本体による「灼熱の超火力ド真ん中・乱獲ショー」は、最高潮の熱狂と共にマグマの海を真っ赤に染め上げていくのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく
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