第453話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その2:天空からの氷網と、青炎マグマに潜む『極上冷製蟹』)
第453話 三ツ星のシャッフル・ディバイド(9部構成・その2:天空からの氷網と、青炎マグマに潜む『極上冷製蟹』)
外殻は絶対零度の氷、内側は煮えたぎるマグマという規格外の変異魔獣『青炎氷殻の溶岩熊』。
その極上の「熱々霜降りシチュー肉」を、ガレスとクロの神速の物理連携によって無傷で回収した【チームC:剛腕&暴風・大暴れチーム】を乗せた中型ホバー採取艇は、極寒と灼熱が入り混じる狂気の『青炎の極寒地帯』をさらに奥へと爆走していた。
「カッカッカ! さっきの溶岩熊、分厚い肉の奥からとんでもなく香ばしい脂の匂いがしてたぜ! トウヤの奴がどうやって料理するのか、今から楽しみで仕方ねぇ!」
ガレスが甲板で豪快に笑いながら、周囲の鋭い青氷の結晶を戦斧で次々と砕き割っていく。
「ワォォォォンッ!!(ルミナ、もっと風を前に出してくれ! 氷の匂いが強すぎて、奥の美味そうな匂いが分かりにくいぞ!)」
採取艇の先端で鼻を突き出しているクロが、尻尾をブンブン振りながら要求する。
「はいはい、任せてちょうだい! 精霊たち、もう少しだけ風のトンネルを広げて! 【精霊絶技・氷風の回廊】!!」
ルミナが星屑の杖を掲げると、採取艇の周囲に展開されていた春風の結界がさらに拡大し、進行方向の視界を覆っていた青白い冷炎の霧を、まるでモーセの海割りのようにパッカーンと左右に切り裂いた。
すると、彼らの眼前に、これまでの一本道のマグマの川とは規模が違う、巨大な「青炎マグマの湖(合流地点)」が姿を現した。
『おーいガレス! ルミナ! 上から見えたぜ!』
上空を旋回していたファルコンが、天馬ハヤテを急降下させながら大声で叫んだ。
『あの青いマグマの湖の底……普通の魚じゃねぇ! 巨大な岩みたいな甲殻類がウジャウジャ沈んでやがる! しかも、マグマの中で「凍りついてる」みたいだ!』
「マグマの中で凍りついてる甲殻類だと!?」
ガレスが身を乗り出して湖面を睨みつける。
透き通るような青炎マグマの底に、ガレスの戦斧よりも巨大なハサミを持った、体長十メートル級の巨大な蟹の群れが、マグマの熱(冷気)を貪るように沈んでいた。
その甲殻は、マグマの超高圧で圧縮された『青氷のサファイア』のように輝き、関節の隙間からはチロチロと青白い冷炎が漏れ出している。
**『星海冷炎の氷晶蟹』**である。
「カッカッカ! こいつは驚いた! 砂漠の『大砂漠鉄蟹』は熱々の雑炊にして食ったが、こいつらはマグマの中でキンキンに冷えてやがる極上の『冷製タラバガニ』ってわけか!!」
ガレスの筋肉が、再び未知の美食への渇望でピクピクと躍動する。
「でもガレスさん! あのカニさんたち、冷たいマグマの底にへばりついていて、採取艇のアームじゃ届きませんわよ!」
ルミナが湖の深さを推測して困り顔になる。
「なら、無理やり引きずり出すまでだ! ファルコン! ペガサス隊とルミナの風で、マグマごと空中に巻き上げろ!」
「おうさ! 天空の風紀(漁獲)は俺たちペガサス隊の十八番だぜ! 全機、湖の真上に展開! 竜巻の陣形だ!」
ファルコンの号令と共に、数十騎のペガサス隊が青炎マグマの湖の上空で、巨大な円を描くように猛スピードで旋回を始めた。
「ルミナちゃん! 下から風を頼む!」
「はいっ! 水の精霊と風の精霊たち、力を合わせて! 【精霊絶技・極寒の逆巻く水柱】!!」
ルミナの魔法とペガサス隊のダウンバーストが完全にリンクした瞬間。
