第454話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その3:青炎氷河の絶対零度竜と、極上冷製ドラゴンのミンチ収穫)
第454話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その3:青炎氷河の絶対零度竜と、極上冷製ドラゴンのミンチ収穫)
熱々の霜降り肉を隠し持つ「溶岩熊」と、マグマの底でキンキンに冷やされた「氷晶蟹(冷製タラバガニ)」。
【チームC:剛腕&暴風・大暴れチーム】を乗せた中型ホバー採取艇は、常識が完全に崩壊している『青炎の極寒地帯』をさらに最深部へと向けて爆走していた。
「ワォォォォンッ!!(ガレス! ルミナ! 前からすっげぇ爽やかな匂いがするぞ! 鼻の中がスースーして、よだれが止まらねぇ!!)」
採取艇の先端で風を切っていた神狼クロが、全身の毛を逆立てて歓喜の遠吠えを上げる。
「爽やかな匂い? このクソ寒くて青い炎が燃えてる場所でか?」
ガレスが超重量戦斧を肩に担ぎ直し、クロが指し示す前方へと視線を凝らす。
ルミナが星屑の杖を振り、行く手を阻む青炎の霧を風で吹き飛ばすと、彼らの眼前に、この異常冷却地帯の終着点とも言える壮大な絶景が姿を現した。
それは、大地が大きくパックリと割れた『超巨大なクレバス(氷河の裂け目)』であった。
クレバスの壁面には、青炎マグマの冷気と地殻のミネラルを吸い上げて結晶化した、巨大な「青い葉」を持つ植物が、見渡す限りビッシリと群生していた。
「ああっ! あれはただの氷ではありませんわ! 『星海青氷のミント結晶』ですわ!」
ルミナが目を輝かせる。
「普通のハッカやミントの何万倍もの爽快感と、お肉の臭みを完全に消し去る極上の清涼スパイス! お口に入れた瞬間、真夏でも吹雪の中にいるような涼しさを味わえる幻のハーブですわよ!」
「カッカッカ! 肉ばっかり食ってるとたまにサッパリしたもんが欲しくなるからな! トウヤが泣いて喜ぶぜ! ファルコン、採取艇をクレバスの底に寄せろ!」
「おう! ペガサス隊、周囲の警戒を怠るなよ! これだけ美味そうなスパイスが群生してるんだ、絶対に『デカい主』がいるはずだぜ!」
ファルコンの予感は、コンマ数秒後に最悪(最高)の形で的中した。
第一フェーズ:絶対零度の主、『星海零度の青氷結竜』
ズゴゴゴゴゴゴゴォォォォォォッッ!!!!!
クレバスの最深部。青炎マグマの滝が流れ落ちる巨大な冷湖の中から、クレバス全体を揺るがすほどの咆哮と共に、規格外の巨体が這い出してきた。
全長五十メートル。全身がダイヤモンドのように硬く、そして透き通るような青水晶の鱗に覆われた、神話級の巨大竜。
**『星海零度の青氷結竜』**である。
『ギャルルルルルルォォォォォォォォォッッ!!!!』
青氷結竜が咆哮を上げた瞬間、周囲の空間そのものが「ピキキキッ!」と音を立てて凍りついた。
このドラゴンは、クレバスに群生する『星海青氷のミント結晶』を主食として何万年も生きてきた変異種であり、その体内には、致死量の冷気と、極限までサッパリと引き締まった『宇宙一の冷製ドラゴンロース』が詰まっている。
「うおおおっ! 出たな特大のバケモノ! しかもミントばっかり食ってたドラゴンだと!?」
上空のファルコンが天馬ハヤテの手綱を引き締め、風の結界を最大に張る。
「カッカッカ!! 脂の乗った肉もいいが、ミントで中から爽やかに味付けされた冷製ドラゴン肉なんて、前代未聞の極上カルパッチョになっちまうぜ!!」
ガレスの筋肉が、過去最大の獲物を前にして、喜びのあまり蒸気を吹き出し始めた。
『ゴォォォォォォォッ!!』
青氷結竜が、自身の縄張りとエサ(ミント)を狙う採取艇へ向けて、巨大な顎を大きく開いた。そこから放たれるのは、あらゆる生命活動を原子レベルで停止させる『絶対零度のミント・ブレス』。
「ルミナ! ファルコン! あのブレスを採取艇に当てるな!!」
「はいっ! 風の精霊たち、最大の竜巻で冷気を巻き上げて!」
「ペガサス隊、ルミナに合わせろ! 【天馬絶技・暴風の防壁】!!」
ルミナの放った極大の竜巻と、数十騎のペガサスたちが生み出した強烈な上昇気流が完全に融合し、青氷結竜が吐き出した絶対零度のブレスを正面から受け止めた。
激突する冷気と暴風。しかし、ルミナたちの風はブレスを相殺するだけでなく、その冷気を竜巻の中に取り込み、逆に青氷結竜自身を包み込む「巨大な氷の牢獄」へと変貌させてしまった。
『ギ、ギャァァァッ!?』
自身の吐いた絶対零度の冷気と、ペガサス隊の暴風によって、青氷結竜の動きが空中で完全に封じ込められる。
第二フェーズ:剛腕と神速の牙、パーフェクト・ドラゴン解体
「完璧なアシストだぜ! さぁクロ、一気に『お片付け』するぞ!!」
「ワォォォォンッ!!(美味しいお肉、絶対に傷つけないぞ!!)」
ガレスとクロが、猛烈な吹雪が吹き荒れる竜巻の中へ、一切の躊躇なく飛び込んだ。
彼らの狙いは、五十メートル級のドラゴンの『外殻のパージ』と『完全無音シメ』。
「いくぞオラァァァッ! トウヤの解体刃の真似事だ! この超硬度の青水晶の鱗、1枚残らず綺麗に剥がしてやる!!」
ガレスが空中で超重量戦斧を大車輪のように回転させ、遠心力と筋肉の爆発力を限界まで高める。
そして、青氷結竜の側面に沿って、マッハの速度で落下しながら連続攻撃を叩き込んだ。
【剛腕絶技・青水晶の千枚剥がし(クリスタル・スケイル・パージ)】ォォォッ!!!
ドガガガガガガガガガガッ!!!!!
ガレスの戦斧の峰が、ドラゴンの肉に1ミリもダメージを与えることなく、表面の『青水晶の鱗の結合部』だけを精密な振動で次々と砕いていく。
氷の竜巻の中で、美しい青い鱗が花吹雪のようにパージされ、青氷結竜の滑らかで美しい純白の肉(冷製ロース)が完全にむき出しになった。
「今だクロ!!」
「ワォン!! 【神狼奥義・無音氷結締め(サイレント・フロスト・ファング)】!!」
鱗を完全に剥がされ、恐怖を感じる隙すら与えられなかった青氷結竜の延髄(急所)へ、クロの神速の牙が突き刺さった。
チッ。という微かな音と共に、五十メートル級の巨大竜の神経が完全に切断され、純白の極上ロース肉は、恐怖による硬直(ドリップの流出)を100%防いだ「最高鮮度のリラックス状態」のまま絶命した。
「よし! サイラス! バキューム全開だァァッ!!」
上空からガレスが叫ぶと同時に、サイラスが遠隔操作する採取艇の魔導ファクトリーが、フルパワーの吸引を開始した。
ズゴォォォォォォォォォォォォッッ!!!!!
竜巻の中で綺麗にパージされた「青水晶の鱗(極上の冷却材)」、クロが完璧にシメた「巨大冷製ドラゴン肉」、そしてクレバスの壁面にビッシリと生えていた「星海青氷のミント結晶」が、まるで巨大な掃除機に吸い込まれるように、一滴の無駄もなく採取艇のストレージへと吸い込まれていく。
第三フェーズ:チームC、制圧完了の凱歌
数分後。
荒れ狂っていた青炎の吹雪が収まり、クレバスの周囲には、不要な岩や土砂だけが綺麗に残された「お片付け完了」の静寂が訪れていた。
「ふぅ……! いい運動だったぜ! 筋肉が最高の歓喜の悲鳴を上げてる!」
ガレスが採取艇の甲板にドスンと着地し、汗を拭いながら豪快に笑う。
「ワォォォンッ!(お腹ペコペコだー! 早くトウヤにカルパッチョ作ってもらおうぜ!)」
クロも満足げに尻尾を振り、ルミナとファルコンも空から採取艇へと降り立った。
『……こちら大宴殿本体のサイラス。チームC、見事な制圧だった。採取艇のストレージから送られてきた「冷製ドラゴン肉」と「氷晶ミント」、すでに大宴殿の氷室へ転送・圧縮パッキングを完了した。品質は文句なしの神話級だ』
通信機から、サイラスの興奮を抑えきれない声が響く。
「ハッハッハ! そっちの本体(チームA)も負けてねぇだろうな!? こっちは左ルートの極寒エリア、完全に『更地』にしたぜ!」
ガレスが通信機に向かって牙を剥く。
『ああ、チームAも現在、火山脈の真っ只中で「灼熱のバケモノ」と狂乱の宴を繰り広げている最中だ。……そして、右ルートの「チームB」からも、先ほど『紫水晶の森』の深層に到達したとの報告が入っている』
「おっ、向こうの『エレガント・暗殺チーム』も順調みたいだな! エリスのお嬢様が、どんなお上品な乱獲をしてるか見物だぜ!」
三ツ星を穿つ『シャッフル・ディバイド作戦』。
ガレスとルミナたちが左の異常冷却地帯を圧倒的な「物理と暴風」で粉砕・平定した頃。
右ルートの『紫水晶の森』へと転移したエリス、ジン、ゼノス、クーの4人は、極上の熟成と酸味が支配する優雅にして危険な森の奥深くで、彼らならではの『芸術的かつ無音の立体乱獲』を、まさに今、繰り広げようとしていたのである。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく
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