重い青炎マグマの湖面がスリバチ状に大きく窪み、次の瞬間、湖底に沈んでいた氷晶蟹の群れを巻き込みながら、直径数十メートルに及ぶ巨大な『青炎の竜巻』となって大空へと一気に吸い上げられた。
『グギチィィィィィィッ!?』
突然の無重力と暴風に巻き上げられ、湖底から空中に放り出された数十匹の巨大冷製蟹たちが、パニックを起こして巨大なハサミを振り回す。
「ハッハッハ! 見事な一本釣りだぜファルコン! ルミナ!」
ガレスが戦斧を構え、採取艇の甲板から空中に浮かぶ蟹の群れを見上げる。
「だが、あの硬そうな氷の甲殻……大砂漠の蟹の時みたいに、普通にぶっ叩いたら中の美味い身までミンチになっちまうな。……クロ! お前の出番だ!」
「ワォォォォンッ!!(任せろ! 一番美味いところ、傷つけずに抜いてやる!!)」
神狼クロが、甲板を蹴って空中の竜巻の中へと残像を残して飛び込んだ。
クロの狙いは、蟹の急所ではない。
【神狼の絶対的嗅覚】によって、分厚い氷の甲殻の中で「最も身が詰まっていて、甘みが強い部分(脚の付け根)」を1ミリの狂いもなく特定する。
「【神速・真空の殻剥き(ウルフ・ファング・ストリップ)】!!」
シャバババババババッ!!!
クロが空中で放った無数の真空の刃が、氷晶蟹の関節の隙間――『青氷のサファイア』の最も脆い部分だけをピンポイントで切り裂いていく。
強靭な甲殻を破壊するのではなく、「繋ぎ目」を完全に切断することで、巨大な脚や爪がスポーン!と綺麗に胴体から抜け落ちた。
『ギ、ギチィッ!?』
手足を失い、ダルマ状態となって落下してくる氷晶蟹の胴体(カニミソが詰まった本体)。
「仕上げは俺だァァッ! 中のミソは絶対にこぼさねぇぜ! 【剛腕絶技・極寒峰打ちシメ】!!」
ガレスが空中に跳躍し、落下してくる蟹の胴体へ向けて、戦斧の平らな部分で寸止めの衝撃波を叩き込んだ。
気絶(神経シメ)と同時に、中の極上カニミソが振動でフワフワのムース状に攪拌されるという、脳筋の極致とも言える神技である。
「サイラスのファクトリーへ転送しろ!」
クロが綺麗に切り落とした「極太の氷結カニ脚」と、ガレスが完璧にシメた「特濃カニミソ入りの胴体」が、空中で待機していた採取艇のバキュームアームに次々と吸い込まれていく。
「オラオラ! まだまだ空中に獲物が浮いてるぜ! 一匹残らず極上の『むき身』にしてやる!」
「ワォォォン!(カニのお肉、プルプルで甘い匂いがするぞー!)」
青炎のマグマが空に舞う異常環境のド真ん中。
ファルコンとルミナが巻き上げた巨大な『食材の竜巻』の中で、ガレスの剛腕とクロの神速の牙が、一切の無駄なく、最高の鮮度を保ったまま巨大蟹を「お片付け(解体・収穫)」していく。
「カッカッカ! 熱々の溶岩熊の次は、キンキンに冷えた極上タラバガニだ! チームCのルート、筋肉と胃袋が喜ぶ大当たりの道じゃねぇか!」
ガレスの大笑いが、極寒の空に響き渡る。
まだまだ続く【チームC】の物理粉砕・大暴れルート。彼らの圧倒的な力と食欲は、青炎の極寒地帯に潜む未知の生態系を、休むことなく次々と極上の食材へと変えていくのであった。
ここまでお読みいただきありがとうございます!少しでも面白いと感じたら、画面下から【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆】の評価をいただけると、執筆の大きなモチベーションになります!尚、こちらの新作「異世界・天下布武 〜魔族を従えた織田信長は、今度こそ本能寺を回避する〜」不定期執筆になりますがよろしく
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